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683. 生物多様性保全に向けた歴史的な国際合意

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683. 生物多様性保全に向けた歴史的な国際合意

12月7日よりカナダ・モントリオールで開催されていた国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が12月19日に閉会しました。 

COP15では、当初、途上国と先進国の間で交渉は難航するとみられていましたが、最終的に2030年までに世界の陸域・海域の少なくとも30%以上の保全を目指す「30 by 30」コミットメントの合意に達したことは、「自然との平和条約 "peace pact with nature"」に相当し、気候変動でのパリ協定にも匹敵すると歓迎されています。農林水産業分野に関しては、生物多様性の持続的な利用・革新的なアプローチを通じた長期的な生産システムの強靭性と効率性への貢献が謡われ、食料廃棄物を半分に削減することも盛り込まれました。

より具体的には、2030年までに達成すべき、4つのゴール、23のターゲットを含む、「昆明モントリオール・グローバル生物多様性フレームワーク(Kunming-Montreal Global biodiversity framework )」が合意されました。 

2030年までに達成されるべきターゲットには、次を含みます。
 

  • 世界の陸域・内水・海岸地域・海洋の少なくとも30%、とりわけ生物多様性・エコシステム機能やサービスにとって重要な地域を重点的に保全する
  • 世界的に食品廃棄物を半減する
  • 農薬や取扱注意の化学薬品の過剰使用やリスクを半減する
  • 2030年までに段階的に生物多様性にダメージを与える補助金を削減あるいは見直す一方、生物多様性保全・持続的利用に資する仕組みを強化する
  • 2030年までに国内・国際生物多様性関連の官民ファンディングを少なくとも毎年2000億ドル調達する
  • 先進国から途上国、とりわけ最貧国・島嶼国・経済移行国に対する国際資金フローを、2025年まで少なくとも年間200億ドル、2030年までに年間300億ドル程度まで増額する 
  • 侵略的外来種を半減させる
  • 多国籍大企業や金融機関に対し、供給網・バリューチェーンにおける活動が生物多様性に及ぼしうるリスク・依存度・インパクトを監視し、評価し、開示することを要求する

 

先進国から途上国への資金フローについては、会期中、途上国が生物多様性ファンドの新設を要請していましたが、既存の地球環境ファシリティ(Global Environment Facility)のもとに特別ファンドを創設することでまとまったと伝えられています。このほか、フレームワークでは、その実施に関する計画・モニタリング・報告・レビュー、資金調達、義務達成のためのキャパシティビルディング、遺伝資源とデジタル配列情報、についても言及しています。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)


 

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