研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- 東北タイ砂質土壌での硬盤層破壊による土壌保全と作物根域拡大(2001)
東北タイの砂質土壌畑作地帯における主要作物のサトウキビの圃場では、大型トラクタによる頻繁な耕起によって一般に硬盤層が形成される。この硬盤層の一部をサブソイル耕で破壊すると、雨期中の透水性が向上するため土壌流亡が軽減され、土壌深部への根系の発達が促される。
- エリアンサス属植物の飼料作物育種素材としての生育特性(2001)
エリアンサスは耐湿性が高く、深い層にまで達する根系により乾期の下層土壌水の利用が可能となり、植え付け2年目にはネピアグラスに匹敵する乾物生産能を示し、特に低窒素施肥条件や土壌pHが低い条件で生育が優れる傾向にある。
- サトウキビの部分深耕同時施肥・植付機(2001)
東北タイの砂質土壌におけるサトウキビ栽培における低コスト・省エネルギー化を図るために、サブソイラーと施肥・植付機を結合した部分深耕同時施肥・植付機を開発した。これにより、サトウキビの耕起から植付けまでの作業工程を簡略化でき、耕起・植付作業の燃料消費量・作業時間を削減できる。
- サトウキビにおける植物内生菌による窒素固定(2001)
タイで栽培されているサトウキビは、植物体中全窒素の約2~3割の窒素を窒素固定によって獲得することができる。
- 東北タイの天水田稲作地帯における乾田直播栽培の適用性(2001)
東北タイ天水田稲作地帯において、乾田直播栽培の導入が移植労力の不足と 降雨の不安定性を克服する手段として効果的であり、移植稲並の収量を得ることがで き、また不耕起と組み合わせることによる一層の省力化が期待できる。
- 東北タイ天水田における畦畔漏水防止技術(2001)
東北タイ天水田地帯において土壌保水力を向上させるためには、止水シートの挿入、または土壌固化剤(マグネシア系固化材)による畦畔造成が有効であり、土壌浸食防止・漏水抑制の効果が高い。
- 東北タイ天水田土壌では含水比が20%であると水稲は出芽し、雑草は抑制される(2001)
砂質土壌の多い東北タイの天水田土壌で乾田直播を行う場合、土壌含水比が20%であると水稲カオドマリ-105の出芽には影響を与えずに、カヤツリグサ科雑草の発生を抑制できる。
- 広域灌漑地区における雨量計密度の評価(2001)
少ない雨量観測点から降雨分布特性を推定する方法を用い、熱帯モンスーン地域の降雨分布例を示すとともにこれから雨量計密度を評価する方法を開発した。
- アーバスキュラー菌根菌がブラジルサバンナにおける暖地型イネ科牧草の乾物生産量とリン吸収量に及ぼす影響(2001)
ブラジルサバンナに生育する暖地型イネ科牧草の乾物生産とリン吸収は、土着のアーバスキュラー菌根菌(AM菌)によって促進され、その効果は、土壌pHが低いほど大きい。また、牧草の中では、Brachiaria brizanthaとB.decumbensのAM菌依存度が高い。
- ブラジルサバンナの低湿地に適した牧草と草地造成方法(2001)
ブラジルサバンナに広がる低湿地の牧草地造成には、湛水中の生存が可能な Brachiaria humidicola が最も適している。B. humidicola草地を播種造成する場合は雨季後半に低湿地の冠水が退いたのちトラクターによる作業が可能になる5月頃の播種が適している。
- タイ東北部におけるホルスタイン種乾乳牛のエネルギー要求量(2001)
タイ東北部のホルスタイン種乾乳牛では、エネルギー出納は大豆粕の給与(CP)水準が高くなるに従いエネルギー蓄積量が増加する。乾乳牛の維持に要する代謝エネルギー(ME)要求量は409KJ/BWKg0.75である。
- 電解水を用いた豆腐原料大豆の微生物制御技術(2001)
大豆浸漬水として酸性電解水、又は、混合電解水を用いることにより、豆乳や豆腐の品質を損なうことなく、大豆由来の微生物を効果的に殺菌することが可能となる。
- 中国における高品質ビーフンの加工法(2001)
異なるアミロース含量のジャポニカ・インディカ米の中で、アミロース含量20%以上のインディカ米を用いたビーフンの食味評価が高い。また、原料米を2時間浸漬後に水挽きすると湯溶けが少なく食感が向上する。河粉の食感向上のためには、原料の10%を予備糊化させ、残りの米粉スラリーと均一に混ぜた後蒸煮するとよい。
- オイルパーム空果房からの高純度セルロースパルプの調製(2001)
オイルパーム空果房に対して環境負荷の少ない方法でパルプ化・漂白を行ない,既存の工業製品に近い性質を有する高純度セルロースパルプを調製し,熱帯産未利用木質資源からファインケミカルズ原料を製造することができる。
- 中国産淡水魚類筋肉の鮮度変化の特徴(2001)
中国において養殖生産量の多いハクレンおよび草魚は、官能検査による品質評価ならびにK-値の変化の特性から判断すると、即殺後の適切な温度管理により、鮮魚として3日間の流通が可能である。
- 養殖エビで発生しているウイルス病の単クローン抗体を用いる診断(2001)
養殖エビに深刻な被害を与えているホワイトスポットシンドロームウイルス(WSSV)は、単クローン抗体を用いる血清学的診断法によって検出できる。
- 遺伝分析に有用なサヤインゲン細胞質雄性不稔系統(2001)
雄性不稔細胞質をもつサヤインゲン品種「黒種衣笠」を1回親(種子親)とし、他の品種を反復親として戻し交配を続けることにより細胞質雄性不稔系統を育成できる。これらの系統を用いれば、雑種を作出するのが極めて容易である。
- トマトのミトコンドリア型sHSPの高温ストレスに対する機能(2001)
トマトのミトコンドリア型スモールヒートショックプロテイン(MT-sHSP)は、高温ストレスによる酵素の失活を防ぐ働き(分子シャペロン作用)がある。
- サトウキビ初期生育促進のための選抜指標として重要な比葉面積(2001)
葉面積の拡大が緩慢なサトウキビでは、長期間に及ぶ初期生育が収量を制限しており、比葉面積が小さいことがその原因となっている。比葉面積には遺伝的変異がみられることから、初期生育の速い品種の育成に比葉面積および葉の長さや厚さなどの関連形質を選抜指標として利用できる。
- カンキツグリーニング病を媒介するミカンキジラミの分布はゲッキツの分布と一致する(2001)
カンキツグリーニング病を媒介するミカンキジラミは、ミカン科のゲッキツが分布する奄美大島以南の南西諸島において恒常的に発生しているので、カンキツグリーニング病が未発生のこれらの島々では、本病の侵入に対する警戒が必要である。