未来科学人材アカデミー第20回:栃木県立栃木高等学校の1年生が国際農研でイネの多様性を学びました

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令和7年11月13日(木)、栃木県立栃木高等学校の1年生42名を国際農林水産業研究センター(JIRCAS)に迎え、「未来科学人材アカデミー」第20回講座を開催しました。

未来科学人材アカデミー

令和7年11月13日(木)、栃木県立栃木高等学校の1年生42名を国際農林水産業研究センター(JIRCAS)に迎え、「未来科学人材アカデミー」第20回講座を開催しました。同校では、科学に対する興味関心の向上と進路意識の高揚を図るため、科学研修を実施しており、今回の訪問はその一環として行われました。

今回の講座は、JIRCAS本館2階の国際会議室での講義と、八幡台圃場での実習の2部構成で行い、生徒たちは2グループに分かれ、交代で講義と実習を体験しました。

講義では、JIRCASの研究活動や国際共同研究の概要を紹介し、世界各国のパートナーと協力して進める農林水産分野の研究が、日本に住む私たちの食や生活にどのように貢献しているかを説明しました。また、日本の食料生産の現状や国際的な食料生産・流通にも焦点を当て、日本が開発途上国での研究や技術開発への協力を進める意義について、具体的な例を挙げ紹介しました。

特に、「農林水産分野の研究が持続可能な開発目標(SDGs)にどのように貢献するか」という議題については、グループ討議を行い、それぞれのグループの意見を発表してもらいました。各グループから出された様々な意見をもとにした議論を通じて、生徒自身が科学の可能性について考える機会を提供できました。

八幡台圃場では、生物資源・利用領域の佐々木和浩主任研究員による実習が行われ、生徒たちはイネの5つの品種を比較し、4つの違いを見つけるという課題に挑戦しました。生徒たちは熱心に見比べたり触ったり、班で話し合いながら特徴を探しました。

中には稲穂から籾を剥いて並べて観察する生徒や、食べ比べて味や風味の違いを確かめる生徒もおり、その鋭い感覚に佐々木主任研究員も感心していました。生徒たちから発表された意見をもとに、佐々木主任研究員は、日本と世界の品種の違いや歴史、緑の革命から現在のサステナブル農業までを解説し、最近のコメ価格高騰など、食料を取り巻く社会的課題にも触れました。

さらに、自身のキャリアについても紹介し、中学時代に経験した冷害をきっかけに品種改良に興味を持ち、国際稲研究所(IRRI)で世界のイネ研究に携わった経験から、「自分が今興味を持っていることを大切にしてほしい」と生徒たちにメッセージを送りました。また、圃場を案内した職員からも、宇宙への興味を出発点に農業研究に進んだ自身の経歴を語り、「いろんな世界を見て、ぜひ農業にも興味を持ってほしい」と呼びかけました。

今回の訪問を通じて、生徒たちは科学の可能性、研究の社会的意義、そして国際協力の重要性について理解を深め、自身の進路や将来の目標について考える貴重な機会となりました。今後も、未来の科学人材の育成に向けて、研究現場に直接触れる機会を提供し、科学技術への興味・関心をさらに高めていきたいと考えています。

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