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928. 2023年の注目Pick Up記事

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928. 2023年の注目Pick Up記事

 

今日のPick Upは、2023年のアクセス数による注目記事から、2023年の世界食料安全保障・気候変動などの話題を振り返ります。


1    773. 2023年のエルニーニョ現象見通しhttps://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20230510
5月3日世界気象機関WMOは今年後半にエルニーニョ現象の影響が増していく可能性についての見通しを発表しましたエルニーニョ現象はここ数年間ラニーニャ現象がもたらしてきた天候気候パターンとは対照的なインパクトを及ぼし世界の気温をさらに押し上げる可能性があります

2    820. 報告書「2023年世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20230714
本報告書によると2022 年の世界の飢餓人口は6 億 9,100 万~7 億 8,300 万人と依然として新型コロナウイルス感染症パンデミック前の水準をはるかに上回っており、2019年と比べて1億2,200万人増加、人口割合では7.9%から9.2%へと増加しています。

3    796. メタンガス削減に寄与するカギケノリ養殖研究
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20230612
牛や羊のげっぷに含まれるメタンガスは温室効果ガスの一つで気候に大きな影響を与えていると考えられています。近年海藻を牛の飼料に添加して与えることで牛のメタン排出が抑えられることがわかってきました。特にカギケノリという海藻はメタン削減効果が高く大きな関心が寄せられています。

4    823. 2023年世界多次元貧困指数(MPI)報告書
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20230720
2023年の発表によると、61億人のうち11億人が深刻な貧困のなかで暮らしています。その半分はサブサハラアフリカ、3分の1は南アジアの人口で、6人に5人がサブサハラアフリカか南アジアに住んでいます。


5    792. 2023年5月 世界食料価格動向
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20230606
2023年5月の値は平均124.3ポイントで、前月から3.4ポイント(2.6%)と下落、一年前の2022年3月につけた史上最高値から35.4ポイント(22.1%)低い水準となりました。

6    810. 2022年における世界の森林破壊
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20230630
6月27日世界資源研究所WRIが運営するグローバルフォレストウォッチは2022年にスイスの国土面積に匹敵する410万ヘクタールの熱帯原生林が失われたと報告しました。


7    802. フラッシュ干ばつリスクの増大
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20230620
干ばつの場合は、通常は数年・数十年かけて生じることが多いのですが、近年では数週間から数か月の間に急激に強度を増していく干ばつとして、フラッシュ干ばつ(flash droughts)という現象が増えてきているそうです。

8    817. 2023年・世界人口デー
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20230711
食料栄養安全保障を維持しつつ、国際開発問題と気候変動対策を検討する上で、将来の人口水準がとりうるパターンや各国各地域の人口動態を理解することは極めて重要です。国連の推計によると、世界人口は2022年に80億人に到達する一方、2023年初めには長らく中国が有していた国別の人口世界一の座が、インドに移ったことも伝えられました。


9    774. 食料危機に関するグローバル報告書2023
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20230511
2023年版食料危機に関するグローバル報告書によると2022年時点で2億5000万人以上の人々が急性的な食料不安に陥っており過去 7 年間で最も高い数字となっています。


10    782. 今後5年間に産業革命期の平均気温を1.5℃超える可能性
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20230523
5月17 日、世界気象機関(WMO)は、2023-2027年の5年間の少なくとも1年に、産業革命期の平均気温を1.5℃超す可能性が高いと発表しました。


以下、20位まで。
11    853. 森林火災・山火事のトレンド
12    897. エルニーニョ現象は2024年4月頃まで継続の見込み
13    859. 9つのプラネタリーバウンダリーのうち6つが危険領域に
14    845. サバクトビバッタが脱皮中の共食いを避ける行動を解明 -農薬使用量の削減に繋がる防除方法確立のために
15    757. 国連世界水開発報告書2023:水のためのパートナーシップと協力
16    838. 世界気温に関する複数の指標が最高値を更新
17    769.動物性食品は敵か味方か
18    816. 2023年6月 世界食料価格動向
19    819. 世界の飢餓の現状と見通し
20    758. 貧栄養なアフリカの土壌における効果的な堆肥施用法の確立に向けて

 


以上、20位までの記事で目立つキーワードは、エルニーニョ現象・世界気温上昇(4件)、貧困・食料危機・飢餓の現状(4件)、森林破壊・山火事(2件)、でした。

エルニーニョ現象は太平洋赤道付近の海面温度を上昇させる自然現用ではありますが、人為的な活動による気候変動の二重のショック(“double whammy”)により、2023年は史上最高に暑い年になりそうなことはほぼ確実とみられており、来年はそれよりも暑くなる可能性もあります。

森林破壊や山火事も多かったのが今年の特徴で、カナダで史上最悪の森林火災が観測され、さらにハワイでも惨劇が報告されました。気候変動は森林火災の状況を悪化させている一因と考えられ、極端な熱波のもとで、森林火災からの温室効果ガス排出が気候変動を悪化させるという「 火災・気候のフィードバックループ“fire-climate feedback loop”」が発現している可能性が指摘されています。人為的な経済活動も森林破壊の原因となっていますが、今年のJIRCAS国際シンポジウムでは、アジアの熱帯林に着目し、環境保全と持続可能な産業の共存を実現するために、実際に適用可能かつ具体的な熱帯林資源管理や制度等のイノベーションについて議論しました。

食料不安を引き起こしているのは度重なるショックです。紛争、治安の悪化、経済的なショック、異常気象などは相互に関連し、強化されます。2022年の主な要因としては、長期化した新型コロナウイルスの影響、ウクライナ戦争の波及、干ばつや異常気象が何度も繰り返されたことなどが挙げられます。終わりの見えないロシアのウクライナ侵攻や中東の紛争が続く中、生活費の高騰が貧困撲滅に向けた努力を損ねています。世界平和に向けて、国際社会の協調が求められています。


(文責:情報広報室 金森紀仁、情報プログラム 飯山みゆき)

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