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762. 世界食料政策報告書2023:食料危機対応の再考

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762. 世界食料政策報告書2023:食料危機対応の再考

4月、国際食糧政策研究所(IFPRI)の旗艦報告書である2023年世界食料政策報告書(Global food policy report)が出版されました。今年の副題は「食料危機対応の再考」です。

2022 年、世界は複数の危機に直面し、飢餓や栄養不良の人口が増加しました。COVID-19パンデミック、大規模な自然災害、市民の不安と政治的不安定、気候変動の影響などによりフードシステムの混乱はおさまらず、そのうえロシア・ウクライナ情勢に関連する食料と肥料の価格の急騰によって状況は悪化しました。

紛争・病気・気候に関連する災害がグローバルおよび国内の食料システムに与えるショック、そして貧困や飢えに苦しむ人口の増加は、広範囲にわたり長期化することも多い食料危機に対して、より長期的で効果的な対応をする必要性が差し迫っていることを浮き彫りにしています。 特に気候変動に伴い今後危機がより頻繁に発生する可能性があることを考えると、危機が発生した後に実施される人道的対応だけでは不十分であり、より良い予測、準備、および回復力の構築に向けて動くことが求められます。今を食糧危機への対処方法を再考する絶好の機会と捉え、本報告書ではデータに基づくエビデンスを示し、政策提言を行っています。

本報告書では3つの点に焦点をあてています。1)危機を予測し準備する、2)危機の起こる前や最中にレジリエンスを構築する、3)危機対応を女性、強制移住者、その他脆弱なグループを支援・包摂したものとする、です。

フードシステムは環境、貿易、経済、インフラ、ガバナンス、医療、社会的保護などの他の重要なシステムとも密接に結びついており、互いに影響を及ぼしあっています。危機に対して後手に回るのではなく積極的に対応することで、より恒久的で持続可能な対応ができ、食料安全保障や栄養改善、持続可能な生活に貢献することができるでしょう。

 

参考文献
International Food Policy Research Institute (IFPRI). 2023. Global food policy report 2023: Rethinking food crisis responses. Washington, DC: International Food Policy Research Institute (IFPRI). https://doi.org/10.2499/9780896294417   


(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)
 

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