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350. 新たな食料システムの構築を目指す国際農研の取組〜食料プログラム

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350. 新たな食料システムの構築を目指す国際農研の取組〜食料プログラム

世界の食料システムは、人口増加や気候変動などの影響による問題を抱えています。新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)は、この食料システムの脆弱性(もろさ)を明らかにし、状況を悪化させました。パンデミックに限らず、現在起きている、あるいは将来発生する可能性のある、さまざまな問題に対処するため、食料システムのレジリエンス(外的な撹乱に対する耐性や回復力)を強めることが不可欠です。

開発途上地域における食料システムのレジリエンスを強めるためには、以下のような、多様化している食料システムに関わるニーズに対処する必要があります。

  • 社会的ニーズ:カロリーベースの量的な栄養改善、タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの質的な栄養失調の改善、食を通じた生活習慣病対策を含む健康の実現など
  • 経済的ニーズ:労力の削減や生産性の向上、バイオマス・水・土地などの地域資源の最大活用、気候変動や越境性病害虫などのリスクに強い農業など
  • 生物圏ニーズ:化学肥料や農薬の低減、生物多様性の保全と再生など

そして、これらのニーズの解決には、ICT(Information and Communication Technology;情報通信技術)、IoT(Internet of Things;モノのインターネット)、バイオ技術等、先端技術の活用が期待されています。

国際農研では、令和3年4月1日からスタートした第5期中長期計画(令和7年度までの5年間)において、新たな研究プログラム・プロジェクト体制のもとで研究活動を行っています。


食料プログラムでは、前述のような多様な食料システムに関わるニーズに対応し、国内や海外の研究機関などと連携協力した技術開発と、開発した技術の活用を通じて、対象地域における安定的な食料生産、国際的な食料需給、食料栄養安全保障に貢献するため、「食料生産性の向上と栄養改善を達成する新たな食料システム」の構築を図ります。

そのために、(1) 作物・食品加工技術開発、(2) 環境調和型生産基盤の維持強化、(3) アフリカ食料・栄養安全保障に分類できる、以下の6つの「生産性・持続性・頑強性の向上にむけた技術開発プロジェクト」を推進します。これら全てのプロジェクトは、おもに「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標2「飢餓をゼロに」に貢献します。

(1)    作物・食品加工技術開発
B1 レジリエンス強化作物とその生産技術の開発【レジリエント作物
B2 在来作物遺伝資源や伝統食品を活用した新需要創造のための作物及び食品の開発【新需要創造


(2)    環境調和型生産基盤の維持強化
B3 生態に基づく越境性害虫の環境調和型防除体系の構築【越境性害虫
B4 生態系アプローチによる熱帯域の持続的水産養殖技術開発及び普及【熱帯水産養殖


(3)    アフリカ食料・栄養安全保障
B5 アフリカのための稲作を中心とした持続的な食料生産システムの構築【アフリカ稲作システム
B6 アフリカ小規模畑作農業の生産性・収益性・持続性を向上させる畑作システム支援ツールの構築に向けた技術開発【アフリカ畑作支援


(参考文献等)

(文責:食料プログラム 中島 一雄)