TICAD8公式サイドイベント「アフリカ農学と土壌肥沃度・貧栄養土壌管理の課題」開催報告

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令和4年8月30日(火)、国際農研は、科学技術振興機構(JST)、国際協力機構(JICA)の後援を受け、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)の公式サイドイベント「アフリカ農学と土壌肥沃度・貧栄養土壌管理の課題」をオンライン開催しました。

令和4年8月30日(火)、国際農研は、科学技術振興機構(JST)、国際協力機構(JICA)の後援を受け、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)の公式サイドイベント「アフリカ農学と土壌肥沃度・貧栄養土壌管理の課題」をオンライン開催しました。

本イベントには、日本やアフリカをはじめ、世界17カ国から200名を超える視聴者の方々にご聴講いただき、アフリカ農学と土壌肥沃度・貧栄養土壌管理に対する関心の高さが伺えました。
ご参加いただきました皆様、大変ありがとうございました。

また、アンケートにもご協力いただき感謝申し上げます。お寄せいただいたご意見・ご要望をもとに、少しでも皆様にご満足いただけるよう、今後のイベントに活用させていただきます。

■プログラム

https://www.jircas.go.jp/ja/event/2022/e20220830 をご覧ください。

当日お聞きになれなかった方のために、イベントの様子を、国際農研のYouTubeチャネルにて公表いたしました。是非ご覧ください(オリジナル言語のみで、日・英通訳はついておりません)。
Part1: https://youtu.be/duyT3dT46e4
Part2: https://youtu.be/h-kIK1BverU
Part3: https://youtu.be/5Qtr-VJ0o6w
Part4: https://youtu.be/QuVWBpDfOug

■開催報告の概要

本イベントでは、国際農研や関係機関がアフリカにおける土壌肥沃度・貧栄養土壌の管理技術開発の事例を紹介し、アフリカで肥料開発・販売にかかわる民間企業や農民のトレーニングにかかわるNGOからの意見も受けながら、社会実装に向けた経験・教訓を共有し、議論することを目的に開催されました。

冒頭、国際農研 小山 修 理事長が開会挨拶として、このイベントがアフリカの農業セクターをより強靭にするため、関係者が議論する機会となることへの期待を寄せました。続いて歓迎挨拶として、農研機構元理事・地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)研究主幹の長峰 司 氏とJICA特別嘱託・元JST/SATREPS研究主幹の浅沼 修一 氏から、国際農研が推進するSATREPSプロジェクトの成果の普及への期待が述べられました。

基調講演では、国際熱帯農業研究所(IITA)のBernard Vanlauwe中央アフリカ・天然資源管理 R4Dディレクターが、20年にわたりサブサハラアフリカ(SSA)において取り組んできた統合土壌肥沃度管理(ISFM)と将来の機会について、ビデオ講演しました。

第1部「低肥沃度・養分ボトルネック解消のための技術開発」では、京都大学大学院 地球環境学堂の舟川 晋也教授による、SSAの多様な土壌に適応的な農業に関する講演の後、国際農研 生産環境・畜産領域の辻本 泰弘 プロジェクトリーダー、南雲 不二男主任研究員が、それぞれSATREPSマダガスカル、SATREPSブルキナファソの主要な成果と普及に向けた取組について発表しました。

第2部「社会実装」では、豊田通商 アフリカ本部 理事 アフリカ企画部長の和田 明氏より、肥料事業を通したケニアにおける農業生産性の向上に関する活動事例が紹介され、ササカワ・アフリカ財団(SAA)エチオピアのStella Kabiri環境再生型農業担当リーダーから、SAAが推進している環境再生農業の普及に関する活動が紹介されました。

パネルディスカッションでは、筑波大名誉教授・JST/SATREPS研究主幹の増田 美砂氏がモデレーターを務め、講演者が異なる立場から、アフリカにおける食の未来に向けた土壌管理技術開発と、アフリカ小規模農家の生活向上に向けた土壌管理技術普及の課題と解決策について議論しました。議論に基づいて、以下の3点がアウトプットとしてまとめられました。

  1. 真に持続的な食料安全保障の実現のためには、持続的生産性の向上と土壌健全性の回復を両立させる、土壌・肥培管理技術の事例が示され、更なる技術開発の必要性が確認された。
  2. 畑地・水田とも、万能薬はなく、現地の農業気候土壌と社会経済的条件に適し、小規模農家が実践可能な土壌・肥培管理技術と普及方法の必要性が確認された。
  3. その展開のためには、関係機関(研究機関、普及機関、NGO、企業等)の連携協力、アフリカの食の未来を担う人材の育成の必要性が確認された。

閉会挨拶では、国際農研の中島 一雄プログラムディレクターが、TICAD8の「チュニス宣言」に言及し、「持続可能な発展」の実現のため、関係機関の連携と人材育成の必要性を述べるとともに、このイベントを機に今後の関係機関の連携が進むことへの期待を述べました。

国際農研では、アフリカにおける真の食料栄養安全保障のために、関係機関と連携し、アフリカにおける土壌肥沃度・貧栄養土壌の管理技術開発と普及に向けた取組を推進します。本イベントが、アフリカの「土壌の健康度(Soil Health)」を重視する国内外の研究開発パートナー、政府機関、民間セクター、NGO等とビジョンを共有し、関係機関の連携を促進して、アフリカにおける低肥沃度・養分ボトルネック解消のための解決策を見出す機会となることを願っています。私たちは、人々の健康増進につながる健康な土壌を作ることで、アフリカにおける安定的かつ持続可能な食料安全保障が実現することを強く願っています。
 

本イベントの質疑応答(Q&A)につきましては、こちらをご覧ください。

 

国際熱帯農業研究所(IITA)のBernard Vanlauweディレクターによる基調講演

イベント終了時の集合写真

Q&A
TICAD8sideEvent_20220830_Q&A.pdf480.67 KB

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