研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- 下層土破砕処理による畑地土壌水分の有効利用技術(2000)
東北タイ緩斜面畑地において、サブソイラにより深さ50~60cmの下層土破砕処理を行うことにより、雨期の斜面流去水を土壌深層に蓄えることができ、土壌水分を増加させるとともに、土壌硬度を減少させて、作物生育を促進することができる。
- 東北タイ砂質畑地帯における不耕起栽培の適用性(2000)
東北タイ砂質畑地帯において、不耕起栽培は土壌浸食防止、雑草発生の抑制および土壌水分の保持に有効である。不耕起栽培における作物の出芽と生育は雨期、乾期ともに耕起栽培におけるより優れている。
- 東北タイ畑地優占雑草に対する機械除草の効果(2000)
東北タイの畑地帯で優占している雑草、ハシカグサモドキの防除には、管理機により作物条間のロータリ耕を行う機械除草の効果が高い。雑草防除に必要な除草回数は、作物の種類により異なり、初期生育速度が大きい作物ほど少ない。
- メコンデルタの水稲潤土直播栽培における収量性からみた最適播種量(2000)
メコンデルタの水稲潤土直播栽培において、慣行播種量(200~250kg/ha)より少ない播種量(50~100kg/ha)で最高収量が得られる。必要な苗立数確保と手播ムラを小さくするためには、播種量(80~100kg/ha)が奨励される。本播種量は慣行播種量の1/2~1/3に節減されるため新品種の普及および種子の更新が促進されると共に種子費用も節減できる利点がある。
- パラグアイの有害線虫抑制に有効なダイズ品種、輪作作物及び対抗植物(2000)
ジャワネコブセンチュウの線虫密度低下にダイズ5品種、ミナミネグサレセンチュウではダイズ1品種、輪作作物1品種、対抗植物1品種、ニセフクロセンチュウではダイズ3品種、輪作作物1品種が利用できる。
- 脂肪細胞への分化抑制効果を示す大豆発酵食品中の生理機能性成分(2000)
タイのタウジャオ(みそ様発酵食品)、醤油、腐乳、日本の味噌などの大豆発酵食品に含まれる物質1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-β-カルボリン-3-カルボン酸(MTCA)は、脂肪細胞への分化を抑制する。MTCAの含量を定量することにより脂肪細胞への分化抑制活性を推定することができる。
- 腫瘍壊死因子(TNFα)はマウスのトリパノソーマ感染抵抗性に寄与している(2000)
トリパノソーマ・コンゴレンス原虫を感染させた腫瘍壊死因子(TNFα)遺伝子欠損マウスの病態を解析することによって、TNFαはマウスにおける原虫増殖を抑制し、トリパノソーマ抵抗性に寄与していることが判る。
- カザフスタン産マメ科牧草エスパルツェトの種子は、地域的変異があり、強いアレロパシーを示す(2000)
カザフスタン産エスパルツェト(Onobrychis spp.)は1個の果皮の中に1個の種子を有し、その形態には地域的変異がある。果皮付種子の発芽は、果皮を除去した裸種子よりも遅れる傾向がある。サンドイッチ法によりアレロパシーを検定すると、果皮を除去した種子が最も強い。
- 2種のアグロパストラルシステムにおけるPanicum maximum草地の乾物生産性と飼料価値の比較(2000)
4年間夏ダイズ単作跡地に造成されたPanicum maximum放牧草地では、高い乾物生産性及び飼料価値が示される。4年間夏ダイズ冬ミレット輪作跡地においてもP. maximumの高い乾物生産性、飼料価値を発揮させるには、窒素などの施肥管理が重要である。
- ブラジル東北セラードのダイズ栽培におけるイオウの栄養診断基準(2000)
ダイズにおけるイオウ(S)必要量を収量および子実蛋白質組成に着目して調査したところ、葉あるいは子実のS含有率が1 g/kg未満の場合は非常に不足、 1 g/kg~2 g/kgの場合は不足、 2 g/kg~2.3 g/kgの場合は低く、2.3 g/kg以上の場合は正常である。
- 環境インパクトの小さい熱帯天然林の伐採技術(2000)
天然林択伐作業技術として伐倒方向の制御およびタワーヤーダ集材方式を活用することにより、集材作業における環境インパクトを著しく減少できる。
- エビと二枚貝の混合養殖による有機汚濁物質の軽減(2000)
ウシエビ(ブラックタイガー)養殖によって排出される有機汚濁物質を減少させ、疾病の発生を抑制する方法としてウシエビとミドリイガイとの混合養殖は有効である。
- マングローブを利用した養殖排水の浄化(2000)
エビ養殖池からの排水をマングローブ植林地に導入すると、その高い窒素除去能により環境負荷を低減できる。
- 地中点滴装置を用いたかん水施肥によるハクサイ心腐れ症の軽減(2000)
地中点滴装置を用いて、窒素施肥量を低減したかん水施肥を行うことにより、ハクサイの結球重量は慣行施肥栽培と同等であるが、心腐れ症を軽減することができる。軽減の程度には品種間差異が認められ、耐性の1品種についてはほぼ完全に克服できる。
- パパイア奇形葉モザイクウイルス(PLDMV)の全塩基配列(2000)
東南アジア各国への蔓延が懸念されているパパイア奇形葉モザイクウイルス(PLDMV)の全塩基配列の解読により、その遺伝子構造を明らかにした。
- 植物にも存在したナトリウム(排出)ポンプ(Na+-ATPase)(2000)
海産の藻類 Heterosigma akashiwoのナトリウム(排出)ポンプをコードする遺伝子(HANA)は1330アミノ酸からなる推定分子量146kDa、10の膜貫通領域を持つ膜タンパクをコードしている。HANAは、植物からは初めてクローニングされたナトリウムポンプの遺伝子である。
- 高温処理による生理的花粉不稔を利用したサヤインゲン簡易交配法(2000)
サヤインゲンに高温ストレスをかけると花粉不稔が生じる。この性質を利用して種子親に高温処理して開花当日に正常花粉を授粉する簡易な交配法により、高い交配成功率で確実にF1雑種種子が得られる。
- サヤインゲン品種‘黒種衣笠’で見つかった細胞質雄性不稔(2000)
サヤインゲン品種‘黒種衣笠’を種子親、‘ハイブシ’を花粉親として得られる雑種を栽培すると着莢が極めて不良となるが、逆交配のF1は正常に着莢し花粉稔性も高い。この不稔は‘黒種衣笠’の細胞質雄性不稔によるものであり、サヤインゲンのF1雑種を獲得するうえで有効である。
- サトウキビにおけるスクロースリン酸シンターゼ(SPS)遺伝子の識別法(2000)
サトウキビの光合成および糖蓄積に関与している酵素スクロースリン酸シンターゼ(SPS)の遺伝子は、トウモロコシのSPS遺伝子の一部を用いたサザンブロット法により識別できる。
- 食料需給モデルを用いた食料安全保障のシミュレーション分析(1999)
経済協力開発機構(OECD)が開発した食料需給モデルを拡充・改良して実施したアジアの低所得食料輸入地域に関するシミュレーション分析によれば、輸出国での不作、輸入国での為替変動が起こった場合、自由貿易政策の選択が食料安全保障に悪影響を及ぼす可能性がある。