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367. 気候変動対策の政策はカーボンの社会的費用を重視せよ

世界各国は気候変動対応に向けた政策の策定に動いていますが、その過程で、温室効果ガス排出の経済的評価に関する指針は、気候変動対策の実施規模の決定に重要な意味を持ちます。8月20日号のScience誌に寄せられた炭素の社会的費用(SCC)に焦点を当てた気候政策に関する論考において、ハーバード大学のJoseph E. Aldy氏らは、気候変動による損害回避という便益を明示的に取り入れ、気候変動対策を推進すべきとしています。
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366. 最も脆弱な地域においてこそ、強靭なフードシステムへの投資が極めて重要である

2021年8月、Nature Food誌にて、最も脆弱な地域においてこそ、強靭なフードシステムへの投資が極めて重要であるとの論考が発表されました。食料安全保障の危機が高まっている状況を反転させるには、脆弱な地域を意図的に対象とし、公正で持続的で健康なフードシステムへの転換が要求されています。
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365.耕畜エネルギー複合システムは温室効果ガス排出削減に効果 - ベトナム・メコンデルタで環境へのインパクトを評価 -

国際農研は、農研機構、宮崎大学、ベトナム・カントー大学と共同で、メコンデルタにおいて、水稲作、肉牛生産を単独で行う専業システムと、水稲作と肉牛生産を組み合わせた複合システムの環境へのインパクトをライフサイクルアセスメント(LCA)により評価し、複合システムは、温室効果ガス(GHG)排出量およびエネルギー消費量を削減でき、富栄養化のポテンシャルも低下させることを明らかにしました。
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364. 国連食料システムサミットに向けて

今年9月23日(水)、ニューヨークにおいて、国連総会と並行して国連食料システムサミットが開催され、フードシステムについての国際的な議論が行われる予定です。国連食料システムサミットのアジェンダを理解するために、おさらい用として、フードシステム転換論を巡る課題やフードシステムに影響を及ぼす地球規模課題についてとりあげたPick Up記事をリストアップします。
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363. 樹木の葉の形態から生育環境を予測する–気候変動の影響予測に向けて

熱帯林は地球上の樹木の多様性のホットスポットで,土壌や標高などの違いに応じ,見られる種が大きく変わることが知られています.一方で,どのような形態や機能を持った樹種がどの環境に出現するかについてはよくわかっていませんでした.東南アジア最高峰のボルネオ島キナバル山(標高4,095m)においてマレーシアのサバ大学と行った研究から,樹木は頑丈な葉をつけることで,標高が高い地域における低温,多湿,強風等の複数の環境ストレスに対し、光合成が可能な期間を最大化していることが示唆されました. この研究により,河合研究員は第25回日本熱帯生態学会「吉良賞」奨励賞を受賞しました.
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362. 気候変動の転換点(tipping point)

8月20日、グリーンランドの氷山山頂にて、8月14-16日にかけ、1950年に観測が始まって以来初めて降雨が観測されたと報告されました。気候変動に関する議論では、人為的な活動のせいで、地球が次第に不可逆性を伴うような大規模な変化を伴う転換点(tipping point)に達しつつあるとされています。2019年のNature論考を参照し、整理しておきたいと思います。
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361. プロジェクト紹介:生態に基づく越境性害虫の環境調和型防除体系の構築

近年、越境性害虫による農作物の被害が拡大しています。その被害を抑制するためには、開発途上地域を含めた国際的な協力体制を構築する必要があります。「生態に基づく越境性害虫の環境調和型防除体系の構築【越境性害虫】」では、世界的に大きな問題となっている越境性害虫に対して、それぞれの常発生国に所在する研究機関と共同で、環境負荷が小さい管理技術を開発します。加えて、新たな越境性害虫の出現に備えて、効率的に総合防除技術を開発するための指針となる経済評価モデルを提示します。
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360. グローバル・コモンズ保全の必要性に関する世論調査

近年、人為的な経済活動が地球規模の気候変動や環境破壊など不可逆的な危機をもたらす中、グローバル・コモンズ(global commons)の持続可能な利用・管理・維持するためのルール・合意形成の必要性が認識されています。2021年8月、グローバル・コモンズ・アライアンス(The Global Commons Alliance)は、G20諸国におけるグローバル・コモンズの現状認識についての世論調査の結果を公表、73%の人々が、人為的な活動により地球が次第に転換点に達しつつあると考え、83%の人々がグローバル・コモンズの保全と再生に尽くす意思を示しました。
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359. OECD-FAO農業アウトルック報告書出版記念イベント Q&A

2021年7月14日に開催された「OECD-FAO農業アウトルック報告書出版記念イベント」では、アウトルックの前提条件や結果について、FAOのHolger Mattheyシニアエコノミストと、OECDのHubertus Gayシニア農業政策分析官に加え、日本のアウトルック研究専門家である農林水産政策研究所の古橋元上席主任研究官と、国際農研の古家淳領域長に質問が寄せられました。ここでは、頂いた質問への回答を紹介します。
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358. プロジェクト紹介:開発途上地域を対象とした農業分野の総合的気候変動対応技術の開発

農業は温室効果ガス排出を通じて気候変動の原因となると同時に、多大な影響を受ける経済セクターでもあります。農業由来の温室効果ガスを削減する緩和技術ならびに気候変動に伴い頻発化する干ばつなど極端気象への適応技術の開発・普及が求められています。他方、気候変動に強靭かつ持続可能な農業生産の構築のための技術には万能策はなく、各国・各地域の農業生産の特殊性に配慮することが極めて重要になります。「開発途上地域を対象とした農業分野の総合的気候変動対応技術の開発【気候変動総合】」プロジェクトでは、アジアモンスーン地域の国々を対象に、農家の行動変容につながり、対象国の目標に貢献する気候変動緩和技術・適応技術を総合的に開発・実装します。
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357. 2021年7月は史上最高に暑い月

2021年8月13日、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、142年前に記録を開始して以来、2021年7月が史上最高に暑い月であったと報告しました。先週8月9日に公表されたIPCC報告書が言及するように、人為的活動を原因とする気候変動の加速を裏付けるものとしています。
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356. 異常気象と気候変動 の因果関係

2021年6-7月にかけ北半球における熱波・森林火災や洪水などの極端現象が報告されましたが、8月に入っても欧州では観測史上最高記録を更新し、現在、日本でも記録的な大雨が予測されています。最近では気候科学の進展により、極端現象の数週間後には気候変動との因果関係の解明が可能になっているといいます。
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355. 国際青少年デー

国際青少年デー(International Youth Day, IYD)は国連によって制定された記念日です。今年のテーマは、「食料システムの転換:人類と地球の健康に資する青少年のイノベーション」です。若者世代は、持続的な社会を構築していく上で、重要な役割を果たしていくことが期待されています。
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354. 土壌が変われば肥料の効果も変わる ―きめ細やかな肥培管理の実現に向けて―

貧栄養な土壌が原因で生産性が低い熱帯地域の水田や畑では、肥料を撒くことで作物収量を増やすことが望まれます。しかし、肥料は現地農民にとって高価であることから、確実に増収効果が見込めなければ農民は肥料を撒くことを躊躇してしまいます。国際農研は、マダガスカルの水田土壌の性質から、肥料を撒いたときのイネの増収量を推定できることを明らかにし、さらにその土壌の性質を簡単に測定できる手法を開発しました。これらの成果は、土壌の性質に応じたきめ細やかな肥培管理を実現し、農業生産性の向上に貢献することが期待されます。
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353. 気候変動は加速し、かつ強度を増している - IPCC報告書

2021年8月9日、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書・第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)が公表されました。報告書は、近年観察される異常現象の多くが少なくとも過去2000年にわたり前例がなく、人為的な活動による温室効果ガスの排出が気温上昇の原因であることは疑いの余地がないとしています。さらに報告書は、次の20年内に、気温上昇を1.5℃に抑制するとしたパリ協定の目標値を超えてしまうと警告しています。
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352. 生物多様性の未来:2030年までに世界が取るべき行動指針

2021年7月12日、国連生物多様性条約事務局(CBD)は『グローバル生物多様性フレームワーク』の原案を発表しました。このフレームワークには、2030年に向けた21のターゲットが含まれており、世界が取るべき行動指針が示されています。
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351. 戦略的な国際情報の収集分析提供によるセンター機能の強化〜情報プログラム

今日、グローバル・フードシステムは、気候変動や感染症といった地球規模の危機にさらされています。また、グローバル・フードシステムは、生物多様性喪失や気候変動の要因の一つであると同時に、飢えと飽食の両方の問題を抱え、世界の全ての人々に対する健康な食事の提供を達成できずにいます。地球・人類双方にとって持続的なシステム構築のために、科学技術イノベーションが必要とされています。「情報プログラム」は、開発途上地域の農林水産業とグローバル・フードシステムに関する情報を多角的に収集・分析し、科学的知見に基づき地球規模課題の解決策について情報発信していくことを目指します。
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350. 新たな食料システムの構築を目指す国際農研の取組〜食料プログラム

国際農研では、新たな食料システムの構築を目指し、生産性・持続性・頑強性向上技術の開発を進める5年間の「食料プログラム」を令和3年4月から開始しました。このプログラムでは、多様化する開発途上地域の食料システムに関わるニーズに対応した技術開発を通じて、対象地域の安定的な食料生産、国際的な食料需給及び食料栄養安全保障に貢献し、生産性の向上と栄養改善を達成することを目的として活動を進めていきます。
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349. 気候変動対策技術や資源循環・環境保全技術の開発〜環境プログラム

私たち国際農研は、熱帯地域の開発途上国の国立農業研究機関等と協力し、気候変動の影響に苦しむ小規模農家が必要とする持続的で環境調和型の技術開発に取り組んでいます。また、日本の科学技術イノベーションの集大成である「みどりの食料システム戦略」がアジアモンスーン地域の取組モデルとなるよう、当該地域の国々との国際共同研究を進めています。
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348. 地球の窒素循環を改善するトウモロコシ由来の物質の発見

近代農業は窒素肥料の多量投入により維持されています。その一方で、トウモロコシをはじめとする畑で育てる作物では施肥された窒素肥料の50%以上を利用できず、利用されなかった窒素肥料は農地外へと流出する問題が生じています。このムダの多くは、土壌微生物による「硝化」を原因としています。国際農研では、作物が根から産出する物質の持つBNI(生物的硝化抑制)を活用して、農地からの窒素損失を低減することを目指しています。このたび、研究グループはトウモロコシ根からBNI物質を探索し、1種類の新規高活性物質「ゼアノン」を含む4物質を発見しました。見出した4物質を足掛かりにして、国際農研は新たな農業システム構築を進めていきます。