令和6年12月5日、東京大学弥生講堂において、農林水産省の主催により、国際シンポジウム「気候変動が世界の食料需給に与える長期的影響と食料安全保障」が開催されました。
当日は、当時米国農務省首席エコノミストのセス・メイヤー氏および国際食糧政策研究所(IFPRI)上級研究員のキース・ウィーブ氏を招き、講演と議論が行われました。
このたび、シンポジウムの様子をJIRCAS公式YouTubeチャンネルにて公開しました。動画は日本語および英語の通訳音声付きで視聴いただけます。
世界の食料需給は、地球規模の気候変動、人口増加、食料価格の高騰、新興国の経済発展、バイオ燃料需要の拡大などを背景に、中長期的なひっ迫が懸念されています。多くの農産物を輸入する我が国にとって、将来の世界の食料需給動向を見通すことは、長期的な食料安全保障を考えるうえで極めて重要です。
そのため農林水産省では、令和4年度から6年度にかけて、国際農研および農研機構に委託し、外部有識者の助言を得ながら、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書(令和4年度公表)を踏まえた世界食料モデルによる2060年に向けた食料需給予測(※)に取り組んできました。
※本予測は、生産性の向上や技術進歩など一定の前提のもとに、気候変動の影響、人口増加、経済成長等のシナリオに基づき、将来の食料需給を見通したものです。報告書は農林水産省大臣官房政策課食料安全保障室のウェブサイトで公開されています。
シンポジウムでは、メイヤー氏が制度変化などを含む生産性の鈍化や適応策の必要性を指摘し、ウィーブ氏は途上国を対象とした世界食料モデル分析の結果から、農業研究、水管理、農村整備への投資の重要性を強調しました。
またパネルディスカッションでは、気候変動下での安定的な食料供給の確保に向け、国際貿易の重要な役割や今後の政策課題について意見交換が行われました。
※サムネイル画像のクリックで動画を再生します。