令和7年3月18日(火)、山形県立東桜学館高等学校の1年生30人が「つくばサイエンスツアー」の一環として国際農研を訪問しました。
今回の訪問では、国際農研の活動紹介の後に、農村開発領域の宇野健一主任研究員が、水田からのメタン発生を削減するために世界各国で利用が進められている技術「間断灌漑(AWD)」についての研究を紹介しました。間断灌漑は広く普及が進められていますが、農家の手間が増えたり、利用が難しい地域があったりする課題があります。国際農研では、さらに農家にとって使いやすい技術とするために、東南アジアのパートナー機関と共に研究活動を進めています。
農家の手間を減らすための水田の水位管理方法や、技術利用によってイネの収量が増加した事例についての説明に対して、生徒たちからも多くの質問が寄せられました。技術の普及には現地の自然環境や社会状況に応じた使いやすい形にすることが重要であり、そのために科学的なデータに基づいた研究や技術開発が必要であることを一緒に考える機会となりました。
また、宇野主任研究員が農林水産省やJICAでの経験を経て国際農研の研究者となった経緯についても、生徒たちは非常に関心を持って聞いていました。
今回の講義を通じて、開発途上地域の食料問題や環境問題、特に農業研究の重要性を身近に感じてもらい、今後の進路を考える契機になれば幸いです。