研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- 衛星データによるインド・デカン高原中央部における農地利用度把握手法の開発(1997)
衛星データから計算される植生指数値は、土地利用毎に異なった季節変化を示す。インド半乾燥地域を対象とした場合、雨季後の作期(ラビー期)後半において植生指数値により農地と他の用途との区別が可能となる。こうした特性を利用し、年々の農地利用の空間分布を推定する手法を開発した。さらに、農地分布と自然条件との対応関係を解析した。
- タイの畑地土壌からの亜酸化窒素発生量の推定(1997)
熱帯にあるタイにおける作物栽培期間中に畑地土壌から発生する亜酸化窒素の施用窒素に対する比は0.08-0.48%であり、温帯と大差がなかった。
- ケニアの食生活に占める昆虫食の実態(1997)
昆虫食の実態とそれが現地の食生活に果たす役割を主にケニアで調査した。最も良く食べられている昆虫はシロアリの羽アリで、特に西ケニアの農村では作物の収穫の途切れる雨期の食料として、不足がちな動物性タンパクおよび脂肪の補給源となっている。
- コラップス土の力学的特性の解明と定量化手法の開発(1997)
東北タイに分布する土を対象として、コラップス土の力学的特性を三軸圧縮試験、圧密試験および加圧板試験を行いて明らかにした。また、不飽和土を対象とし、二つのサクション効果を考慮した弾塑性モデルを用いて、コラップス量を定量化する手法を開発した。
- タイレリア・パルバ原虫感染ダニの牛皮膚付着部位における免疫担当細胞の動態(1997)
東海岸熱に対するワクチン開発のための基礎的知見を得るために、タイレリア・パルバ原虫感染ダニの付着部位である牛皮膚における免疫担当細胞の動態を、免疫組織化学により明らかにした。
- 原虫病に関する牛サイトカイン mRNA の in situ ハイブリダイゼーション法による検出(1997)
サイトカインは、免疫系に関与する生理活性物質であり、免疫担当細胞の増殖や分化に関わることで、動物の生体防御反応の中心的役割を果たしている。In situ ハイブリダイゼーション法による牛サイトカインmRNAの検出が可能となった。
- 熱帯産水産生物の日齢査定(1997)
熱帯域に分布する魚類、イカ類の耳石および平衡石の微細構造を観察し、日周輪による日齢の推定ができるようになった。
- サトウキビの早期高糖性とショ糖蓄積関連酵素の活性(1997)
南西諸島のサトウキビ生産には「品質取引」制度が導入され、茎原料の高品質性(高糖性)が重視されている。早期高糖性の基幹品種「NiF4」では、ショ糖蓄積過程に貯蔵組織のショ糖リン酸合成酵素活性が強く関与していることを明らかにした。
- リョクトウの鉄欠乏耐性品種の特性評価(1997)
リョクトウには、鉄欠乏に対する耐性に大きな品種間差があること、および鉄欠乏耐性品種は感受性品種にくらべ高い倍地の酸性化能を持っていることを明らかにした。これらの耐性品種を用いることでアルカリ土壌における鉄欠乏問題を回避できる。
- 2価鉄による水稲種子籾殻からのエチレン発生の促進(1997)
2価鉄は水稲種子の籾殻におけるエチレンの生成を促進する。2価鉄によるエチレンの生成は低酸素濃度下でも行われ、鞘葉の伸長を促進する。
- チーク材に含まれるカウチュークの耐久性への関与(1997)
チークの心材部の主として放射柔細胞に含まれるカウチューク(ゴム物質)はチーク材の高い耐久性の発現に関与している。カウチュークは材表面の撥水性向上だけでなく、キノン類を中心とした心材成分との相乗効果によりチーク材の耐久性を高めていると考えられる。
- マレイシアにおけるハイブリッド稲の開発とその利用(1997)
マレイシアでハイブリッド稲を利用する上で問題とされてきた、採種に使う細胞質雄性不稔の稔性の転換の問題を解決した。また、高い収量性を示すハイブリッド稲組合わせを見つけ出した。
- 水系レベル水資源管理状況把握のための既存潅漑管理データの有効利用法(1997)
開発途上国の大規模潅漑プロジェクトにおいて、ルーチンに観測されながら活用されていない既存の潅漑管理データを有効利用し、水系レベルの水資源管理状況を把握するための基礎データに加工する簡便法を開発した。
- ベトナムの米需給の展望(1996)
ドイモイ政策の下で市場経済化を進めているベトナムでは、年率5%近くで米生産の拡大が続いているが、政府の輸出数量規制のため国内では供給過剰が起こっており、国内米価の下落をくい止めるためには輸出規制緩和が必要である。
- 中国雲南省における水稲新品種「合系34号」及び「合系35号」(1996)
中国雲南省の標高1800~2000m地帯に適する多収・良質の水稲新品種「合系34号」及び「合系35号」を育成した。
- 中国上海地域に適するキュウリ、イチゴの耐病性優良新品種(1996)
日本及び中国の遺伝資源を素材として、早生、多収、高品質で耐病性に優れ、上海地域に適するキュウリ新品種「滬(ふ)116号」と「滬119号」及びイチゴ新品種「申旭1号」と「申旭2号」を育成した。
- 東北タイのプラユン地域における塩水地下水の上昇機構の解明(1996)
東北タイの地下60m~150mに分布する岩塩層に由来する塩水地下水の上昇機構を検討した。その結果、断層が塩水地下水の上昇通路として機能していること、、地下水位がデッドラインより低下したときに圧力水頭分布は上向きの地下水流を発生させることを明らかにした。
- 岩石溶解過程における岩石の物理的性質の影響(1996)
多様な岩石の溶解実験を行い、溶解量と物理的性質との関係を明らかにし、初期化学的風化及び初期土壌生成過程における母岩からの溶解特性を得た。その結果により、岩石の溶解反応における間隙率依存性が定量的に求められた。
- マレイシア・ムダ地区における2,4-D抵抗性型ヒデリコの分布と除草剤に対する反応(1996)
マレイシアのムダ地区で発見された2,4-D抵抗性型のヒデリコは、感受性型に比べて29倍の抵抗性を示すが、使用する除草剤を変えることによって容易に防除でき、短期間で抵抗性型の発生率を低下させることが可能である。
- ブラジル南東部におけるハキリアリの分布と密度 ~被害拡大の可能性~(1996)
ブラジル南東部における農業害虫としてのハキリアリの分布と密度の調査から、この地域で分布していること及び、調査地域北西部で被害が深刻である点が判明した。しかしその分布拡大から、今後は地域全域で本害虫による被害が深刻化することが懸念される。