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322.温暖化のストライプ

2021年6月21日、世界の気象学者や気候学者が気候変動への緊急アクションの必要性を訴える目的で、各国の過去100年の平均気温の推移を示した「温暖化ストライプ」キャンペーンを実施したそうです。多くの国や地域において、ストライプは近年に近付くにつれ、気温上昇を反映して青から赤への変遷を示します。2021年は、干ばつ・洪水・嵐といった異常気象の頻発に代表される最悪のインパクトを回避するための気候変動のアクションの成否を分ける年とされています。

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321. 国連食料システムサミット:フードシステム変革の優先順位と移行ステップ

今年9月に開催される国連食料システムサミット(UNFSS)に向けて、科学者グループ(scientific group)が設置されています。この科学者グループに対し、栄養のための農業とフードシステムに関するグローバルパネル(The Global Panel on Agriculture and Food Systems for Nutrition)は5月、「COVID-19とフードシステム:レジリエンス(強靭性)のための再構築」と、「フードシステム変革に必要な移行ステップ」の二つの概要を発表、フードシステム転換のために国際社会の様々な関係者がとるべきアクションを提言しました。
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320. 食料システムからの温室効果ガス排出

農業は温室効果ガス排出を通じて気候変動の原因となると同時に、多大な影響を受ける経済セクターでもあります。2021年に予定されている国連食料システムサミットやCOP26(気候変動枠組条約締約国会議)では、各国によりフードシステムにおける気候変動緩和策の具体的な戦略に役立てるデータが求められます。Environmental Research Letters誌で公表された論文は、フードシステムからの温室効果ガス排出を出荷前・土地利用・生産前後の各段階で推計、人為的な温室効果ガス排出の約3分の1に相当し、1990年から2018年までに食料輸送やサプライチェーンでの化石燃料由来の排出がとくに増加したことを示しました。
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319. 世界の雨期・雨季と農業について

今年の関東甲信地方の梅雨入りは一週間前の6月14日、平年より1週間遅く、ここ10年で一番遅い梅雨入りだそうです。赤道に近い熱帯諸国では、年間を通じて気温の変化が少なく、季節は雨季・乾季として定義されます。気候変動は、天水農業に依存する開発途上国の農民の直面する様々な不確実性やリスクを悪化させることが懸念されています。国際農研は、開発途上国各地域における雨季・乾季パターンの変化も想定し、適切な水管理や育種・栽培技術などを動員し、気候変動に強靭な農業システムの構築に貢献するべく、技術開発に取り組んでいます。
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318. 2021年5月の世界食料価格動向

2021年6月3日、国連食糧農業機関(FAO) が公表した世界食料価格動向によると、世界的な穀物生産高が史上最高レベルに達する見込みがあるにもかかわらず、2021年5月の世界食料価格は2010年10月以来、10年以上ぶりに急上昇しました。この背景には植物油・砂糖・穀物の国際価格の上昇があります。
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317. 「砂漠化および干ばつと闘う世界デー」と持続的土地管理

6月17日は、「砂漠化および干ばつと闘う世界デー」です。1994年6月17日に「国連砂漠化対処条約」が採択されたことに伴い、1995年により定められ、砂漠化を防止し、干ばつから人々を救うことを主な目的としています。ここでいう砂漠化とは、ほとんどの場合「砂漠の拡大」ではなく、乾燥地の農地、林地、牧地における土地劣化による生産性の低下です。国際農研は、国連砂漠化対処条約の新戦略目標に関連する持続的土地管理技術の開発と普及に努めています。
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316. 大豆の大きさと形を制御するメリット

大豆は食用油の原料のほか、タンパク質が豊富なことから家畜の飼料として利用されるなど、世界的に最も経済的に重要な作物の1つです。大豆は、色や大きさも様々で、それぞれに用途も違います。大豆の大きさは収量を決定する重要なファクターであり、形は食品産業的に見ても加工を行う上でとても重要です。
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315. より健康で包摂的で強靭なフードシステムのための生物学的栄養強化作物・食品の規模拡大

生物学的栄養強化(biofortification、バイオフォーティフィケーション)は、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素不足の解決策の一つであり、食品に後付けで栄養強化をするのではなく作物自体の栄養価を高めることで微量栄養素の摂取を促す取り組みです。 生物学的栄養強化を進めてきたHarvestPlus から発行された最新のポリシー ブリーフでは、生物学的栄養強化作物・食品の利点と影響をまとめ、政府、企業、国際機関によるスケールアップへの行動を促しています。
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314. エチオピア高原で土壌保全と住民の生活を両立させる!?

世界の食料・環境問題、飢餓・貧困の撲滅などに取り組むSDGs、その活動を支えているのは、私たちの足元にある土地です。世界では農地を含む20億ヘクタールの土地が荒廃しており、更に毎年1,200万ヘクタールが砂漠化、土地の劣化や干ばつで荒廃しています。。1994年6月17日に「沙漠化に対処するための国連条約」が採択され、以来この日を「世界砂漠化・干ばつ対処の日」としています。それに関連するオンラインイベントが6月14日に開催され、砂漠化、土壌劣化、干ばつについてのハイレベルの対話が行われます。
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313. ブルキナファソ産リン鉱石を活用した「肥料の地産地消」で稲作の生産性向上に貢献

西アフリカでは、厳しい気象条件や肥沃度の低い土壌に対し、化学肥料の投入量が少ないために生産性が低く、その結果、増える人口を養うために耕作地を拡大し、森林破壊や砂漠化につながっています。国際農研はSATREPSプロジェクトにおいてブルキナファソ国産肥料の開発を進めてきましたが、最近国際誌にて発表された2本の論文において、実際の稲作農家圃場における国産リン肥料の有効性を示しました。これら成果は、これまで輸入肥料に頼ってきたアフリカ諸国において地産地消への転換を促す道筋を示すことで、アフリカ全土での安定的な食料自給に貢献すると考えられます。
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312. 持続的なフードシステム構築に向けた教訓

2021年5月、Nature Food誌にて、国連フードシステムサミット特使であるAgnes Kalibata氏が、持続的なフードシステム構築のために、科学技術・知識を最大限活用することの重要性について、論考を寄せました。
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311. 世界で最も危険なバッタの行動予測のカギを解く

2019年末から2020年前半にかけて、アラビア半島で大発生したサバクトビバッタが南アジアや東アフリカに侵入したことが日本を含む世界中のメディアで報じられ、人々を震撼させました。大発生した際の抜本的で効果的な防除法を確立するには、サバクトビバッタの生態の解明が重要です。国際農研の研究成果がEcological Applications誌に公表され、このたび「背伸び行動」をとるサバクトビバッタの写真が表紙に採用されました。
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310. 6月は「環境月間」

6月5日は世界環境デーです。1972年ストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念し、日本の提案を受けて国連が定めました。また、本日6月8日は世界海洋デーで、1992年にカナダがリオデジャネイロの地球サミットで提案したもので、2009年に承認されました。我が国では6月を「環境月間」とし、環境保全の重要性を認識し、意識を高めるためのイベントが行われています。

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309. 「世界食品安全デー」とアジアの伝統食品

2018年の国連総会にて、6月7日は、安全な食品のもたらす便益を祝う日として「世界食品安全デー(World Food Safety Day)」とすることが採択されました。今年のテーマは、「健康な未来のための安全な食品」、人々・動物・作物・環境と経済の間のシステマチックなリンクを理解することが将来世代のニーズを満たすことにつながることの喚起を目指しています。
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308. 熱帯・亜熱帯地域のトマト栽培に遮熱フィルムを利用

トマトは南米アンデス地方が起源といわれていますが、今では世界中で食べられている重要な野菜であり、近年、東南アジアなどの熱帯・亜熱帯地域でも需要が高まっています。熱帯・亜熱帯地域のトマト栽培に遮熱フィルムを利用することで高温や強日射のダメージを和らげることができます。
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307. EUのノベルフードとしてはじめて昆虫食販売が承認される

EUでは、今年5月3日、はじめて昆虫がノベルフード(新規に市場に導入される食品)として承認されました。世界の 食の分野では、肉食に代わり昆虫食や植物による代替肉・培養肉などがトレンドとなっており、各地で公式に認可するプロセスが進んでいるようです。
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306. 生物的硝化抑制(Biological Nitrification Inhibition; BNI):窒素肥料利用による食料供給確保と環境負荷低減の両立を可能にするブレークスルー

現代の農業は、十分な食料供給を確保しつつ、農業にともなう環境ダメージを最小化するという大きなジレンマを抱えています。窒素肥料は作物の生育に欠かせず、従来、農民は窒素肥料投入を増加させることで土地単位当たり食料増産を達成し、農地拡大による森林破壊等を抑えてきました。しかし同時に、窒素肥料は温室効果ガスや地下水汚染の原因にもなってきました。土壌中の窒素をアンモニウムの形で保持することが、食料増産と環境汚染のジレンマを解決する決定打となる可能性があります。6月1日付の著名学術誌の一つである米国科学アカデミー紀要(PNAS)誌にて、こうした議論に関する国際農研研究者らの意見が発表され、国際農研やプリンストン大学のプレスリリースでも発表されました。
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305. 世界牛乳の日(World Milk Day)

6月1日は、「世界牛乳の日(World Milk Day)」です。国連食糧農業機関(FAO)が牛乳の重要性を喚起し、酪農産業を称える目的で、2001年に制定されたそうです。牛乳は良質なたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミンおよびミネラルの栄養素供給源として、人々の食生活に大切な日常食品となっています。
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304. 地球の危機を回避するために必要なネーチャーベースド・ソリューションへの投資額

5月27日、国連環境計画(UNEP)は、自然保護のために必要なファイナンス事情(State of Finance for Nature)を公表、気候・生物多様性・土地劣化という相互連関した危機に立ち向かうには、2050年までにネーチャーベースド・ソリューションに投資すべき総額を8.1兆ドルと推計しました。現状は一年あたり1330憶ドル、世界GDPの0.1%相当であり、2050年までの必要額に4.1兆ドルのギャップが生じ、毎年の投資額を2030年までに3倍、2050年までに4倍増加させる必要があると訴えています。
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303. 5年以内に一時的に1.5℃気温上昇に達する可能性

2021年5月27日、世界気象機関(WMO)は、イギリス気象庁(UK Met Office)などの協力機関と行った予測(the Global Annual to Decadal Climate Update)を発表、高い確率で一時的にもパリ協定の気温上昇抑制ターゲット下限である産業化以来1.5℃上昇に達する可能性を示しました。