東北タイ緩斜面畑地におけるアレイクロッピング技術

要約

東北タイ緩斜面畑地においてアレイクロッピングに用いる樹種としては、ギンネムが適している。熱帯モンスーンの降雨に支配される樹木生育パターンからみて、緑肥として用いるための適正な刈込み間隔としては年3回、樹木間における作物の生育及び栽培管理上からみて、適正な並木間隔は20mである。

背景・ねらい

  東北タイでは、過去30年間において急速に森林が伐採され、年間を通じた植生の欠如により土地保水力が減少し干ばつと洪水が頻発するようになった。一方では、切り開かれた緩斜面畑における土壌浸食が著しく、持続的な農業生産が危惧されている。本研究は、作物と樹木を有機的に結合させた農業生産システムを構築する一環として、アレイクロッピングにおいて、樹木と作物の生育からみた適正な管理方式を明らかにすることを目的としている。

成果の内容・特徴

  1. マメ科3樹種(Leucaena leucocephala, Gliricidia sepium, Desmanthus virgatus)の生育を比較し、適応性が最も優れていたLeucaena leucocephala(ギンネム)を斜面畑地(斜度5%)において等高線に沿い、土壌浸食防止のため株間25cmで並木植えしたアレイクロッピング圃場(0.5ha:50x100m)を造成した(図1,図2)。
  2. ギンネムの生育は旺盛であり、雨期始めの5月に地上部40cmで刈込んだ場合、雨期終わりの10月には樹高5m、樹冠幅4.5mに達する。
  3. 毎月伐採による再生量は、雨期に多く乾期で少なくなり、月別の降雨パターンと類似している(図3)。刈込みによる畑地への緑肥供給の目安となる累積再生量は、刈込み間隔が長くなるほど増加するが(図4)、一方で刈込んだ枝が大きくなると、土壌への混和作業が困難になる。
  4. 樹木近くの作物の生育は、雨期作では主として樹冠による光遮蔽、乾期作では樹根による土壌水分収奪のために阻害される。影響を受ける距離は、落花生3m、緑豆4mおよびスィートコーンで6mであり、作物の生育量が大きいほど樹木の影響が大きい。並木間隔をかえた場合、スィートコーンの群落中央部の生育は、5,10mで低下するが、20m間隔では対照区と同程度である(表1)。
  5. 以上の結果より、ギンネムを用いるアレイクロッピングにおける管理方式として、樹木の刈込みは省力と有機物供給を考慮して年3回(雨期2回、乾期1回)、並木間隔は土壌浸食防止、作物生育および作業管理上から20mが適当と判断される。

成果の活用面・留意点

本成果は東北タイの緩斜面畑地におけるギンネムを主体としたアレイクロッピングの管理指針として利用できる。

具体的データ

  1. 図1
    図1 ギンネムの刈込み作業
  2. 図2
    図2 並木間における播種作業
  3.  

    図3 ギンネム刈込み後の再生量の月別変化
  4.  

    図4 刈込み間隔が累積再生量に及ぼす影響
  5. 表1 並木間隔をかえた場合のスィートコーン群落中央部の生育比較 

    表1
所属

国際農研 生産利用部

国名

タイ

予算区分
国際農業(東北タイ)
研究課題

タイ東北部における土壌保全型ファーミングシステムの開発

研究期間

平成12年度(7~12年度)

研究担当者

椛木 信幸 ( 生産利用部 )

片岡 健治 ( 宇都宮大学 )

田淵 隆一 ( 森林総合研究所 )

発表論文等

Kabaki, N. et al. (1999) Development of sustainable farming systems in Northeast Thailand. Proceeding "JIRCAS Seminar in Bangkok 1999", 114-117.

日本語PDF

2000_11_A3_ja.pdf1.16 MB