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1163. 気候変動は種の絶滅を加速する

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1163. 気候変動は種の絶滅を加速する

 

気候変動は、世界中の種の多様性、およびその相互作用と生態系を変化させています。エビデンスによれば、一部の種は変化する気候に応じた適応を通じて存続していることを示唆していますが、その他の種は個体数の減少および絶滅の可能性に直面しています。

生物多様性の喪失と再編は、生態系だけでなく、生物多様性が人々に与える多くの貢献を脅かしています。生物多様性を保護するための効果的かつ効率的な保全活動を可能にするには、異なる温室効果ガス排出シナリオの下での正確な予測が必要です。このような予測は、最大のリスクに直面している種、生態系、および地域を特定することもできます。

Scienceに公表された論文は、気候変動による地球規模の種の絶滅リスクについて、包括的な評価を行いました。絶滅リスクは、緩和策を講じずに種が将来絶滅するという確率的な推定値として定義されます。論文は、485の査読付き研究から500万以上の予測を統合し、気候変動による種の絶滅に関し、グローバルに定量的な評価を行いました。

分析は、地球温暖化が1.5℃を超えると絶滅が急速に加速し、 最も排出量の高いシナリオでは、世界の種の約3分の1が脅威にさらされると示唆しています。とりわけ、両生類、山・島・淡水生態系に生息する種、そして、南アメリカ・オーストラリア・ニュージーランドに生息する種が、最大の脅威に直面しています。論文は、温室効果ガスを制限するだけでなく、人為的な気候変動を食い止め逆転するまでの間、生物多様性を保全するためにどの種を優先的に保護すべきかを特定することも重要であると主張しています。

 

(参考文献)
Mark C. Urban, Climate change extinctions, Science (2024).
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adp4461

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)


 

 

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