研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- カザフスタン産マメ科牧草エスパルツェトの種子は、地域的変異があり、強いアレロパシーを示す(2000)
カザフスタン産エスパルツェト(Onobrychis spp.)は1個の果皮の中に1個の種子を有し、その形態には地域的変異がある。果皮付種子の発芽は、果皮を除去した裸種子よりも遅れる傾向がある。サンドイッチ法によりアレロパシーを検定すると、果皮を除去した種子が最も強い。
- 2種のアグロパストラルシステムにおけるPanicum maximum草地の乾物生産性と飼料価値の比較(2000)
4年間夏ダイズ単作跡地に造成されたPanicum maximum放牧草地では、高い乾物生産性及び飼料価値が示される。4年間夏ダイズ冬ミレット輪作跡地においてもP. maximumの高い乾物生産性、飼料価値を発揮させるには、窒素などの施肥管理が重要である。
- ブラジル東北セラードのダイズ栽培におけるイオウの栄養診断基準(2000)
ダイズにおけるイオウ(S)必要量を収量および子実蛋白質組成に着目して調査したところ、葉あるいは子実のS含有率が1 g/kg未満の場合は非常に不足、 1 g/kg~2 g/kgの場合は不足、 2 g/kg~2.3 g/kgの場合は低く、2.3 g/kg以上の場合は正常である。
- 環境インパクトの小さい熱帯天然林の伐採技術(2000)
天然林択伐作業技術として伐倒方向の制御およびタワーヤーダ集材方式を活用することにより、集材作業における環境インパクトを著しく減少できる。
- エビと二枚貝の混合養殖による有機汚濁物質の軽減(2000)
ウシエビ(ブラックタイガー)養殖によって排出される有機汚濁物質を減少させ、疾病の発生を抑制する方法としてウシエビとミドリイガイとの混合養殖は有効である。
- マングローブを利用した養殖排水の浄化(2000)
エビ養殖池からの排水をマングローブ植林地に導入すると、その高い窒素除去能により環境負荷を低減できる。
- 地中点滴装置を用いたかん水施肥によるハクサイ心腐れ症の軽減(2000)
地中点滴装置を用いて、窒素施肥量を低減したかん水施肥を行うことにより、ハクサイの結球重量は慣行施肥栽培と同等であるが、心腐れ症を軽減することができる。軽減の程度には品種間差異が認められ、耐性の1品種についてはほぼ完全に克服できる。
- パパイア奇形葉モザイクウイルス(PLDMV)の全塩基配列(2000)
東南アジア各国への蔓延が懸念されているパパイア奇形葉モザイクウイルス(PLDMV)の全塩基配列の解読により、その遺伝子構造を明らかにした。
- 植物にも存在したナトリウム(排出)ポンプ(Na+-ATPase)(2000)
海産の藻類 Heterosigma akashiwoのナトリウム(排出)ポンプをコードする遺伝子(HANA)は1330アミノ酸からなる推定分子量146kDa、10の膜貫通領域を持つ膜タンパクをコードしている。HANAは、植物からは初めてクローニングされたナトリウムポンプの遺伝子である。
- 高温処理による生理的花粉不稔を利用したサヤインゲン簡易交配法(2000)
サヤインゲンに高温ストレスをかけると花粉不稔が生じる。この性質を利用して種子親に高温処理して開花当日に正常花粉を授粉する簡易な交配法により、高い交配成功率で確実にF1雑種種子が得られる。
- サヤインゲン品種‘黒種衣笠’で見つかった細胞質雄性不稔(2000)
サヤインゲン品種‘黒種衣笠’を種子親、‘ハイブシ’を花粉親として得られる雑種を栽培すると着莢が極めて不良となるが、逆交配のF1は正常に着莢し花粉稔性も高い。この不稔は‘黒種衣笠’の細胞質雄性不稔によるものであり、サヤインゲンのF1雑種を獲得するうえで有効である。
- サトウキビにおけるスクロースリン酸シンターゼ(SPS)遺伝子の識別法(2000)
サトウキビの光合成および糖蓄積に関与している酵素スクロースリン酸シンターゼ(SPS)の遺伝子は、トウモロコシのSPS遺伝子の一部を用いたサザンブロット法により識別できる。
- 食料需給モデルを用いた食料安全保障のシミュレーション分析(1999)
経済協力開発機構(OECD)が開発した食料需給モデルを拡充・改良して実施したアジアの低所得食料輸入地域に関するシミュレーション分析によれば、輸出国での不作、輸入国での為替変動が起こった場合、自由貿易政策の選択が食料安全保障に悪影響を及ぼす可能性がある。
- ベトナムメコンデルタ在来稲における耐塩性品種選定のための遺伝的多様性の評価(1999)
水稲60品種と陸稲5品種を含むメコンデルタ在来稲は、43個のDNAマーカー(マイクロサテライトマーカー)を用いたクラスター分析により遺伝的多様性が明らかになり、それらメコンデルタ在来稲61品種から14の耐塩性品種を選抜した。
- 転写調節遺伝子を用いた環境ストレス耐性植物の開発(1999)
植物の乾燥や塩害、凍結等に対する耐性機構で働く遺伝子群を調節している遺伝子を突き止めた。この遺伝子を導入した植物では、これまでにない高いレベルの乾燥・塩・凍結耐性を示した。この技術は種々の植物に応用できると考えられ、地球規模の環境劣化に対応できる作物の開発への応用が期待できる。
- 中国山東省陵県における地下水水質と農耕地の窒素循環(1999)
中国黄淮海平原の典型的な農業地域である山東省陵県においては、地下水の硝酸汚染の広域化は現時点では認められないが、農耕地土壌と環境への多量の窒素負荷があり、近い将来における環境悪化が予想される。
- 根系分布からみた熱帯アジアの陸稲の水ストレス高感受性(1999)
熱帯アジアの陸稲は根系分布が一般に浅く、水ストレス下においても深層の根長密度が増加せず、根長あたりの水吸収速度も高まらないため、水ストレスに対して感受性が高い。燐酸施肥は深層での根の形成を促進し、水吸収を高める。
- 香り米中の香り成分の定量法(1999)
香り米に含まれる香り成分である2-アセチル-1-ピロリンを同位体希釈法を利用した方法により、正確で簡便に定量することが可能である。また、香り米の植物体にも本物質が含まれている。
- 精米からのインディカ品種判別法(1999)
精米ゲル結合水の離水を利用した精米一粒からの簡易なDNA抽出法を開発し、マイクロサテライトマーカーを利用した品種判別法と組み合わせることによって、精米での混米の判別が可能である。
- タイ国東北部における在来反芻家畜の消化特性とエネルギー要求量(1999)
タイ在来種牛や沼沢水牛のような在来の家畜は大豆粕などのような蛋白質の補給がない場合でも、粗蛋白質含量が3%程度と低い粗飼料を効率良く消化できる。また、基本的な生体機能を維持するために必要なエネルギー量が低い。そのため、粗蛋白質含量の低い飼料を有効に利用した飼養管理が可能である。