SATREPSパームトランクの研究成果を実用化~パナソニック新技術マテリアル「PALM LOOP」~

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SATREPS「オイルパーム農園の持続的土地利用と再生を目指したオイルパーム古木への高付加価値化技術の開発」プロジェクトの共同研究メンバーであるパナソニック株式会社は、新技術によりパームトランクペレットのマテリアル化に成功し、「PALM LOOP」をグローバル共通名称とし、家具製造市場へ展開することが決まりました。

オイルパームの果実から採取されたパーム油は、食用油や洗剤の原料として多岐にわたって使用されており、商業作物としてマレーシアやインドネシアなどの東南アジア諸国で大規模に栽培されています。そのパーム油の原料となるオイルパームは収穫期を終えると、その廃材の多くが農園内に放置され、腐敗・分解が進みます。その際、メタンガスを含む温室効果ガスを排出することが問題視されています。

国際農研では、オイルパームの廃材(パームトランク)の利用研究を進め、その成果を基に地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)「オイルパーム農園の持続的土地利用と再生を目指したオイルパーム古木への高付加価値化技術の開発」プロジェクトを進めています。プロジェクトでは、共同研究メンバーである株式会社IHIと共に良質でカーボンニュートラルなパームトランクペレットの開発に成功しています。

今回、同じくSATREPSの共同研究メンバーであるパナソニック株式会社は、新技術によりパームトランクペレットのマテリアル化に成功し、「PALM LOOP」をグローバル共通名称とし、家具製造市場へ展開することが決まりました。

世界的に木材資源の減少が深刻化する中、未利用資源であるパームトランク由来の再生木質ボードは温室効果ガス抑制に繋がるだけでなく、従来の木質ボードの代替品として高い利用価値を有しています。

このパームトランクペレットから製造された再生木質ボードは「PALM LOOP ボード」として家具製造メーカーで加工され、このボードを使用した家具には、「PALM LOOP」のロゴを表示してもらうことで、環境に配慮した資材であることをアピールします。
家具の市場は特にアジアで年々伸びており、今後、国内だけでなく海外市場や他領域にも展開を拡大していく予定です。

国際農研の進めるSATREPSプロジェクトは、パーム油生産国の共同研究機関を含め、今後も民間企業や政府機関との連携や技術シナジーを追求し、パームトランクやヤシ殻等バイオマス資源の利活用研究を通じて、持続可能なパーム油生産への転換と共に地球環境改善へ向けた取り組みを進めていきます。


パナソニック「PALM LOOP」
https://panasonic.co.jp/phs/technology/palmloop/

SATREPS「オイルパーム農園の持続的土地利用と再生を目指したオイルパーム古木への高付加価値化技術の開発」
https://www.jst.go.jp/global/kadai/h3001_malaysia.html
 

オイルパーム農園

パームトランクペレット

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