Pick Up

1051. 気候変動にまつわる8つの神話を論破せよ

関連プログラム
情報

 

1051. 気候変動にまつわる8つの神話を論破せよ

 

世界中で史上最高気温の更新が伝えられています。科学者らは地球の気候が急速に変化している兆候について議論する一方、気候変動を根拠のない話として受け流す人々も未だに多いようです。

国連環境計画は、気候変動に関する8つの議論(Myth:神話、根拠のない作り話)について取り上げました。

 

神話1:気候変動は常に起きていることで、心配すべきことではない。
➡地球の気温が長期的に温暖化と冷却化を繰り返しているのは確かだが、1万年前の最後の氷河期以来、気候は比較的安定的であったことが人類の文明の発展にとって決定的に重要であった。その安定性が今崩れており、過去2000年間に急速に温暖化し、現在は産業革命期と比べて1.2℃気温が高く、過去10年間は最も暑く、とくに2023年は異常な高温を記録した。そのほか海水温、海水面、大気中の温室効果ガス濃度も記録を更新している。

 

神話2:気候変動は自然減少で、人類とは何の関係もない。
➡気候変動は自然現象であるが、人類の活動がさらにそれを加速させている。人為的な温暖化要因の大部分は化石燃料の燃焼による大気中温室効果ガス濃度の上昇にある。二酸化炭素濃度は200万年、メタン・一酸化二窒素は80万年来の高水準にある。

 

神話3:数度の温暖化は大したことではない。
➡実際に、ほんのわずかな気温変化も繊細なエコシステムは影響を受け、人類やそのほか生物に影響を及ぼす。1.5℃か2.0℃という僅か0.5℃の温暖化の違いでも、20億人が極端な熱波にさらされるようになり、絶滅の危機にさらされる植物種は2倍、昆虫は3倍近くなるとの推計もあり、地域によっては作物収量が半減し、食料安全保障の危機をもたらしかねない。

 

神話4:寒波現象の頻度増加は、本当は気候変動が起きていないことを意味する。
➡日々の気象と長期的な気候は異なるものであり、地球規模の温暖化現象でも寒波は起こりうる。科学者によると、気候変動は極渦の崩れをもたらすことで、2021年アメリカ・テキサスで観測されたような、通常ありえない地域における極端な寒波をもたらすこともありうる。

 

神話5:科学者らも気候変動の原因について意見が割れている。
➡2021年の研究によると、査読付き論文の99%が気候変動は人為的に引き起こされたと結論している。

 

神話6:気候災害を回避することは不可能であり、化石燃料を使用していくしかない。
➡現状は深刻だが、まだ最悪のケースを回避するチャンスは残されている。2030年までに温室効果ガスを42%削減すれば、産業革命期の水準に比べ温暖化を1.5℃にとどめることは可能である。

 

神話7:気候モデルは信頼できない。
➡IPCCによると気候モデルは地球温暖化を一貫性ある方法で予測できており、2020年の研究は1970年~2007年の間に開発された17のモデルのうち14のモデルが、観測値とほぼ一致する結果を予測できたと結論づけた。

 

神話8:温室効果ガス排出削減をする必要はない。人類は気候変動に適応さえすればよい。
➡気温上昇・降雨量減少などに適応できる国やコミュニティがあっても、途上国の多く、とくに島嶼国は適応しきれない。温室効果ガス排出削減努力がなければ、気候変動からのダメージはより大きく、適応の限界に早く達することになりかねない。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)


 

関連するページ