肥効調節型肥料の施用によりサトウキビの窒素施肥量を4割節減できる

要約

サトウキビの春植え栽培において、慣行栽培の追肥窒素分を肥効調節型肥料で施用すると、窒素施肥量を4割節減しても可製糖量は減収しない。また、肥料の利用効率が高くなり、未利用分が慣行より著しく少なくなる。

背景・ねらい

   我が国の亜熱帯島嶼地域では、地下ダムの硝酸濃度が8mg/L前後で環境基準の10mg/Lに近く、河川の硝酸濃度も1~3mg/Lと高い。このような硝酸汚染は化学肥料、畜産廃棄物、生活排水などに起因すると考えられ、汚染軽減の対策技術の確立が求められている。そこで亜熱帯島嶼地域の基幹作物であるサトウキビ(全作付面積の約6割)の国頭マージ土壌での栽培において、窒素肥料施用の省力化を図るとともに、利用効率を高めてその使用量の節減を図る。

成果の内容・特徴

  1. 肥効調節型肥料(以下LPSと略称)LPS100:溶出抑制期間;約30日、溶出期間;後半70日、80%溶出到達日数;約100日)を使い、窒素施肥量を2割及び4割節減しても、サトウキビ(農林8号)の可製糖量は慣行区とほぼ同等であり、4割まで節減の可能性が示唆される(表1)。
  2. 定植時LPS120施用とポット苗作成時LPS160(溶出抑制期間;約80日、溶出期間;後半約80日、80%溶出到達日数;約160日)施用の窒素溶出曲線が、仮茎長とよく対応していることから、ポット苗作成時に肥効調節型肥料をポットに施用する場合はLPS160が適している(図1)。
  3. 15N 標識肥料窒素を用いて求めた施肥窒素の利用率は、LPS160・窒素4割減区で39%と高く、慣行区では22%と低い。また、みかけの窒素利用率で比較すると、LPS160・窒素4割減区は91%と高いが、慣行区で58%と低く、多量の未利用(残存、脱窒、溶脱等)の窒素が生じる(図2 )。
  4. 基肥硫安(6gN/m2)に加えてLPS160(6gN/m2)をポット苗作成時に施用し、全体として窒素を4 割節減しても、慣行と比べて可製糖量は減少しない(表2)。

成果の活用面・留意点

  1. 圃場試験の精度を高めるために側枝ポット苗(容量200mlのビニールポット、培地はバーミキュライト)を利用した圃場試験の結果である。
  2. 施肥コストを試算すると、慣行区の窒素施肥量が200kg/haで価格は29,750円であり、同様にLPS・窒素4割減区の窒素施肥量が120kg/ha で38,640 円である。LPS・窒素4割減区の方が約9,000円/ha高いが、追肥を省略することで労賃31,700円/haや燃料代5,680円/haを削減できる。
  3. 国頭マージ(沖縄支所内の黄色土畑圃場)における試験結果であるが、地下ダムの硝酸汚染が問題になる島尻マージを対象に本成果の活用が期待される。

具体的データ

  1. 表1
  2. 表2
  3. 図1
    図1 側枝苗定植時LPS120施用後の仮茎長の伸長と定植時施用LPS120およびポット苗作製時施用LPS160の窒素溶出曲線
  4. 図2
    図2 サトウキビ春植え移植栽培における由来別窒素施用・吸収量
所属

国際農研 沖縄支所

分類

研究

国名

日本

予算区分
技会プロ〔地域総合〕
研究課題

サトウキビ栽培での窒素節減技術

研究期間

2003 年度(1999 ~ 2002 年度)

研究担当者

増田 泰三 ( 広島県立大学 )

勝田 義満 ( 沖縄支所 )

菅原 和夫 ( 農業環境技術研究所 )

芝野 和夫 ( 沖縄支所 )

発表論文等

増田泰三、勝田義満、新崎正雄、菅原和夫 (2000): サトウキビ側枝苗の春植移植栽培に対する肥効調節型肥料の施用効果. 日本土壌肥料学会講演要旨集, 第46集, p.163

増田泰三、勝田義満、平松紀士、菅原和夫 (2002): サトウキビ側枝苗の春植移植栽培での肥効調節型肥料による窒素節減と利用率. 日本土壌肥料学会講演要旨集, 第48集, p.123

日本語PDF

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