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375. 食料システム転換のためのSTI(科学技術イノベーション)
375. 食料システム転換のためのSTI(科学技術イノベーション)
2021年、9月23日は国連食料システムサミットが、12月7-8日には東京栄養サミットが開催される予定であり、食料システム転換が国際的なアジェンダとして注目されています。これを機会に、外務省の科学技術外交推進会議は、「地球の健康(planetary health、地球環境と人間の健康の連関):食料システム転換のための科学技術」提言書をとりまとめ、外務省のHPで公表しました。
提言では、飢餓・栄養不良を改善し地球環境にも配慮した食料システム転換を図るべく、これに資する科学技術イノベーション(STI)の世界的な利活用を促進し、あらゆるステークホルダーと協働して共に歩みを進めるため、日本の強みを活かしたSTIショーケースを提案しました。
STIショーケースでは、国際農研の開発した技術の中でも、アフリカ・アジア・ラテンアメリカの開発途上国地域で即利用可能な技術を中心に8件のSTIが紹介されています。
- 水田間断灌漑技術(AWD)によるライフサイクル温室効果ガス削減
- 低品位リン鉱石を活用したリン肥料の生産技術
- オイルパーム古木の高付加価値化
- カシューナッツ殻液(CNSL)給与によるライシン牛からのメタン排出量削減
- 農業IoTソリューション
- 養分利用に優れたイネ生産技術
- ゲノム育種(病害耐性大豆)
- キヌアの持続可能な生産技術の開発
これらの技術に関しては、開発途上国の現場において、環境負荷を最小化しながら希少な資源の有効活用を通じて農業生産性の向上を達成する、すわなち環境持続性と食料安全保障を両立しうるというエビデンスが得られています。環境持続性と食料安全保障の両立というのは、農林水産省の「みどりの食料システム戦略」のコンセプトとも一致します。あらゆるコンテクストに適応可能な万能策はなく(No One-Size-Fits-All)、技術を導入する地域の生態学的・社会経済条件に配慮しながら技術のポートフォリオを選択・適応させていく必要があります。国連食料システムサミット・東京栄養サミットを機会に、日本発のSTIをアピールすることで、日本の技術が地球規模課題の解決や持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献することが期待されます。
参考文献
外務省 報道発表 松本外務大臣科学技術顧問による鷲尾外務副大臣表敬 令和3年9月2日https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000896.html
「地球の健康(planetary health、地球環境と人間の健康の連関):食料システム転換のための科学技術」とした提言
(1)本文(日本語)(PDF) https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100229852.pdf
(2)概要紙(日本語)(PDF)https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100229853.pdf
(3)要旨(英語)(PDF)https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100229855.pdf
(4)STIショーケース(日本語)(PDF)https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100229856.pdf
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)