サトウキビの部分深耕同時施肥・植付機
東北タイの砂質土壌におけるサトウキビ栽培における低コスト・省エネルギー化を図るために、サブソイラーと施肥・植付機を結合した部分深耕同時施肥・植付機を開発した。これにより、サトウキビの耕起から植付けまでの作業工程を簡略化でき、耕起・植付作業の燃料消費量・作業時間を削減できる。
背景・ねらい
東北タイの砂質土壌地帯では、サトウキビ生産の拡大に伴って大型農業機械の導入が進み、作物の浅根化や土壌流亡の激化等を招く硬盤層の存在が問題化している。また、サトウキビ作においては多くの作業機を用いる現栽培体系の改善による低コスト化が求められている。そこで、硬盤層の破壊、透水性の改善・表土流出抑制効果、作物根域の拡大等を通して畑作物の収量性改善や耐乾性の増大等の効果を有するサブソイル耕とサトウキビの施肥・植付作業とを結合させ、サトウキビ作における耕起・植付け作業体系の改善を図る。
成果の内容・特徴
- 「サトウキビ用部分深耕同時施肥・植付機」(図1)は、市販のサトウキビ植付機を改良し、サブソイリング効果を持たせるための深耕ブレード及び部分耕を行うための耕起ブレードを取り付けたトラクタ用アタッチメントである。
- 本機での作業により、深耕ブレードの通過した中央深耕部は深さ60cm 程度まで、またその周囲の部分耕部は耕起ブレードにより深さ20cm まで膨軟にすることができ、深耕した直上に施肥・サトウキビ茎の植付を行える(図2)。
- 深耕ブレードや耕起ブレードの取付によって植付機の牽引抵抗が増加し、本機を牽引するためには80 ~ 100PS のトラクタが必要となる。また、それにより植え付け時の燃料消費量は約2 倍程度増加するが、3 連ディスクプラウによる耕起作業時とほぼ同等である。
- サトウキビの耕起から植付けまでの作業工程は、耕起植付体系では心土破砕作業と耕起作業の一部を、不耕起植付体系では耕起作業全体を省略できる(図3)。
本機を用いることにより慣行機械化体系に比べ、燃料消費量は耕起植付体系で約 20%、不耕起植付体系で約70%削減され、作業時間も耕起植付体系で約25%、不耕起植付体系で約70%、それぞれ短縮される (図4)。また、本機の利用による不耕起植付体系においてはサトウキビの根の発達が促され乾期の生存率が向上する傾向にある。
成果の活用面・留意点
東北タイの砂質土壌地帯におけるサトウキビの低コスト・省エネルギー的耕起・植付体系モデルとして活用できる。サトウキビの生育・収量に及ぼす影響を評価する必要がある。なお、本機は東北タイと同様な砂質土壌地帯におけるサトウキビ作にも適用できる。
具体的データ
- Affiliation
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国際農研 生産環境部
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農研機構 東北農業研究センター
タイ農業局コンケン畑作物研究センター
- 予算区分
- 国際プロ〔東北タイ〕
- 研究課題
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東北タイにおける耕畜結合高度化のための畑作付体系の策定
- 研究期間
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2001 年度(1999 ~ 2001 年度)
- 研究担当者
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屋代 幹雄 ( 農研機構 東北農業研究センター )
松尾 和之 ( 生産環境部 )
WONGWIWATCHAI Chairoj ( タイ農業局コンケン畑作物研究センター )
- ほか
- 発表論文等
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(投稿準備中)
- 日本語PDF
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2001_07_A3_ja.pdf1.08 MB