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1109. 科学技術イノベーションに関するコミュニケーション

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1109. 科学技術イノベーションに関するコミュニケーション

 

今日、科学技術イノベーションは、人間の生活のあらゆる分野でますます重要になっています。一部の発展途上国は、科学技術の急速な進歩の機会をとらえ、飛躍的な開発を遂げています。しかし、適応に精一杯な多くのグローバルサウス諸国にとり、急速に変化する科学技術イノベーションの状況は大きな課題をつきつけてきます。技術力の差異と広範な技術普及に必要なガバナンスフレームワークの不在により、先進国と発展途上国の間の永続的な技術アクセスギャップが状況を悪化させています。

気候変動が加速し、環境問題も山積していく中、人口増により今後も世界食料需要をけん引していくグローバルサウスの農林水産業動向は、世界および日本の食料安全保障にとっても重要な課題です。グローバルサウスの農林水産業における科学技術イノベーションは、国際農研の情報発信の対象ですが、参考になるのがNature誌の気候変動に関するコミュニケーションの重要性に関する論説です。

論説によると、気候コミュニケーションの研究者らは、気候変動が現実であることを人々に知らせる方法として、科学者らのコンセンサスメッセージが役に立つと認めました。

一方で、コンセンサスメッセージは認識や行動変容の恒久的なシフトをもたらすには十分ではなく、個々人にとって納得のいくものである必要があります。例えば気候変動が我々の愛する人々や場所・モノに影響を与えている、といった具合です。かつては、ホッキョクグマが融解する氷床にしがみつく映像を通じて、温暖化の状況の深刻さを伝えることがありました。しかし今やホッキョクグマよりも、気候変動が食料価格や安全保障に与える影響の方が効果的です。例えば、カナダの森林火災によって子供のぜんそくが悪化するといった変化は、人々に現実問題として理解されます。個々人の経験と気候変動をつなぐ、“connect the dots” の作業が必要とされているのです。

国際農研は、世界の食料安全保障問題・グローバルサウスの農林水産業における科学技術イノベーションを自分事として捉えられるよう、引き続きコミュニケーションやイベント等を通じた情報発信を行っていきます。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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