研究成果情報
研究成果情報を検索
国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- 貯蔵食品害虫の天敵、ホウネンカメムシ(Joppeicus pradoxus)の捕食生態(2003)
捕食性カメムシの一種であるホウネンカメムシ(Joppeicus pradoxus)は、コクヌストモドキ等の貯穀害虫の捕食量が大きく、貯穀害虫の天敵として有望である。
- グルテニン蛋白質遺伝子からみた日本小麦の特異性(2003)
小麦のグルテニンGlu-D1f 遺伝子は、世界的にみてきわめて稀な蛋白質遺伝子であるが、日本の小麦品種に特異的に高頻度で存在し、世界的にみて品質的に大きく異なる日本小麦の特異性を示すものである。その理由として、始祖効果および瓶首効果によるものと考えられる。
- フタバガキ科Shorea 属6樹種の更新は傾斜のある尾根で優れている(2003)
半島マレイシアのセラヤ(Shorea curitisii)が優占する丘陵フタバガキ林択伐施業地内で、かく乱を一番大きく受ける作業道では、人工植栽したフタバガキ科Shorea 属6樹種の成長は、水平な尾根や斜面中腹に比べ、尾根より少し下の斜面上部で優れている。
- 適度の被陰は熱帯植物の定着を促し、初期保育作業を軽減させる(2003)
適度に被陰された森林内では、皆伐地よりも、フタバガキ科樹種を含む多くの植物の活着率、初期成長量が大きくなり、さらに下刈り作業にともなう疲労が軽減し、作業時間も減少する。
- 熱帯性・亜熱帯性魚類の必須脂肪酸組成の特性(2003)
熱帯性・亜熱帯性海産魚の卵稚仔は、冷水性・温水性魚類と異なる必須脂肪酸組成特性を有し、アラキドン酸が重要であることが示唆された。
- マングローブ汽水域の浄化機能の解明(2003)
エビ養殖池とマングローブ植林池との間で水を循環させるシステムは、底泥中のリンの増加を抑え、環境負荷を低減する。
- 石垣島宮良川における懸濁物質および窒素とリンの推定流出量(2003)
石垣島宮良川から1年間に海洋に流出する懸濁物質、窒素、リンは、それぞれ、1882t、68t、7t と推定される。土壌浸食深は畑地当たり0.2mm、窒素とリンは施肥量と家畜排泄量合量のそれぞれ25%と6%である。
- 肥効調節型肥料の施用によりサトウキビの窒素施肥量を4割節減できる(2003)
サトウキビの春植え栽培において、慣行栽培の追肥窒素分を肥効調節型肥料で施用すると、窒素施肥量を4割節減しても可製糖量は減収しない。また、肥料の利用効率が高くなり、未利用分が慣行より著しく少なくなる。
- アズキ近縁野生種Vigna hirtella に見出されたアズキうどんこ病抵抗性(2003)
アズキ近縁野生種 Vigna hirtellaはアズキうどんこ病菌に対して抵抗性を示す。本種は栽培アズキと交配可能で、F1 は本菌に対し抵抗性を示す。また、戻し交配第1 世代(BC1)では感受性反応と過敏感反応が1:1 に分離する。よって、本抵抗性は単一の優性遺伝子によって支配されている。
- 野生種を含む寄主植物の違いによるアカホシカメムシの発育特性の違い(2003)
ワタ・オクラなどのアオイ科作物の重要害虫で、アオイ科、キワタ科の多くの野生寄主植物をもつアカホシカメムシは、温度の違いだけでなく、近縁種間においても寄主植物の種の違いにより幼虫期の生存率や発育速度が異なる。
- Competitive PCR によるカンキツグリーニング病の病原体DNA の定量(2003)
カンキツグリーニング病に感染した植物組織中の病原体に由来するDNA をCompetitive PCR(競合PCR)により定量することで、病原体の増殖量を推定できる。
- 衛星データ等の地理情報による西ジャワ州傾斜畑地域土壌侵食危険度図の作成(2002)
インドネシア西ジャワ州にある傾斜面上の畑では、降雨による土壌侵食の危険性があるが、危険度の高い地域の分布がリモートセンシングデータを用いて解析され、地理情報として示すことができる。ここでは、雨季前の9月に豪雨が降る年があるが、この時期に裸地状態としないことにより、土砂が大量に流出することを抑制することができる。
- 中国山東省における水資源変化が食糧需給へ及ぼす影響(2002)
中国山東省では水資源の変動が穀物生産変動の大きな要因となっており、地域の食糧需給への影響が大きい。水供給量の制約が将来の食糧需給に大きな供給制約を生じさせる可能性を示している。
- 世界の林産物需給・貿易に関する政策分析のための計量モデル(2002)
新たに開発された世界林産物需給モデルは、林産物を対象とした世界に類例を見ない連立方程式体系の政策分析モデルであり、貿易自由化が森林資源へ及ぼす影響などの分析を迅速かつ容易に行うことができる。
- 浸透圧センサーATHK1を分子素材とした環境ストレス耐性植物の作出(2002)
浸透圧センサーATHK1の遺伝子操作により、複数の環境ストレス耐性に関与する遺伝子群の発現量を操作し、乾燥、塩、低温ストレス耐性を付加した遺伝子組換え植物を作出できる。
- 南・東南アジア土着野菜の抗酸化活性の評価(2002)
南・東南アジアの土着野菜は、食品の機能性のひとつである抗酸化活性、ビタミンC含量および全フェノール含量が、種類や系統によって大きく異なる。これらの知見は、土着野菜の優良系統選抜のひとつの指標として利用できる。
- アルゼンチンにおけるダイズ急性枯死症の病原(2002)
アルゼンチンの大豆主要栽培地帯に発生したダイズ急性枯死症の罹病植物からFusarium菌を分離し、形態学的な観察をするとともに、温室内での接種試験による病徴の再現および病原菌の再分離の結果、病原はFusarium solani f. sp. glycinesと同定される。
- メコンデルタに適した小型籾乾燥機の開発(2002)
本機は、ベトナム・メコンデルタの雨期に適した個別農家向けの稲籾乾燥機である。構造が簡単なので取り扱いが容易で、2tの湿籾(水分25%)を約13時間で乾燥することができる。また、胴割れ率を低く抑え、乾燥開始約5時間後の混合・攪拌操作により水分ムラを少なくすることができる。
- 西ジャワ高原野菜地帯における1年3作の短期輪作によるキャベツ根こぶ病の抑制(2002)
西ジャワ高原野菜地帯の主要作物であるキャベツに多発する根こぶ病被害は、ニンジン、ジャガイモを組み込んだ1年3作の輪作により、初期生育が順調に保たれ、実用的に被害の無い程度の収量が得られるまで制御することができる。この効果は作付け順序を変えても変わらず、また1作期の休閑も有効である。
- 中国紅壌丘陵地帯水稲二期作地域におけるアンモニア揮散とその制御(2002)
中国湖南省祁陽県においては、水田からのアンモニア揮散ポテンシャルが極めて高い。肥効調節型肥料の適切な利用により、アンモニア揮散による肥料成分の損失と環境負荷を大幅に軽減し、収量の維持向上と減肥の両立が可能となる。