研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- オイルパーム空果房からの高純度セルロースパルプの調製(2001)
オイルパーム空果房に対して環境負荷の少ない方法でパルプ化・漂白を行ない,既存の工業製品に近い性質を有する高純度セルロースパルプを調製し,熱帯産未利用木質資源からファインケミカルズ原料を製造することができる。
- 中国産淡水魚類筋肉の鮮度変化の特徴(2001)
中国において養殖生産量の多いハクレンおよび草魚は、官能検査による品質評価ならびにK-値の変化の特性から判断すると、即殺後の適切な温度管理により、鮮魚として3日間の流通が可能である。
- 養殖エビで発生しているウイルス病の単クローン抗体を用いる診断(2001)
養殖エビに深刻な被害を与えているホワイトスポットシンドロームウイルス(WSSV)は、単クローン抗体を用いる血清学的診断法によって検出できる。
- 遺伝分析に有用なサヤインゲン細胞質雄性不稔系統(2001)
雄性不稔細胞質をもつサヤインゲン品種「黒種衣笠」を1回親(種子親)とし、他の品種を反復親として戻し交配を続けることにより細胞質雄性不稔系統を育成できる。これらの系統を用いれば、雑種を作出するのが極めて容易である。
- トマトのミトコンドリア型sHSPの高温ストレスに対する機能(2001)
トマトのミトコンドリア型スモールヒートショックプロテイン(MT-sHSP)は、高温ストレスによる酵素の失活を防ぐ働き(分子シャペロン作用)がある。
- サトウキビ初期生育促進のための選抜指標として重要な比葉面積(2001)
葉面積の拡大が緩慢なサトウキビでは、長期間に及ぶ初期生育が収量を制限しており、比葉面積が小さいことがその原因となっている。比葉面積には遺伝的変異がみられることから、初期生育の速い品種の育成に比葉面積および葉の長さや厚さなどの関連形質を選抜指標として利用できる。
- カンキツグリーニング病を媒介するミカンキジラミの分布はゲッキツの分布と一致する(2001)
カンキツグリーニング病を媒介するミカンキジラミは、ミカン科のゲッキツが分布する奄美大島以南の南西諸島において恒常的に発生しているので、カンキツグリーニング病が未発生のこれらの島々では、本病の侵入に対する警戒が必要である。
- アカホシカメムシの捕食性天敵ベニホシカメムシの生態的特性(2001)
ベニホシカメムシは、ワタ・オクラなどのアオイ科作物の重要害虫であるアカホシカメムシ類だけを捕食する狭食性の捕食者であり、高い増殖力をもち、短日下でも非休眠であることから、アカホシカメムシ類に対する有力な捕食性天敵として位置付けられる。
- 水稲の登熟期におけるメタン発生と稲根圏のメタン酸化細菌数には稲品種間差がある(2001)
亜熱帯水田の稲根圏にはメタン酸化細菌 Methylosinus spp.が生息し、稲根圏の菌数は水田からのメタン発生量が多くなる出穂期から登熟期にかけて増加する。水稲の登熟期におけるこの菌数とメタン発生流量とは稲品種間で有意に差がある。
- WTO加盟の中国農業への影響(2000)
中国はWTO加盟によって、小麦、トウモロコシ、大豆等の輸入が増大することが予想されるが、米の輸入は増えない可能性が強い。WTO加盟後は、安価な農産物の輸入が増えることに加え、価格支持政策の実施が制限されるので、穀物の国内価格は上がりにくくなる。
- 日本在来小麦と中国育成小麦の赤かび病抵抗性遺伝子の比較と集積(2000)
小麦赤かび病抵抗性品種の延岡坊主小麦(日本在来)と蘇麦3号(中国育成)との雑種F1に由来する半数体倍加系統を用い、関与する抵抗性遺伝子の数が推定され、両品種のもつ抵抗性遺伝子を集積した系統が作出できる。
- プロリン代謝系酵素遺伝子操作による環境ストレス耐性植物の開発(2000)
シロイヌナズナのプロリン分解酵素遺伝子の発現を抑制すると植物体の耐凍性および耐塩性が向上する。
- タイ国コンケン県における農業生産に関わる窒素循環(2000)
東北タイのコンケン県において求められた農業生産に関わる窒素フローから、農地における窒素収支は-40kg/haと見積もられる。農地に還元される窒素量が34kg/haあるが、還元されない窒素量も58kg/haであり、これらの未還元有機物資源を農地へ効率的に還元することにより、窒素収支の適正化が期待できる。
- ブラジルの草地およびダイズ畑における窒素収支(2000)
ブラジルのセラードにおける連続草地と連続ダイズ畑での窒素収支を定量化する。連続ダイズ畑では窒素肥料を施用しないにもかかわらず下層に硝酸態窒素が蓄積する。両農地において窒素収支はマイナスになり、その度合は連続ダイズ畑の方が連続草地より大きい。
- CO2濃度増加にともなう水田からのメタン発生量増加(2000)
CO2濃度増加は水稲バイオマスを増加させると同時に、水田からのメタン発生量を増加させる。
- 積雪深の分布と融解状況をリモートセンシングで知る手法(2000)
衛星搭載マイクロ波放射計SSM/Iのデータにより、ユーラシア寒冷域の積雪深分布と、その融解状況をを日単位で推定できる。
- セジロウンカに対する中国ジャポニカ水稲‘春江-06’の品種抵抗性(2000)
中国ジャポニカ水稲‘春江-06’の高度なセジロウンカ抵抗性は、優性の吸汁抑制形質と、劣性の殺卵誘導形質の複合作用によって発現し、両抵抗性形質は、それぞれ中間母本‘秀水04’および‘祥湖24’、‘C81-40’に由来する。
- インドネシア産大豆の豆腐・テンペへの加工適性(2000)
インドネシア産大豆は、輸入米国産大豆と比べタンパク質含量が高く、豆腐加工適性に優れる。テンペ加工においては、粒の大きい大豆ほど収量および官能評価も高く、百粒重が15g程度の品種を用いれば、製品テンペの官能評価における輸入米国産大豆とインドネシア産大豆との明らかな差は認められない。
- インドネシアにおける大豆発酵調味液ケチャップ製造用麹菌の改良(2000)
インドネシアの醤油様大豆発酵調味液ケチャップの麹製造用に、Aspergillus 属の有用株から紫外線照射により白色変異株を作成した。同国常在のアフラトキシン生産菌との識別が容易なため、スターター(種菌)として使用できる。
- 東北タイ緩斜面畑地におけるアレイクロッピング技術(2000)
東北タイ緩斜面畑地においてアレイクロッピングに用いる樹種としては、ギンネムが適している。熱帯モンスーンの降雨に支配される樹木生育パターンからみて、緑肥として用いるための適正な刈込み間隔としては年3回、樹木間における作物の生育及び栽培管理上からみて、適正な並木間隔は20mである。