国際農研とメキシコ国立農牧林研究所(INIFAP)はダイズさび病に関する共同研究を実施しており、その成果の一部が米国植物病理学会誌の一つPhytoFrontiersに「Virulence Diversity of Phakopsora pachyrhizi in Mexico」として掲載されています。著者はINIFAPのJulio César García-Rodríguez、国際農研 生物資源・利用領域の山中直樹主任研究員らです。この度、この論文が「2021年の優秀学生論文賞」の佳作に入賞しました。
本賞は、アメリカ植物病理学会誌、Phytopathology、Plant Disease、Molecular Plant-Microbe Interactions、Plant Health Progress、Phytobiomes Journal、PhytoFrontiersの各誌に掲載された論文のうち筆頭著者が学生である優秀な論文をそれぞれ表彰するものです。
本論文は、メキシコにおける近年の大豆栽培の増加に伴い問題となっているダイズさび病について、メキシコの主要な生産地2州で採取されたダイズさび病菌が全く異なる病原性の特徴を有していたことを示すものであり、近接した地域におけるさび病菌の病原性が明瞭な地理的差異を示す世界的にも稀な事例です。この論文の内容は2021年の国際農研成果情報「メキシコのダイズさび病菌の病原性は2つの傾向に大別される」でも紹介されています。
また、この論文は「2021年の優秀学生論文賞」の他に編集者推薦論文「Editor’s Picks」としても選出されています。
Julio César García-Rodríguez, Zeferino Vicente-Hernández, Manuel Grajales-Solís, Naoki Yamanaka (2022) Virulence diversity of Phakopsora pachyrhizi in Mexico. PhytoFrontiers 2 (1): 52-59 https://doi.org/10.1094/PHYTOFR-06-21-0044-R