国際農研の井関洸太朗プロジェクトリーダー(生物資源・利用領域)らによる、西アフリカの半乾燥地域(スーダンサバンナ)における食料安全保障をテーマとした総説が、日本作物学会の国際学術誌「Plant Production Science」に掲載されました(https://doi.org/10.1080/1343943X.2026.2682196)。
スーダンサバンナは、ブルキナファソやマリなど複数の国にまたがる主食作物の主要産地です。しかし、人口増加・土壌劣化・気候変動という三重の圧力にさらされており、天水農業への高い依存度と適応能力の低さから、サブサハラアフリカの中でも特に食料安全保障リスクの高い地域の一つとされています。気候変動に伴う大雨の増加と干ばつが交互に作物を襲う状況への対応が急務です。
本総説の核心は、気候変動への適応に「土壌を起点とした統合的アプローチ」が不可欠であるという点です。同地域には肥沃度や排水性の異なる土壌がわずか数百メートルの範囲に隣接しており、同じ気象条件でも土壌の違いによって収量反応や施肥・栽植密度の効果が大きく異なります。気候変動の影響は一様ではなく、どの土壌で農業を行うかによって深刻さも適応策も変わります。品種改良や栽培技術を土壌の特性に応じて設計し直すことが、実効性ある適応の基盤です。
こうした知見をもとに、干ばつと過剰水分の両方に対応できる品種育成や土壌タイプ別の栽培管理の最適化など、土壌を共通軸に育種・栽培・農家経営の各要素を連携させる取り組みの重要性が論じられています。
本研究は、国際農研がブルキナファソ国立環境農業研究所(INERA)と10年以上にわたって積み重ねてきた現地フィールド実験と国際共同研究の成果をとりまとめたものです。
