現地の動き
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791. 世界環境デー 2023
本日、6月5日は、環境保全に対する関心を高め啓発活動を図る日として制定された「環境の日」・「世界環境デーWorld Environment Day」です。本年は、とくに、プラスチック汚染を取り上げ、世界の隅々で実践される革新的なアクションについての関心を喚起・啓蒙しています。
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790. 温暖化の人的コスト
温暖化が人類にもたらすコストは貨幣価値で推計されることが多いのですが、気候正義の推進には、健康被害や人的犠牲が脆弱な社会層に偏る傾向があるという不平等・格差に目を向ける必要があります。Nature Sustainability誌で公表された論文は、人的コストを推計する方法として、人類が居住可能な気候ニッチ(‘human climate niche’)に着目、気候変動によって既に9%の人々が気候ニッチ外に押しやられており、2.7℃の温暖化シナリオのもとでは21世紀末までに3分の1の人々が影響を受ける可能性を示しました。
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789. エネルギー摂取と季節
食料安全保障の1つの要素は「安定性」ですが、特に発展途上地域の小規模農家にとって、季節性は食の安定性に影響を及ぼす大きな要因です。収穫直後は食べることができたとしても、収穫前の時期には手に入らなくなってしまうことがあります。
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788. マダガスカルの鉄過剰ストレス圃場において耐性イネ系統が発揮するメカニズムを解明
鉄過剰ストレスはアジアやアフリカの多くの水田地域で発生し、イネの収量を大幅に減少させることから、それに対する耐性の向上が求められています。しかし、これまで耐性の鍵となる遺伝子や生理的要因は明らかとなっておらず、重要要因の探索が必要とされています。国際農研はマダガスカルの鉄過剰ストレス圃場における、遺伝的に多様なイネ系統を用いた2年間の試験から、鉄過剰ストレス耐性を持つ系統が、生育ステージによって異なるメカニズムを発揮することを明らかにしました。そして、鉄過剰ストレス耐性が、これまで認識されていたものより複雑なメカニズムにより支えられていることを示しました。この研究は、鉄過剰ストレス耐性の評価の際には、圃場における全ステージを通した評価が必要であることを示すとともに、特定の生理機能に優れた親系統を利用した育種により鉄過剰ストレス耐性の向上が可能であることを示唆します。
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787. ゲノム編集でリン欠乏条件での収量性が向上したイネを作出
分げつはイネの生産性において重要な形質です。国際農研では、ゲノム編集によって分げつに関わるイネの遺伝子OsTB1を改変することで分げつ数が増加し、リン欠乏条件でのイネの収量性を向上させられる可能性を示しました。サブサハラアフリカなど、肥料や土壌からのリン供給が乏しい地域でのイネの生産性向上にこの知見が役立つと期待できます。
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786. 高α-トコフェロール含量ダイズ開発によるダイズ機能性の向上
トコフェロールはビタミンEとして知られる脂溶性の抗酸化物質であり、がんや動脈硬化などの生活習慣病や循環器系疾患を予防する生理的な機能を持っています。トコフェロールのうちビタミンE活性が最も高いのはα-トコフェロールです。しかし、ダイズのα-トコフェロール含有率は低く、ダイズの機能性の活用を制限していました。国際農研では、ダイズのトコフェロール生合成経路を制御するDNA領域と候補遺伝子を明らかにすることができました。トコフェロール生合成経路を変化させることで、α-トコフェロール含量を高めたダイズを開発できる可能性があります。
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785. プラスチック汚染を根源から絶つために
かつて“奇跡の素材”と称されたプラスチックは、今や我々の無責任な使用方法が原因で、汚染源となっています。本日は、国連環境計画(UNEP)が公表した最新報告書 「汚染の蛇口を止めよう:どのようにすれば世界はプラスチック汚染に終止符を打ち、循環経済を実現できるか」の内容を紹介します。
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784. 複合的な異常気象の同時発生による作物への影響
異常気象は世界中のあらゆる地域で観察されています。この異常気象が同時に発生した場合の作物収量への影響については未だ明らかにされていません。アールト大学の研究者を中心とする国際チームは、地球規模の気象データおよび主要作物の収量データを用いて複合的な異常気象の同時発生による影響を推定し、Scientific Reportsに発表しました。
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783. 4月に観測されたアジアの記録的な高温と気候変動の関係
2023年4月後半、バングラデシュ、インド、タイ、ラオスなど多くの地域で記録的な高温が観測されました。極端現象と気候変動の因果関係を分析するWorld Weather Attributionによると、インド、タイをはじめとする10か国の科学者たちは、高温が観測された4カ国について気候変動による猛暑の発生頻度と強さについて評価しました。
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782. 今後5年間に産業革命期の平均気温を1.5℃超える可能性
5月17 日、世界気象機関(WMO)は、2023-2027年の5年間の少なくとも1年に、産業革命期の平均気温を1.5℃超す可能性が高いと発表しました。一時的にも1.5℃を超える確率が上昇していくことで、人々の健康、食料安全保障、水・環境へ甚大な影響を及ぼすことが懸念されます。
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781. 国際生物多様性の日
水・食料・薬・服・燃料・家・エネルギーなど、我々の生活は健全なエコシステムに依存しています。しかし人為的な経済活動は生物多様性を破壊してきました。5月22日は、「国際生物多様性の日」として、生物の多様性が失われつつあること、また、それに伴う諸問題に対する人々の認知を広めるために国際連合が制定した記念日です。
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780. 黒海穀物イニシアチブの60日間延長
昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻により、主要穀物生産・輸出国からのサプライチェーン寸断への懸念が、2022年の食料価格高騰をもたらしました。状況打開のため昨年7月に締結されたウクライナ産穀物の輸出を保証する黒海穀物イニシアチブは、11月に120日間延長されましたが、3月の再延長ではロシア側が譲らず、60日間のみ有効でした。期限前日の5月17日、ロシアが60日間の延長に合意したことが伝えられています。
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778. 日々の食事の健康・持続性インパクト
持続的な食料システム転換において、何を食べ、どのように調理するかも解決法の一つであるべきですが、世界の異なる地域において、文化的にも経済的にも現実的な食生活についての洞察も必要になってきています。このたび、Nature Food誌に掲載された論文は、ノルウェー・イギリス・アメリカを対象とし、オンラインや人気の料理本に掲載された600の夕食レシピを分析、この手法が食にかかわる習慣を理解するエントリーポイントとなる可能性を示しました。
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777. 食と気候のネクサス
食料システムは気候変動により大きな被害をこうむりますが、同時に過剰な肥料使用や土地利用変化を通じて温室効果ガス排出し、気候変動の原因ともなっています。一方、食料システムにおけるイノベーションを講じることで、気候変動緩和・適応に貢献することも可能です。食料システムと気候変動のこのような双方向の繋がりを、ネクサス、という言葉で表現することがあります。Nature Food誌に掲載された、食と気候、食料システムと気候変動、のネクサスに関する論考を紹介します。
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776. 世界商品市場価格の動向
4月に世界銀行が公表した世界商品市場見通しによると、2023年の商品価格は2022年に比べて全体的に21%低水準が予測されており、とりわけエネルギー価格は26%、農産品価格は7%、食料価格は8%、肥料価格は37%の下落が見込まれているとのことです。これら商品価格の全般的な下落にもかかわらず、肥料価格指標と食料価格指標はパンデミック前を超える水準にとどまっています。
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775. 国際植物防疫デー
5月12日は国際植物防疫デーです。国際植物防疫デーの目的は、植物病害虫のまん延を防止することの重要性について世界的な認識を高めることです。国際農研でも、世界的に問題になっている植物病害虫の防除に向けた国際的な共同研究を推進しています。
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774. 食料危機に関するグローバル報告書2023
2023年版食料危機に関するグローバル報告書によると、2022年時点で2億5,000万人以上の人々が急性的な食料不安に陥っており、過去 7 年間で最も高い数字となっています。
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773. 2023年のエルニーニョ現象見通し
5月3日、世界気象機関(WMO)は、今年後半にエルニーニョ現象の影響が増していく可能性についての見通しを発表しました。エルニーニョ現象は、ここ数年間ラニーニャ現象がもたらしてきた天候・気候パターンとは対照的なインパクトを及ぼし、世界の気温をさらに押し上げる可能性があります。