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666. 世界各地で報告される温暖化傾向

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666. 世界各地で報告される温暖化傾向

ここのところ、世界各地で、温暖化加速化を示唆する報告がされています。
 

世界気象機関(WMO)によると、 温室効果ガス排出の増加による熱の滞留が原因で、過去8年間は記録的に暑い年でした。2022年だけでも熱波・干ばつ・洪水が世界中で数百万人の人々に影響を与え、推定数十億ドルの被害をもたらしています。海面上昇は2020年1月から10mm進行し、そのスピードは1993年比で2倍となり、この2年半の上昇だけで30年ほど前に衛星による計測が開始されて以来上昇した海面の10%に及びます。2022年には、ヨーロッパのアルプスで記録的な氷河融解を観測したにとどまらず、グリーンランドの氷床が26年間連続で喪失し9月に初めて降雨(降雪ではなく)を経験しました1850-1900年の産業革命以前の平均値に比べ、2022年の世界平均気温は暫定的に1.15 [1.02―1.28] ℃高くなると見込まれています。3年連続のラニーニャ現象による影響で2022年は過去5~6番目に暑い年にとどまる予測ですが、長期的な温暖化は進行しています。実際に、1850-1900年ベースライン比で、2013-2022年の温暖化は 1.14 [1.02-1.27]℃とされ、これは 2011-2020年の気温上昇を1.09℃と推計するIPCCの推計値を上回っています。

さらにWMOによる地域別2021年気候白書によると

  • アフリカは、1991年から2021年の間、10年間で0.3 ℃上昇、このスピードは1961-1990年間の10年あたり+0.2℃の温暖化より早まっている。
  • アジアでは、2021年の平均気温は2020年の記録的な暑さを下回ったものの、1981-2010年平均値よりも0.86 [0.75–1.02]℃高く、これは1981-2010年の世界平均値0.42 [0.39–0.47]℃よりも大きな値であった。
  • ヨーロッパは、1991-2021年の間、10年間に0.5℃の気温上昇を記録しており、この期間ではWMOがカバーする全地域でも最も速いスピードでの温暖化傾向を示した。

 

南半球のオーストラリアについては、最近公表された気候白書が、1910年に観測を始めて以来、平均で1.47 ± 0.24 °C気温が上昇したと報告しました。報告書は、海面温度は1900年以来1.05℃上昇したと報告、近年オーストラリアで観察される異常気象の頻度を上昇させる要因となっていると指摘しています。
 


気温上昇は、農業生産性に影響を及ぼします。例えばアフリカに関しては、1.5℃の地球温暖化は西アフリカにおけるメイズ収量を9%引き下げ、南部・北部アフリカにおける小麦収量を20-60%引き下げる可能性が指摘されています。食料安全保障のためには、農家による気温上昇や異常気象への適応を可能にする品種開発・栽培管理などのイノベーションへの投資・導入が早急に求められます。 


(参考文献)
World Meteorological Organization (WMO) (2022) State of the Climate in Africa 2021 (WMO-No. 1300) https://library.wmo.int/index.php?lvl=notice_display&id=22125#.Y4IV7bbP…
World Meteorological Organization (WMO) (2022) State of the Climate in Asia 2021 (WMO-No. 1303) https://library.wmo.int/index.php?lvl=notice_display&id=22158#.Y4IV97bP…
World Meteorological Organization (WMO) (2022) State of the Climate in Europe 2021 (WMO-No. 1304) https://library.wmo.int/index.php?lvl=notice_display&id=22152#.Y4IWAbbP…;
CSIRO (2022) State of the Climate 2022 https://www.csiro.au/en/research/environmental-impacts/climate-change/S…

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)