令和7年8月19日(火)、群馬県立前橋女子高等学校の1・2年生31名を国際農林水産業研究センター(JIRCAS)に迎え、未来科学人材アカデミー第8回講座を開講しました。
令和7年8月19日(火)、群馬県立前橋女子高等学校の1・2年生31名を国際農林水産業研究センター(JIRCAS)に迎え、未来科学人材アカデミー第8回講座を開講しました。
同校は、国際的な事業や先端科学技術に触れる機会を通じて、生徒の国際社会や理数分野への関心を高め、進路選択の参考とすることを目的に、筑波研究学園都市の研究機関を毎年訪問しています。
訪問当日は、まず玄関ホールに設置された展示を見学し、JIRCASの幅広い研究活動について理解を深めました。特に、BNI(Biological Nitrification Inhibition)コムギの開発や、東南アジアにおけるパームバイオマス活用技術などの実物展示に興味を持ち、日常的に利用しているコムギやパーム油の生産が自然環境に与える影響を身近に感じる機会となりました。
続いて、JIRCASの研究活動や国際共同研究の概要に加え、世界各国のパートナーと協力して進める農林水産業分野の研究が社会にどのように貢献しているかについて紹介した後に、生徒自身が考える時間を設けました。特に農林水産業分野の研究とSDGs(持続可能な開発目標)との関係についてはグループに分かれて活発な議論が行われ、発表を通じて多様な視点を共有しました。
さらに、「研究者へのキャリアパスと海外経験・アフリカでの研究紹介」と題して、社会科学領域の八下田佳恵研究員による講義が行われました。八下田研究員は自身の経験をもとに、研究の魅力や困難さについて、NGOや国際機関での活動、現地での写真や逸話を交えながら紹介し、生徒たちと意見交換を行いました。生徒たちは、八下田研究員自身が感じた英語スキルの重要性や現地の安全性の話や、海外に出ることへの保護者の反応などの話に熱心に耳を傾けていました。
また、八下田研究員がアフリカで進めている、現地農家が土壌肥沃度をどのように認識しているかを探る研究にも関心が集まりました。講義後には「海外で得られた研究成果は日本でも活用できるのですか?」という鋭い質問もあり、国際的な遺伝資源を活用した品種改良や、日本への技術適応の事例、さらには世界の農家が持つ知識や技術を理解することで、さらなる技術開発や普及を推進できる可能性について説明しました。
今回の訪問を通じて、生徒たちは科学技術の社会的意義や国際協力の重要性を再認識し、自身の進路や将来の目標について考える貴重な機会となりました。今後も、未来の科学人材の育成に向けて、研究現場に直接触れる機会を提供し、科学技術への興味・関心をさらに高めていきたいと考えています。