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678. 世界栄養報告2022:より大きな行動へのより強いコミットメント

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678. 世界栄養報告2022:より大きな行動へのより強いコミットメント

今月、2022年世界栄養報告(2022 Global Nutrition Report)が発行されました。世界栄養報告とは、2013年の栄養サミット(N4G)をきっかけに生まれた、データ主導による独立した評価を行う報告書です。国際栄養目標に向けた進捗や過去のN4Gでのコミットメントの追跡、食生活の地球環境に与える影響や栄養に関する資金調達などを幅広く評価し示すことで、栄養改善のための行動を促す重要な役割を担っています。

今年の報告書では、昨年の栄養行動年と東京栄養サミットの結果として作成され栄養説明責任フレームワーク注)に登録されたコミットメントについて分析しています。

栄養危機が拡大し、資源が大幅に制約される中にありながら、426 億ドルを超える投資を含め、栄養に関して行動を起こそうという比類ない数のコミットメントが世界中で作成されました。

コミットメントの傾向としては、低栄養に重点を置いたものが多く、肥満や食事に関連する非感染性疾患、食料・栄養安全保障にはほとんど注意が払われていません。また、フードサプライチェーンと食環境を通じてのフードシステム変革に関しては、政府はあまり気を配らない一方、民間部門からの顕著な関与が見られます。またコミットメントのほとんどは、食事関連の非伝染性疾患よりも、母体、乳児、幼児の栄養に関する国際栄養目標に沿ったものになっています。

栄養改善を推し進めるためには追跡可能なコミットメントが必要であり、そのコミットメントには栄養・食料安全保障やフードシステム変革、栄養ケアサービスへの普遍的アクセスが含まれるべきだとしています。そして、より幅広い関係者が一緒になってのより強い関与が求められています。

注)2013年と2017年に行われたN4Gのコミットメントについての正確な進捗状況の測定は困難でした。そのため世界栄養報告は2021年9月に、コミットメントの進捗を管理し加速させるための世界初の独立した包括的なプラットフォームである栄養説明責任フレームワーク(Nutrition Accountability Framework: NAF)を策定しました。

 

参考文献
2022 Global Nutrition Report
https://globalnutritionreport.org/reports/2022-global-nutrition-report/  Accessed on December 9, 2022.


関連するページ
674. 東京栄養サミットから1年
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20221208

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)
 

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