東北タイ畑地優占雑草に対する機械除草の効果

要約

東北タイの畑地帯で優占している雑草、ハシカグサモドキの防除には、管理機により作物条間のロータリ耕を行う機械除草の効果が高い。雑草防除に必要な除草回数は、作物の種類により異なり、初期生育速度が大きい作物ほど少ない。

背景・ねらい

  熱帯モンスーン気象に属する東北タイでは、雑草の生育が旺盛であり、畑作物栽培における大きな問題となっている。高温下での手取り除草は過酷な労働であり、農家が収益安定のために、多作目の生産へ向かう意志を阻喪させる原因の一つともなっている。本研究は、畑作物栽培において効率的な雑草防除体系を開発する一環として、機械除草技術の導入とその評価を行うことを目的としている。

成果の内容・特徴

  1. 機械除草は、作物条間を管理機に装着したロータリにより耕起して行う(図1)。この作業は同時に作物に土盛りする培土も兼ねており、倒伏防止の効果もある。歩行と同じ速度(1.2sec/m)で行い、管理機1台による10a当たりの作業時間は約1時間である。
  2. 東北タイの畑地では、南米原産のハシカグサモドキ(Richardia scabra L.)が優占しており、作物への強害草となっている(図2)。機械除草により根を引き抜くと水分を失い萎凋するが、防除効果を再び水に浸した時の回復度でみた場合、当初水分の60%以上を失った段階で不可逆的に枯死することが認められる(図3)。通常の圃場条件(晴天)において、この水分欠失になるには2~3時間で十分であり、降雨と晴天が相前後する雨期作の気象条件下における適用の目安となる(図4)。
  3. 機械除草の効果は作物の種類によって異なる。ソルガムやパールミレットのように生育の速度が大きい作物は雑草害も小さく、スィートコーンや緑豆よりも除草回数が少なくても十分である。雑草の発生量も作物の種類および除草回数に応じて変動することが認められる(表1)。
  4. 以上の結果より、東北タイ畑地優占雑草ハシカグサモドキへの機械除草の適用性は高く、雑草防除の省力化の観点から適用可能と判断される。

成果の活用面・留意点

  1. 作物を傷つけずに作業を行うためには、条間隔が 50cm以上必要である。
  2. 雑草が大きくなるとロータリ爪に巻き付き、能率が低下するため、幼植物時点での適用が望ましい。
  3. 作業前に作物条に追肥すると、培土により施肥効果を高めることができる。
  4. 管理機の導入のため当面の投資が必要である。除草労賃、除草剤経費との比較、共同使用等も考慮に入れる必要がある。

具体的データ

  1. 図1
  2. 図2
  3. 図3
  4. 図4
  5. 表1
所属

国際農研 生産利用部

国名

タイ

予算区分
国際農業(東北タイ)
研究課題

タイ東北部における土壌保全型ファーミングシステムの開発

研究期間

平成12年度(7~12年度)

研究担当者

椛木 信幸 ( 生産利用部 )

森田 弘彦 ( 農業研究センター )

発表論文等

森田弘彦, 椛木信幸.  (2000) 東北タイの耕地雑草相の特徴と畑雑草ハシカグサモドキ防除の2,3の視点.雑草研究, 45(別), 172-173.

日本語PDF

2000_14_A3_ja.pdf1.06 MB