中国における高品質ビーフンの加工法
異なるアミロース含量のジャポニカ・インディカ米の中で、アミロース含量20%以上のインディカ米を用いたビーフンの食味評価が高い。また、原料米を2時間浸漬後に水挽きすると湯溶けが少なく食感が向上する。河粉の食感向上のためには、原料の10%を予備糊化させ、残りの米粉スラリーと均一に混ぜた後蒸煮するとよい。
背景・ねらい
中国南部・東南アジア地域では様々な種類のビーフンが伝統的手法を用いて作られている。押し出し式エクストルーダーを用いる“米線”、シート状の米スラリーを蒸し上げる“河粉”があり、さらには、原料米を発酵させると物性が向上することも経験的に知られている。しかしその加工方法の実体は職人の経験と勘によるものが多く、まだ、科学的に解明されていない。そこで各種工場で用いられている加工方法を検証し、最適条件を提言する。
成果の内容・特徴
中国で広く栽培されている米品種の中から、ジャポニカ米2 品種、インディカ米5 品種、交雑インディカ米3 品種(表1)を用いて明らかにしたビーフン加工特性は以下の通りである。
- 米を水に浸漬した後に水挽きすることにより、損傷澱粉の少ない米粉を得ることが可能となり、湯溶けの少ない物性の優れたビーフンとなる(図1、2)。なお、浸漬時間としては、原料米への吸水率が平衡に達する2 時間が最適である。
- ビーフンの品質とアミロース含量には正の相関が見られ、アミロース含量20%以上の米を用いることにより、べたつきが少なく、適度な硬さを持ち、こしの強いビーフンが得られる(図3)。
- 河粉製造時には、米粉10%を予備糊化(5 倍加水後100℃ 5 分間予備加熱したものを米粉スラリーに添加後蒸し上げる)させ、これを米粉スラリー(米粉重量の1.3 倍量を加水)と混合し、均一なペースト状にしてから蒸し上げることにより、食感に優れた河粉が得られる(図4)。
成果の活用面・留意点
今回用いたのは中国産米10 品種にすぎないが、ジャポニカ米と比較して食味が劣るとされるインディカ米の付加価値化・利用拡大が期待できる。また、同様の食材を持つ東南アジア地域への成果の活用が可能である。
具体的データ
- Affiliation
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国際農研 食料利用部
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中国農業大学
- 予算区分
- 国際プロ〔中国食料資源〕
- 研究課題
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澱粉・動植物蛋白質を主成分とする食品素材化技術の開発
- 研究期間
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2001 年度(1997 ~ 2003 年度)
- 研究担当者
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辰巳 英三 ( 食料利用部 )
成 明華 ( 中国農業大学 )
李 里特 ( 中国農業大学 )
李 再貴 ( 中国農業大学日中食品研究中心 )
江 正強 ( 中国農業大学 )
- ほか
- 発表論文等
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成明華, 李里特, 辰巳英三. (2000): 米品種と製粉工程がビーフン品質に及ぼす影響. 粮食及び飼料工業, 8: 16-19.
- 日本語PDF
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