荒井見和主任研究員と伊ヶ崎健大主任研究員らの論文が日本土壌肥料学会の欧文誌論文賞に選定

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国際農研(JIRCAS)の荒井見和主任研究員および伊ヶ崎健大主任研究員(いずれも生産環境・畜産領域)らの論文「Protective role of reactive aluminum phases to stabilize soil organic matter against long-term cultivation in the humid tropics under volcanic influence」が、第24回日本土壌肥料学会 SSPN Award(欧文誌論文賞)に選定されました。

国際農研(JIRCAS)の荒井見和主任研究員および伊ヶ崎健大主任研究員(いずれも生産環境・畜産領域)らの論文「Protective role of reactive aluminum phases to stabilize soil organic matter against long-term cultivation in the humid tropics under volcanic influence」が、第24回日本土壌肥料学会 SSPN Award(欧文誌論文賞)に選定されました。授与式は2026年に実施される予定です。

本論文は、熱帯・島嶼研究拠点の安西俊彦プロジェクトリーダー、農研機構の和穎朗太上級研究員、ならびにフィリピン農業省・砂糖統制庁(SRA)のSantillana 前副長官、Celestial 前主任研究専門員、Tumbay 氏との共同研究による成果です。

同賞は、学会誌Soil Science and Plant Nutrition (SSPN) に掲載された論文のうち、土壌・肥料・植物栄養学および関連する環境科学の進歩に大きく寄与した優れた研究に対して贈られます。

本研究では、多様な土壌タイプが分布するフィリピン・ネグロス島のサトウキビ畑、森林、屋敷林の3つの土地利用から採取した土壌を解析し、熱帯湿潤環境における長期耕作が土壌有機物(SOM)に及ぼす影響を土壌の鉱物特性と関連づけて明らかにしました。その結果、SOM の保持に重要とされる活性アルミニウム量が、森林や屋敷林のみならず、70 年以上耕作が続くサトウキビ畑においても土壌有機炭素(SOC)量を強く規定していることを示しました。さらに、炭素安定同位体比の分析から、活性アルミニウム量の多い土壌ほど森林由来の炭素がより長く残存する傾向を確認し、活性アルミニウムが耕作による SOM 分解の抑制に関与していることを示唆しました。

なお、研究に使用した土壌試料の収集にあたっては、コロナ禍により現地渡航が制限される中、カウンターパート機関であるSRAの協力により、広域かつ多地点での土壌採取を実施することができました。

 

【参考情報】
2024年度国際農林水産業研究成果情報
火山の影響を受けた農地土壌の有機炭素は活性アルミニウムによって安定化される
 

ネグロス島、調査地と土壌の様子

ネグロス島、調査地と土壌の様子

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