研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- ブラジルの亜熱帯サバンナ(セラード)に生育する熱帯イネ科牧草の窒素利用特性(2002)
ブラジル亜熱帯サバンナ(セラード)で主に栽培されているイネ科牧草のBrachiaria decumbens,B. brizanthaは窒素反応性が高い。またB. humidicolaは根の窒素吸収能力が高いため、低窒素環境での栽培に適している。
- ベトナム・カントー省における農業開発に伴う窒素フローの変動予測(2002)
メコンデルタのカントー省において作成された農業開発計画を基に、農業生産に関する窒素フローを推定すると、2010年には家畜糞尿として発生する窒素が59kgN/ha/yearと1999年の3倍以上に増加する。
- ブラジルダイズの干ばつ耐性特性(2002)
開花後1ヶ月間の雨よけ処理条件下で高い収量を示す干ばつ耐性の強いブラジルダイズ品種は、雨よけ処理期間における相対生長率を高く維持できる特性を有しており、それは葉面積比ではなく、純同化率を高く維持することによる。
- 熱帯対応型サイレージ乳酸菌を評価するための実験モデル(2002)
長さ約2cmに切断し、乾燥した後に高圧蒸気滅菌した熱帯牧草ネピアグラス(水分および糖含量を調整)の一定量をプラスチック袋に入れ、酵母およびコリ型細菌と評価すべき乳酸菌とを接種してから密封して培養する簡易なサイレージ醗酵実験モデル(改良パウチ法)は、タイでのサイレージ調製用乳酸菌を評価するための手法として有効である。
- DNAマイクロアレイを用いたマウス肝におけるトリパノソーマ抵抗性候補遺伝子の検出(2002)
多数の遺伝子断片をスライドグラス上に固定したDNAマイクロアレイを用い、トリパノソーマ症マウスにおける発現遺伝子を網羅的に調べることにより、トリパノソーマ抵抗性因子の候補遺伝子を検出することができ、マウス肝では169遺伝子が候補遺伝子として発現している。
- ダイズ分子連鎖地図の作製(2002)
ミスズダイズと秣食豆公503を両親とするF2集団190個体から作製したダイズ分子連鎖地図は、RFLPマーカー412(cDNAマーカー223、ゲノムDNAマーカー189)、SSRマーカー106、AFLPマーカー218、RAPDマーカー1、形質マーカー5から成る合計742マーカー、全長3,221cMである。
- 香り米における香り成分の生成と水ストレスによる変動(2002)
タイの香り米(Khao Dawk Mali 105)に含まれる香り成分である2-アセチル-1-ピロリンは、水分ストレス応答物質であるアミノ酸プロリンから生成している。圃場試験において、開花後の水ストレスにより香り成分を増加させることが可能である。
- タイ土着食用植物の抗変異原性と活性成分(2002)
タイ土着食用植物ミクロメラム・ミヌタム、モクコチョウ、ハマネナシカズラ、インドセンダン及びリステア・ペティオラータは強い抗変異原性を示す。ミクロメラム及びモクコチョウに含まれる抗変異原活性成分はそれぞれ,マハニン及びバイカレインである。両物質は他に抗菌活性、がん細胞増殖抑制効果等を示す。
- 中国における発酵大豆食品腐乳中のペプチドの機能性(2002)
中国における発酵大豆食品である腐乳の抽出物には、高い抗酸化活性とアンジオテンシンI変換酵素阻害活性が認められる。これらは、主に分子量1万以下のペプチドによるもので、腐乳は機能性食品としての利用が有望な食材である。
- 熱帯降雨林はゴムプランテーションに比べて優れた水保全機能を持つ(2002)
半島マレイシア・ブキタレ水文試験地内の熱帯降雨林は隣接するゴムプランテーションより土層が厚く、土壌の孔隙率及び透水性が高いため、雨水を一時的に地中に貯留し、洪水流を軽減する機能(水保全機能)に優れている。
- ベトナム・メコンデルタにおけるオニテナガエビの稚エビ培養技術の確立と技術移転(2002)
グリーンウオータシステム(植物プランクトン餌料)はオニテナガエビの安定種苗生産技術を可能にする効率的な稚エビ培養技術であり、飼育水を交換する必要がないので、従来システムより生産コストを低く抑えることができる。このシステムの技術移転により、2002年のベトナムの稚エビ生産量は1990年の50倍の5,000万尾に拡大した。
- エビ類の成熟度判定技術の開発(2002)
エビ類を用い、卵黄タンパク質の全アミノ酸配列、プロセシング経路および成熟過程に伴う遺伝子発現変化にもとづいて開発したエビ類の成熟度判定法により、親エビを選定できる。
- フィリピンにおける養殖ハタ大量死はウイルス性神経壊死症に因る(2002)
原因不明であった養殖ハタの大量死は、フィリピンで初めてのウイルス性神経壊死症(VNN)の感染発病に因るものであり、本症の確定診断は病原病理学的に可能である。
- サヤインゲンの高温による落花と変形莢の発生(2002)
サヤインゲンでは開花前10日頃の高温による花粉稔性、あるいは開花当日および前日の高温による花粉管伸長阻害のため不受精となり落花する。開花後の高温は受精した胚珠の発育を阻害し、変形莢を発生させる。
- ミトコンドリア型スモールヒートショックプロテイン遺伝子を導入したタバコの耐暑性(2002)
トマトのミトコンドリア型スモールヒートショックプロテイン(MT-sHSP)遺伝子を、センス向きに導入したタバコは耐暑性を示す。また、アンチセンス向きに導入したタバコは熱感受性を示す。
- 超音波処理はアグロバクテリウムの除菌に有効である(2002)
サトウキビのアグロバクテリウムを用いた形質転換において、一般の超音波洗浄機による超音波処理でアグロバクテリウムの菌密度を低下させ、除菌・選抜培養中の過剰増殖を抑制することができる。
- 自然立地的要因に基づく東北タイ・コンケン周辺地域の農業適地評価と土地利用現況の比較(2001)
東北タイ・コンケン周辺地域を対象に、土壌図・地形図等の主題図を用いて自然立地的要因に基づく農業適地評価を行い、衛星データから判別される土地利用と比較することによって、土地利用の実態や適合性を面的・定量的に把握できる。
- マイクロアレイを用いた高等植物の転写因子DREB1Aが制御する環境ストレス耐性遺伝子群の同定(2001)
乾燥・塩・低温ストレス耐性が向上したDREB1A遺伝子組換えシロイヌナズナでは適合溶質合成酵素、解毒酵素、高分子の保護因子であるLEAタンパク質等多様な遺伝子が複合的に機能していることが、cDNAマイクロアレイを用いる解析により明らかになる。
- ダイズリポキシゲナーゼアイソザイムの改良簡易迅速検出法(2001)
青臭み因子であるダイズリポキシゲナーゼアイソザイムの脱色反応利用選抜法を改良することによって、微量の同一検定試料と微量の検出溶液を用い、L-3検定後、L-1検定を続けて行い、全有、L-3欠失、L-1・L-2二重欠失および完全欠失個体を簡易、迅速に検出することが可能となる。
- 分子マーカーを利用した小麦赤さび病抵抗性遺伝子Lr34及びLr46の効率的な選抜法(2001)
小麦の倍加半数体系統群において、育種に広く利用されている赤さび病抵抗性遺伝子Lr34及びLr46に連鎖するマイクロサテライト(SSR)マーカーを組み合わせることにより、両遺伝子を識別して赤さび病に対する抵抗性の効果を明らかにでき、赤さび病抵抗性系統を効率的に選抜できる。