未来科学人材アカデミー第15回:群馬県立前橋高等学校の生徒がダイズ品種やさび病の観察を体験

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令和7年10月28日(火)、群馬県立前橋高等学校の生徒9名を国際農林水産業研究センター(JIRCAS)に迎え、「未来科学人材アカデミー」第15回講座を開催しました。

未来科学人材アカデミー

令和7年10月28日(火)、群馬県立前橋高等学校の生徒9名を国際農林水産業研究センター(JIRCAS)に迎え、「未来科学人材アカデミー」第15回講座を開催しました。

同校では、最先端の科学技術について知ることで、生徒の科学に対する興味関心を高め、進路意識の高揚を図ることを目的に科学研修を実施しており、今回の訪問はその一環として実施されました。

講座の冒頭では、JIRCASの研究活動や国際共同研究の概要を紹介し、世界各国のパートナーと協力して進める農林水産分野の研究が、日本に住む私たちの食や生活にどのように貢献しているかを説明しました。また、研究が持続可能な開発目標(SDGs)に果たす役割についても触れ、日本が開発途上国での研究や技術開発への協力を進める意義について、生徒自身が考える機会を提供しました。

続いて、生物資源・利用領域の山中直樹主任研究員による講義が行われました。講義では、世界のダイズ生産の現状と、その中でも生産量が多い南米で課題となっているダイズさび病について説明がありました。山中主任研究員は、複数のさび病抵抗性の遺伝子を組み合わせることで抵抗性を高めた品種の育成を行い、さらにこの品種を、現地で利用される高品質・高収量の品種と掛け合わせて実用性の高い品種を育成する研究を進めています。こうした南米各国のパートナーと連携した活動の結果、現在はさび病抵抗性を持つ4品種が現地で品種登録されていることを具体的な事例を交えて紹介しました。

その後、講義で学んだことの一部を実際に体験する「ダイズ品種の比較」の実習が行われました。生徒たちは「子実」「植物体」「さび病抵抗性」に着目して、実際に植物体に触れながら品種を比較し、さび病に罹病した葉やさび病菌胞子の発芽の様子を顕微鏡で観察しました。生徒たちは熱心に観察を行い、山中主任研究員とともに研究を進めるチームのメンバーにも積極的に質問を投げかけていました。

改良前の品種と見た目がほとんど変わらないにもかかわらず、新しく開発された品種上ではさび病の胞子が全く形成されていない様子を目の当たりにした生徒たちは、驚きの声を上げていました。また、ダイズの豆は見たことがあっても、植物体を見たことがない生徒も多く、「はじめてダイズをちゃんと知った」と感想を漏らしながら観察する姿も印象的でした。

今回の訪問を通じて、生徒たちは科学の可能性、研究の社会的意義、そして国際協力の重要性について理解を深め、自身の進路や将来の目標について考える貴重な機会となりました。今後も、未来の科学人材の育成に向けて、研究現場に直接触れる機会を提供し、科学技術への興味・関心をさらに高めていきたいと考えています。

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