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823. 2023年世界多次元貧困指数(MPI)報告書

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823. 2023年世界多次元貧困指数(MPI)報告書

 

7月11日、国連開発計画(UNDP)と英国オックスフォード大学のオックスフォード貧困・人間開発イニシアチブ(OPHI)は2023年世界多次元貧困指数(global multidimensional poverty index: MPI)報告書を公表しました。本報告書は、世界の多面的な貧困(以下「貧困」)の最新状況を簡潔にまとめたもので、 発展途上国の110か国で、発展途上国の人口の 92% に相当する 61 億人を対象としています。 

MPIとは、UNDPとOPHIが2010年人間開発報告書において導入した、貧困を多面的に捉えるための指数です。通常は金銭的な観点からのみ貧困が定義されますが、このMPIでは教育・健康・生活水準の3つの次元に含まれる具体的な指標項目に重み付けをして算出された点数が基準値よりも高い場合に貧困と定義されます。MPIは国家間の比較も可能です。

2023年の発表によると、61億人のうち11億人が深刻な貧困のなかで暮らしています。その半分はサブサハラアフリカ、3分の1は南アジアの人口で、6人に5人がサブサハラアフリカか南アジアに住んでいます。貧困層の半数は18歳未満の子どもが占めており、子どもの貧困率は27.7%、大人の貧困率は13.4%です。貧困層の84%が農村部の人口です。

長期にわたる比較可能なデータが存在する 81 か国に焦点を当てた、 2000 年から 2022 年までの傾向の分析では、インド、中国、インドネシアなど25 か国が わずか15 年間でMPIを半減することに成功しており、急速な進歩が達成可能であることが明らかになりました。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関する包括的なデータが不足しているため、当面の見通しを評価する際に課題が生じています。貧困削減の勢いがコロナ禍でも続いていた可能性があるようにみえる国もありますが、世界的な影響の全容はまだ測ることができていません。データを収集するのは極端に困難な話ではないとして、貧困に関するデータ収集の重要性を述べています。

 

(参考文献)
UNDP (United Nations Development Programme). 2023. 2023 Global Multidimensional Poverty Index (MPI): Unstacking global poverty: Data for high impact action. New York.  https://hdr.undp.org/content/2023-global-multidimensional-poverty-index… 

UNDP, “25 Countries Halved Multidimensional Poverty Within 15 Years, but 1.1 Billion Remain Poor.” Press release, July 11, 2023. https://www.undp.org/press-releases/25-countries-halved-multidimensiona….  Accessed on July 18, 2023.

 

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)

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