令和7年3月23日(日)、第14回科学の甲子園全国大会(3月21日~24日)に参加する埼玉県立川越高等学校、鳥取県立米子東高等学校、茨城県立日立第一高等学校附属中学校(ジュニア)、茨城県立並木中等教育学校(ジュニア)の4チーム、計22人が同大会のエクスカーションの一環として国際農研を訪問しました。
今回の訪問では、まず国際農研が取り組む世界の食料問題や環境問題の解決に向けた研究・開発活動について紹介し、日本がなぜ開発途上地域の農林水産分野の研究推進やその発展に貢献する必要があるのかを、生徒の皆さんと一緒に考えました。
続いて、鵜家彩香研究員(生物資源・利用領域)が東南アジアで生産され、私たちの生活に欠かせない役割を果たしているパーム油について、その生産によって引き起こされる環境問題を解決するための技術開発の取り組みについて紹介しました。
また、小杉昭彦領域長(生物資源・利用領域)からは、この技術を普及させるためのスタートアップ企業を設立し、人々にいち早く利用してもらうための活動を紹介しました。特に、この技術開発には20年もの間、様々なパートナーと共に試行錯誤を繰り返し、ようやく技術普及の段階にたどり着いたという話を、生徒たちは目を輝かせて聞いていました。
技術の開発とその普及には、裏付けとなる科学的なデータの蓄積と、それを基にした信頼性の高い情報を利用者に知ってもらうことが重要です。また、環境負荷を軽減する技術を普及させるためには、環境に優しいだけでなく、技術を利用する人にとって経済的にもメリットがあることが必要です。今回は生徒の皆さんと、科学研究のその先にあるものを一緒に考える機会となりました。
今回の講義を通じて、開発途上地域の食料問題や環境問題、特に農業研究の重要性を身近に感じてもらい、今後の進路を考えるきっかけになればと思います。