CoolRiceプロジェクトキックオフ会合で長谷川理事長が講演

2026年6月29日、フィリピン・ロスバニョスの国際稲研究所(IRRI)本部において、「IRRI-農林水産省クールライスプロジェクト・キックオフ」会合が開催され、国際農研の長谷川利拡理事長が登壇しました。

2026年6月29日、フィリピン・ロスバニョスの国際稲研究所(IRRI)本部において、「IRRI-農林水産省クールライスプロジェクト・キックオフ」会合*が開催され、国際農研の長谷川利拡理事長が登壇しました。

近年、気候変動に伴う気温上昇、熱波、気候変動性の増大により、稲作は深刻な影響を受けています。特に、開花期の高温は不稔による収量低下を引き起こし、登熟期の高温はコメ品質の低下や市場価値の低下につながることが指摘されています。こうした課題は熱帯地域に限らず、日本を含む温帯地域にも広がっています。本会合では、高温耐性イネ品種の開発、作物生理、気候影響評価、栽培技術、デジタル農業、温室効果ガス削減等を含む幅広い研究分野を対象に、今後の国際共同研究の方向性について議論が行われました。

会合の冒頭では、IRRIのYvonne Pinto所長による歓迎挨拶が行われ、「IRRI 2025-2030 Strategy」が紹介されました。これに続き、農林水産省農林水産技術会議事務局の佐藤一絵研究総務官によるビデオメッセージおよび同事務局の野澤聡国際研究官による特別挨拶がなされ、IRRI、農研機構及び国際農研が連携して進める本プロジェクトの下での高温耐性イネ研究とその低コスト・低GHG排出栽培技術の開発への期待が述べられました。続いて、国際農研の長谷川理事長が特別挨拶を行い、高温耐性品種の開発と低コスト・低排出型の栽培技術の推進が、収量安定、生産コスト削減、温室効果ガス削減、農業の強靱性向上に重要であると述べた上で、これらの課題には単一技術では対応できず、育種、栽培技術、デジタル情報、早期警戒、研究・行政・普及・農家の連携を組み合わせた統合的アプローチが必要であることを強調しました。

その後、IRRIの齋藤和樹上級研究員より、農林水産省とIRRIの研究協力ポートフォリオ及びCoolRice Projectの概要が紹介されました。また、IRRIのNese Sreenivasulu主席研究員及び農研機構中日本農業研究センターの石丸努上級研究員より、高温ストレス耐性に関する遺伝的改良の最近の進展について特別講演が行われました。

また、午後には、IRRI職員を対象としたセミナーが開催され、野澤国際研究官から農林水産分野における国際研究協力の進捗について講演が行われました。続いて長谷川理事長から、「アジアにおける気候変動に強靭かつ低排出イネシステムー国際農研とIRRIの協働による統合的な適応、緩和及びイノベーション」と題した講演を行いました。この中で長谷川理事長は、国際農研による中長期計画を紹介するとともに、データを用いて高温耐性イネ研究の重要性を示し、CoolRiceの統合的プラットホームの必要性や日本とIRRIが協働することで、アジアにおける気候変動に強い次世代稲作システムの構築・展開を先導することができること、研究結果は国際農研の「グリーンアジア」の後継事業として令和8年度から開催された「グリーンアジア+:OPTIMA-GS」に接続しうることなどについて説明しました。

本プログラムへの参加を通じて、気候変動下における稲作の持続性向上に向けた研究分野において日本とIRRIの連携が一層強化されるとともに、CoolRice Projectの円滑な推進に向けた関係機関間の理解が深まりました。

なお、本キックオフ会合については、複数メディアに掲載され、国内でも注目を集めました。

*令和7年度農林水産省補正事業: アジア地域の食料安全保障に向けた高温耐性イネ品種育成及び低コスト・低GHG栽培技術の確立

参考
温暖化に負けないコメを開発 日本、フィリピンの研究所と共同研究 (日本経済新聞、令和8年6月29日) 
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB296RB0Z20C26A6000000/ 

 

特別講演を行う長谷川理事長

午後のセミナーセッションにおける長谷川理事長による講演

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