研究成果情報

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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら

  • 畑地土壌からの一酸化窒素および亜酸化窒素の放出に及ぼす施肥深度の影響(1998)

    施肥域の深層化により畑土壌から大気への一酸化窒素放出量を大幅に削減可能である。施肥の深層化も10cm程度で十分の効果があり、それにより一酸化窒素放出量をほぼ無施肥土壌の水準にまで削減できる。

  • 乾燥地で作物生育を促進する溝底播種(1998)

    土壌面の溝底では、土壌水分の減少塩類集積が遅れ、地温の日変化が抑制される。そのため、乾燥地で深さ5cm程の溝底に播種すると、作物の発芽・生育が促進される。

  • ベトナムに分布するイネいもち病菌およびイネ白葉枯病菌の病原性(1998)

    ベトナムのメコンデルタを中心に、イネいもち病菌、及びイネ白葉枯病菌を収集し、病原性特性(レース)を明らかにすると共に,それらに対する低抗性遺伝子源の検索を行った。いもち病ではPish, Piz-t 及び Pik-p が、また、白葉枯病ではxa-5, Xa-7, Xa-17が、それぞれ低抗性遺伝子源として有効と考えられた。

  • タイ産ショウガ科食用植物に含まれる抗変異原成分の単離・同定(1998)

    熱帯産食用植物の生理機能性について調査を行い、2種類のタイ産ショウガ科食用植物フィンガールート(Bosenbergia pandurata Sch1.) 及びガランガ(Languas galanga)に強い抗変異原性があることを見出し、有効成分を単離し構造を推定した。

  • 溶菌微生物 Flexibacter sp.FL824Aのキチン分解酵素遺伝子の解析(1998)

    Flexibacter sp. FL824A の染色体DNAから、2つの活性ドメインを持つ特異な構造のキチナーゼの遺伝子と、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼの遺伝子の2つのキチン分解酵素遺伝子をクローニングし、全塩基配列を決定した。

  • ベトナム・メコンデルタにおける豚回虫の感染状況と駆虫の経済効果(1998)

    ベトナム・メコンデルタで飼養される豚について豚回虫(Ascaris suumの感染状況を明らかにするとともに、駆虫経済効果について検討した。駆回虫感染豚を駆虫群と無駆虫群に分け、増体重を比較したところ、駆虫群では体重80kgに達する期間が約2週間短縮された。その経済効果は1頭当たり約200円と見積もられた。

  • インドネシア・スマトラ島における移住事業後のゴム林地の所有形態の変化(1998)

    インドネシアの移住事業は移住地周辺の地元社会に大きな影響を与えた、移住事業の中心地であるスマトラ島では、地元旧往民の主な収入源はゴム林であるが、多くは森林を開拓して造成したものであった。移住地建設よって地元住民の利用可能な森林が制限されたことにより、地元村内におけるゴ払林地の売買が活発化し、ゴム栽培農家の階層分化が進行した。

  • オイルパーム空果房を原料とするクラフトパルプの無塩素漂白(1998)

    オイルパーム空果房の有効利用方法の一つとして、クラフトパルプ化無塩素漂白を組み合わせることにより、環壌負荷の少ない手法を用いて、広葉樹パルプ並の白色度、繊維強度を持つパルプの製造が可能である。

  • マングローブ林のリター量(1998)

    マングローブ林に落下する葉や枝などのリター量を持続的なマングローブ林が経営されているマレーシアのマタンにおいて測定した。マタンのマングローブ林は植生の違いによって3タイぷに分けられたがリター量もこれに応じて異なっていた。また、潮の満ち引きによって、海に持ち去られるリター量も水位によって異なっていた。

  • 中国産淡水魚を用いた冷凍すり身の開発(1998)

    中国産淡水魚すり身を開発するため、魚肉タンパク質ゲル形成性を調べた。魚種によってゲル形成性は異なるが、適切な加熱条件を選択することによって、主要魚種であるハクレンコクレン草魚は冷凍すり身原料として利用できることを明らかにした。

  • 短日による日本稲の部分不稔の発生とその要因(1998)

    石垣島水稲二期作および三期作において「日本晴」よりも晩生の多くの品種で部分不稔が発生する。この不稔は短日条件により短縮花粉数減少するため生じるとみられる。

  • アズキ近縁野生種におけるアズキマメゾウムシ抵抗性系統の発見(1998)

    東南アジアに分布するアズキ近縁野生種のアズキマメゾウムシの食害抵抗性を検定したところ、Vigna hirtella V. trinerviaV. umbellata においてアズキマメゾウムシの食害に対して抵抗性を示す系統が発見された。

  • 糸状菌の一種に感染した暖地型イネ科牧野草の害虫に対する摂食阻害作用(1998)

    石垣島において、暖地型イネ科植物15草種において糸状菌の1種 Ephelis sp.の感染が確認された。これらの車種のうちパンゴラグラスにおいては、アワヨトウ幼虫およびマダラバッタ成虫が感染葉よりも非感染葉をより好んで摂食した。

  • 東アジアモンスーン地域におけるイネウンカの移動実態の解明(1997)

    トビイロウンカセジロウンカは、南西モンスーンの季節的推移と稲作時期の地理的勾配に依存した二段階移動によって、東アジアの潅漑水田地帯をベトナム北部の冬春稲から、華南の二期作早稲を経て、わが国の一期作水稲へ飛来する。

  • カンキツグリーニング病の抗血清診断法(1997)

    り病カンキツ葉中肋酵素処理して、し部組織を取る。その組織を磨砕・分画遠心後、最終沈殿をNaCl溶液(中肋重量の40倍濃縮)に懸濁する。この試料1滴を、本病原菌抗血清1滴に滴下する。この微滴法によって、明瞭な陽性診断ができる。

  • マングローブ汽水域における稚幼魚の生産機能の解明(1997)

    マングローブ開発度合の違いに応じた汽水域での魚類生産の差異をインドアイノコイワシ類を例に比較検討した結果、政府の適正な管理下にあり、マングローブの被覆面積の大きいマタンが、マングローブの乱開発が進み消失の激しいメルボックより4~5倍生産性が高いことが示された。

  • ベトナム・メコンデルタの水稲栽培における問題点と改善方策(1997)

    メコンデルタ水稲栽培ファーミングシステムの基幹であり、2期、3期作等の新技術導入により生産性は向上しつつあるが、雨季作はいまだに不安定である。葉色などによる生育診断と、窒素施用法水管理の改善により、倒伏が回避され、生育・収量の安定化が可能である。

  • ドイモイ政策下のベトナム・メコンデルタにおける農業構造変動(1997)

    ベトナム・メコンデルタでは、1988年以降、ドイモイ政策により市場経済が導入される中で、農家の階層分化が顕著に進行している。急速に規模拡大する農家、規模を縮小し土地無し層に転落する農家が存在する一方、2ha未満の中小規模層には、複合経営を取り入れて、経営の安定化を図る動きも認められる。地域単位での複合化を目指す必要がある。

  • 植物の乾燥耐性関与遺伝子群を制御するキイ遺伝子の単離(1997)

    植物の乾燥耐性の獲得に働く遺伝子群を制御している転写因子の遺伝子、ならびに乾燥誘導性のプロモーターを単離した。この遺伝子とプロモーターの利用により、複数の耐性遺伝子の制御が可能になり効果的に作物の乾燥耐性を高められる見通しがたった。

  • ニューラルネットワークを用いた植生変動評価手法の開発(1997)

    オーストラリア中央部に位置するKunoth Paddockを対象地域とし、土壌・水系・植生・地貌・傾斜・水飲み場からの距離・丘陵地からの距離の7要因から、植生の多寡と変動の程度を推定する2種類のニューラルネットワークモデルを開発した。さらに、両評価結果を統合した植生変動評価図を作成した。