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1054. 2023年カナダ森林火災のインパクト

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1054. 2023年カナダ森林火災のインパクト

昨年、カナダは大規模な森林火災を経験、その煙はヨーロッパや中国まで達しました。6月27日、世界資源研究所(WRI)によると、カナダの記録的な2023年森林火災は、世界の航空部門が排出するカーボンの4倍に相当する30億トンもの二酸化炭素を排出しました。

恒久的な土地利用変化を伴う熱帯林消失由来の排出とは異なり、カナダの山火事により排出されたカーボンのほとんどは、森林回復につれ吸収されていくことが予想されます。しかし、1年間で排出された二酸化炭素を再吸収するには数十年間かかるうえ、気候変動による不可逆的なダメージは回避しきれません。

2023年の森林火災の規模はとりわけ大きかったものの、こうした火災が次第に頻度および被害を増していく世界的な森林火災トレンドの一環と考えられています。カナダおよび北半球の高緯度地域の気温は世界平均気温より倍速で温暖化しています。高温によってランドスケープが乾燥し、森林火災が起こりやすい条件を生み出します。森林火災で排出されたカーボンが気候変動を悪化させるという負のフィードバックが起こっているのです。

一方、カナダの排出カウント手法に、森林火災由来の排出はほとんどカウントされないそうです。森林火災が主要なカーボン排出源であることを踏まえれば、世界の排出インベントリできちんと捕捉するためのシステムが必要となるでしょう。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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