令和7年10月9日(木)、栃木県立真岡高等学校の1年生40名を国際農林水産業研究センター(JIRCAS)に迎え、未来科学人材アカデミー第12回講座を開講しました。
令和7年10月9日(木)、栃木県立真岡高等学校の1年生40名を国際農林水産業研究センター(JIRCAS)に迎え、未来科学人材アカデミー第12回講座を開講しました。同校では、文理選択の参考として、国際的な事業や最先端の科学技術に触れることで、生徒の科学への興味・関心を高め、進路意識の向上を図ることを目的に、筑波研究学園都市の研究機関での研修を毎年実施しています。
はじめに、JIRCASの研究活動や国際共同研究の概要を紹介し、世界各国のパートナーと協力して進める農林水産分野の研究が、私たちの社会にどのように貢献しているのかを説明しました。特に、開発途上国での取り組みが日本の暮らしとどのように関係しているのかを、生徒自身に考えてもらい、多様な視点を共有することで、グローバルな課題への理解を深める機会となりました。
続いて、生物資源・利用領域の丸井淳一朗主任研究員が、ラオスで進めている発酵魚調味料「パデーク」の安全な製造方法の確立に向けた研究や、ラオス・タイで始まった日本の麹技術を活用した甘酒などの高付加価値食品の開発について紹介しました。講義では、現地の人たちと継続的にコミュニケーションを取ることによって、様々なアドバイスをもらいながら研究を進めていく様子を、現地で作成したパデークのサンプルの観察を交えながら、具体的な事例を用いて説明しました。現地の知識や知恵に、先進的な科学の知見を融合させながら研究を進めるという、JIRCASの活動の魅力があふれる講義となりました。
また、丸井主任研究員からは、現地を訪れることで得られる理解の深さについて触れ、「ぜひ機会を見つけて、日本の外の世界を体験してみてほしい」との提案もありました。国際的な研究活動を進める上では英語などの言語スキルが重要ですが、現地の言葉で「こんにちは」「ありがとう」「おいしい」といった基本的な単語を使うことで、パートナーとの距離がぐっと縮まるという豊かな国際経験に基づいたアドバイスも共有されました。
講義の後には、生徒から多くの質問が寄せられました。「パデークの安全を確保するために塩を多く使うとのことだったが、健康への影響は?」「麹菌は日本独自の技術なの?」「海外で危険な目にあったことはない?」など、活発な質疑応答が行われ、丸井主任研究員は一つひとつ丁寧に回答していました。生徒たちの関心の高さと、国際的な視野を広げようとする姿勢が印象的でした。
今回の訪問を通じて、生徒たちは科学技術の社会的意義や国際協力の重要性を再認識し、自身の進路や将来の目標について考える貴重な機会となりました。今後も未来の科学人材の育成に向けて、研究現場に直接触れる機会を提供し、科学技術への興味・関心をさらに高めていきたいと考えています。