研究成果情報

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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら

  • ベトナムメコンデルタ在来稲における耐塩性品種選定のための遺伝的多様性の評価(1999)

    水稲60品種と陸稲5品種を含むメコンデルタ在来稲は、43個のDNAマーカーマイクロサテライトマーカー)を用いたクラスター分析により遺伝的多様性が明らかになり、それらメコンデルタ在来稲61品種から14の耐塩性品種を選抜した。

  • 転写調節遺伝子を用いた環境ストレス耐性植物の開発(1999)

    植物の乾燥や塩害、凍結等に対する耐性機構で働く遺伝子群を調節している遺伝子を突き止めた。この遺伝子を導入した植物では、これまでにない高いレベルの乾燥・塩・凍結耐性を示した。この技術は種々の植物に応用できると考えられ、地球規模の環境劣化に対応できる作物の開発への応用が期待できる。

  • 中国山東省陵県における地下水水質と農耕地の窒素循環(1999)

    中国黄淮海平原の典型的な農業地域である山東省陵県においては、地下水の硝酸汚染の広域化は現時点では認められないが、農耕地土壌と環境への多量の窒素負荷があり、近い将来における環境悪化が予想される。

  • 根系分布からみた熱帯アジアの陸稲の水ストレス高感受性(1999)

    熱帯アジアの陸稲根系分布が一般に浅く、水ストレス下においても深層の根長密度が増加せず、根長あたりの水吸収速度も高まらないため、水ストレスに対して感受性が高い。燐酸施肥は深層での根の形成を促進し、水吸収を高める。

  • 香り米中の香り成分の定量法(1999)

    香り米に含まれる香り成分である2-アセチル-1-ピロリン同位体希釈法を利用した方法により、正確で簡便に定量することが可能である。また、香り米の植物体にも本物質が含まれている。

  • 精米からのインディカ品種判別法(1999)

    精米ゲル結合水の離水を利用した精米一粒からの簡易なDNA抽出法を開発し、マイクロサテライトマーカーを利用した品種判別法と組み合わせることによって、精米での混米の判別が可能である。

  • タイ国東北部における在来反芻家畜の消化特性とエネルギー要求量(1999)

    タイ在来種牛沼沢水牛のような在来の家畜は大豆粕などのような蛋白質の補給がない場合でも、粗蛋白質含量が3%程度と低い粗飼料を効率良く消化できる。また、基本的な生体機能を維持するために必要なエネルギー量が低い。そのため、粗蛋白質含量の低い飼料を有効に利用した飼養管理が可能である。

  • 土壌への有機物供給能力からみた農牧輪換システムへの導入優良イネ科草種(1999)

    ブラジル・サバンナオキシソル(暗赤色ラトソル土壌)地帯におけるイネ科牧草5種の中で、土壌への有機物の供給能力の視点で地下部バイオマスを評価すると、Brachiaria brizanthaが最も多く、農牧輪換システムへの導入に適した草種である。

  • 作業道におけるフタバガキ科セラヤの更新技術(1999)

    半島マレイシアにおいて丘陵フタバガキ林の主な伐採対象樹種であるセラヤ天然更新する条件を調査した。その結果、従来のブルドーザを用いた集材方法でも、 地形やセラヤの種特性を考慮することで、持続的な森林経営を行うことが可能となる。

  • フィリピンにおけるマメ科およびネムノキ科有用樹の種子発芽促進処理技術(1999)

    フィリピン荒廃草地造林に広範に用いられるネムノキ科Leucaena属を含む有用樹は、火入れ加熱処理温水加熱処理とその組み合わせにより、簡易・効率的な種子発芽を促進することができる

  • オニテナガエビの卵黄タンパク質ビテリンのアミノ酸配列決定および合成部位の解明(1999)

    養殖対象種であるオニテナガエビを用いて成熟卵黄タンパク質の主要な成分であるビテリンの精製、構造解析および遺伝子のクローニングを行い、肝膵臓で発現されていることを明らかにした。

  • マングローブ汽水域における魚介類生産機能の解明(1999)

    マレイシアにて、マングローブ林面積/河川面積の比が大きい水域(マタン:4.7)では漁獲量が多いが、割合の少ない(比:2.1)メルボック水域では魚類多様度が増大した。またマングローブ湿地は栄養塩ケイ藻の貯蔵庫となり、これらは隣接海水中に供給されている。

  • サヤインゲンの花粉稔性による耐暑性検定(1999)

    サヤインゲン花粉稔性は、開花約10日前の高温ストレスにより低下する。花粉稔性と着莢率の間には高い正の有意な相関関係(r=0.98)が認められる。開花約10日前の高温感受性を花粉稔性により検定することでサヤインゲンの耐暑性を評価できる。

  • 亜熱帯地域の降雨エネルギーおよび雨滴粒径分布の特性(1999)

    マイクロフォン型雨滴粒径測定装置による降雨エネルギー値算定法を用いると、石垣島(亜熱帯)とつくばの実測値はWischmeier式(降雨エネルギー式)を上限に三原式を下限に幅広い分布を示す。石垣島では弱い降雨強度でWischmeier式を超える過大領域が存在する。

  • メコンデルタにおける農牧水復合技術体系の評価と改善(1998)

    ドイモイ政策の進展、定期的・大規模な洪水、発達した水路系統の条件下でメコンデルタ農畜水複合技術が発達している。2期作稲作ブタ育成、水産養殖を組み合わせ物質と水の循環を技術の主要構造とし、平均1ha小規模家族経営であり、階層分化が進んでいる。

  • 途上国を対象とした農業の総合研究における国際共同の推進方策(1998)

    メコンデルタのように情報の蓄積が少ない地域を対象に国際共同による総合研究を行う場合、コーディネーターに情報を集中するとともに関係者の自由な参加の国内支援グループによる、具体的な目標設定、計画作成、評価及び広報が必要である。

  • 南米における大豆の不耕起栽培技術の改善方向(1998)

    南米において急速に普及しつつある大豆不耕起栽培技術の問題点を解析し、今後の改善方向を提示した。土壌下層の物理生・化学性改良、土壌伝染性病害の制御及び除草剤の軽減などが今後の重要な改善方向である。

  • ブラジルの大豆関連産業を中心とした産業連関分析(1998)

    1995年ブラジル産業連関表を基に、産業連関分析手法を用いて、ブラジル大豆関連産業の経済的地位が大きいこと、大豆製品の輸出需要が国内経済に及ぼす付加価値(GDP)誘発額が大豆のそれより大きいこと等を計量的に示した。

  • 小麦品種の早期開発のための半数体作出効率の改善と育種技術の評価(1998)

    遠縁交雑を利用する小麦半数体作出の効率は、花粉親の選択、切り穂培養凍結保存花粉等の技術開発により向上した。半数体育種法の利用により、従来の系統育種法によって得られる系統に匹敵する多収量系統を短期間に作出可能であることを明らかにした。

  • 硝化を抑制する熱帯イネ科牧草(1998)

    熱帯イネ科牧草の一種であるBrachiaria humidicolaは、土壌中のアンモニア酸化細菌の増殖を特異的に抑制することにより、硝化作用を抑制し、土壌から発生する亜酸化窒素の量を著しく減少させる。