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1279. サステナブル・ガストロノミーと食料システム

1279. サステナブル・ガストロノミーと食料システム
6月18日は、サステナブル・ガストロノミーの日(Sustainable Gastronomy Day)です。
サステナブル・ガストロノミーには、天然資源への影響を軽減し、環境や健康に害をあたえることなく、将来にわたってまで継続できる方法で行われた農業や漁業そして調理法によって形成されるべきであるという考え方が根底にあります。さらに、調理に用いられる食材がどこでどのように育てられ、どのように市場に運ばれ、最終的に私たちの食卓に届くかについて十分考慮された料理を意味しています。
サステナブル・ガストロノミーは、食の生産と消費を、生物多様性・水・気候変動=プラネタリーヘルスと、食料・健康=ヒューマンヘルスの繋がり・システムの視点から捉えると理解が深まります。実際、グローバル化の今、世界人口80億人のうち飢餓人口よりも肥満人口が多く、生産される食料の3分の1がロス・廃棄され、その食料を生み出す過程が土地利用変化・淡水利用・生物多様性喪失の最大要因とされています。サステナブル・ガストロノミーの実現は、食料システムの視点がもとめられているのです。
持続的でない食生活の原因として、食料生産の短期的利益追求と、生物多様性保全・気候変動緩和という中長期的ゴールの乖離があります。2050年までに約100億人に達すると予測される世界人口にヘルシーな食を供給しつつ生物多様性を維持し気候変動を緩和するには、トレードオフを最小化し、シナジーを最大化することが不可欠です。消費者がより健康に良く環境負荷の少ない食生活を選択し、食品ロス・廃棄の削減を実施するために、行動変容・社会変容が必要になります。ただし、現実には全ての消費者に対し安全で入手可能な食へのアクセスとのバランスが求められます。生産者も、収入を維持できなければなりません。より少ない環境負荷で増える世界人口を養っていくためには、持続的な農業集約化を実現するイノベーションが必要となります。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)