インドネシア産大豆の豆腐・テンペへの加工適性
インドネシア産大豆は、輸入米国産大豆と比べタンパク質含量が高く、豆腐加工適性に優れる。テンペ加工においては、粒の大きい大豆ほど収量および官能評価も高く、百粒重が15g程度の品種を用いれば、製品テンペの官能評価における輸入米国産大豆とインドネシア産大豆との明らかな差は認められない。
背景・ねらい
インドネシアでは、大豆から様々な伝統的な加工食品がつくられている。豆腐や無塩発酵大豆“テンペ”、醤油様発酵調味液“ケチャップ”、味噌様発酵大豆“タウチョ”等の大豆食品は、食素材として、調味料として、また貴重なタンパク源として、重要な役割を担っている。近年では、それらの需要の伸びとともに大豆の輸入量も急増し、総需要量の1/3にも達している。このため、インドネシア産大豆の生産振興のためには、インドネシア産大豆と輸入大豆の特性を調べて差異を明らかにするとともに、加工適性の優れた大豆を生産する必要が生じてきた。そこで、インドネシア産大豆の品質・加工適正を評価した。
成果の内容・特徴
インドネシア産大豆14品種および米国産輸入大豆2点を入手し、百粒重、タンパク質含量、脂質含量等を測定するとともに、豆腐およびテンペ加工適性を評価し、インドネシア産大豆と輸入大豆の特性を明らかにした。
- インドネシア産大豆は、輸入米国産大豆に比べ、タンパク質含量が高く、脂質含量は低い。百粒重は、輸入米国産大豆より小さいものが多い。
- グルコノデルタラクトンを用いた豆腐、インドネシアでよく見られる酢酸を用いた豆腐とも、豆腐の硬さと豆腐の収量の点でインドネシア産大豆が優位である(図1, 2)。
- テンペ加工においては、粒の大きい大豆ほどテンペの収量(重さ、容量とも)が高く、官能評価も高い。百粒重が15g程度の品種を用いれば、輸入米国産大豆とインドネシア産大豆との明らかな差は認められない(図3)。
- 以上の結果をもとに、豆腐およびテンペ加工に適する大豆を図に表す(図4)。
成果の活用面・留意点
インドネシア産大豆の特性が明らかになり、インドネシアにおける大豆栽培の振興に利用できる。しかし、今回の加工適性を評価したインドネシア産大豆は14点、輸入米国産大豆は2 点に過ぎない。今後とも、他の品種や新しい品種について加工適性評価を続けていく必要がある。
具体的データ
- Affiliation
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国際農研 生産利用部
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インドネシア豆類イモ類作物研究所
- 分類
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研究
- 予算区分
- 国際研究〔地域農業〕
- 研究課題
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インドネシアにおける地域農産物の品質評価および有効利用
- 研究期間
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平成12年度(10~12年度)
- 研究担当者
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新国 佐幸 ( 生産利用部 )
GINTING Erliana ( インドネシア豆類イモ類作物研究所 )
ANTARLINA Sri S. ( インドネシア豆類イモ類作物研究所 )
UTOMO Joko S. ( インドネシア豆類イモ類作物研究所 )
- ほか
- 発表論文等
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Utomo, J. S., Ginting, E., Antarlina, S. S., and Nikkuni, S. (2000) Evaluation of Indonesian soybean varieties for tofu and Tempe processing. Proceedings of the 3rd International Soybean Processing and Utilization Conference, October 15-20, Tsukuba, Japan, pp.347-348.
Antarlina, S. S., Utomo, J. S., Ginting, E., and Nikkuni, S. (2000) Evaluation of Indonesian soybean varieties for food processing. RILET-JIRCAS Workshop on Soybean Research, Malang, Indonesia, September 28.
- 日本語PDF
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2000_09_A3_ja.pdf591.01 KB