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680. 生物多様性に影響を及ぼす5大要因

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680. 生物多様性に影響を及ぼす5大要因

現在、国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が開催され、世界のリーダーが生物多様性の喪失を反転するための合意に向けた協議を行っていると報道されています。

今日は、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学―政策プラットフォーム(Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services:IPBES)により指摘された、自然改変・生物多様性喪失の5大要因について振り返ります。

1:土地・海洋利用変化(Changes in land and sea use)
2:気候変動(Climate Change)
3:汚染(Pollution)
4:自然資源の搾取(Direct exploitation of natural resources)
5:侵略的外来種(Invasive alien species)

生物多様性喪失の最大の要因は、人々による土地・海洋利用です。この中には、森林・湿地帯・生物圏を農業や都市利用の土地への転換を含みます。1990年以来、4.2億ヘクタールの森林が転換されたとされています。中でも農地の拡大が、森林破壊・森林劣化・森林生物多様性喪失の最大の原因とされており、農業だけで絶滅の危機にある28,000種の85%の脅威であるとの推計もあります。海底からの鉱物採取や都市化も自然環境・生物多様性に影響を及ぼします。


以前、Pick Upで紹介した記事によると、世界的には、その農地拡大の傾向が「ピーク」を越した、という見方もあるようです。傾向として、乾燥地域・温帯地域で放牧地の縮小が観察される一方、耕地はまだ世界的にも拡大傾向にあり、とりわけ、サブサハラ・アフリカや南米では土地利用は拡大を続けており、とくに人口増・所得増が土地への圧力をかけていくことが見込まれています。生物多様性保全の点からみても、熱帯地域における作物収量・農業生産性の向上は、極めて重要です。そしてそのためには、技術開発への投資が求められます。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)


 

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