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669. 世界の水資源

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669. 世界の水資源白書

気候変動のインパクトは、干ばつや洪水の頻度・強度の増加、降雨パターンの変化、氷河融解、といった水にまつわる現象を通じ、実感されることが多いようです。今後も世界で水に対する需要が高まり続ける一方、その供給は限られており、気候変動の水への影響はさらに増幅されることも想定されます。しかし水資源の分布・量・質の現状や予測される変化に関する理解は十分ではありません。世界の水資源をモニタリング・監視するための情報のアップデートが極めて重要になります。

このたび、世界気象機関(WMO)が、地球の水資源に対する気候・環境・社会変化の影響評価を試みた最初の「世界水資源白書 State of Global Water Resources 」を公表しました。 

報告書は、河川の現状把握だけでなく、洪水や干ばつなどの現象を概観し、世界の異なる地域における淡水資源の変化のホットスポットに関する洞察を提供し、雪氷圏の重要な役割と脆弱性に光を当てています。

報告書によると、2021年は、気候変動とラニーニャ現象による降雨パターンの影響を受け、世界の多くの地域で乾燥状態を観測しました。過去30年間のパターン比で、平均よりも水量が少ない地域が、平均より水量の多い地域の2倍ほどに達しました。

2001-2018年の間、水関連の災害が、全ての自然災害の74%を占めたと推計されています。先日のCOP27では、気候変動適応における水の役割の重要性がはじめてハイライトされました。

報告書は同時に、信頼しうる水資源データのアクセスの制約について言及し、河川流量や国際課戦に関する情報共有システム確立の必要性を訴えました。

(参考文献)
WMO (2022) State of Global Water Resources 2021 (WMO-No. 1308) https://library.wmo.int/index.php?lvl=notice_display&id=22168#.Y4YBW7bP…
 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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