研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- 養液栽培装置を用いたさとうきび側枝ポット苗の大量増殖(1996)
国際農林水産業研究センター沖縄支所で開発した省エネルギー型養液栽培装置を用いて、さとうきびの母木栽培による側枝ポット苗を短期間に大量増殖する技術を開発した。
- 超低温ガラス化法によるタロ遺伝資源保存法の開発(1996)
熱帯性作物であるタロの遺伝資源について、超低温ガラス化法を用いた茎頂の長期保存技術を確立した。本技術は、種内の異なった系統への汎用性も高く、平均87%の生存率が安定して得られた。
- ウエスタンブロッティング法の改良によるパパイアのウイルスタンパクの検出(1996)
ウエスタンブロッティング法を改良し、これまで不可能であった、パパイア感染葉から直接病原ウィルスタンパクをビジュアルに検出する方法を確立した。
- アズキ亜属4倍体種Vigna glabrescensの遺伝的背景(1995)
リョクトウの主要病害虫に抵抗性を示すアズキ亜属4倍体栽培種のVigna glabrescens は、4倍体野生種 V.reflexo-pilosa の栽培型であり、2倍体野生種の V.trinervia (雌親)と V.minima (花粉親)がこれら4倍体種の両親種であると推定された。
- 高等植物から得られた乾燥誘導性遺伝子群の構造と機能(1995)
モデル植物のシロイヌナズナ及び耐干性マメ科作物のササゲから、前者では乾燥後短時間に誘導される16種の遺伝子、後者では乾燥により誘導される10種の遺伝子を単離した。これらの遺伝子の全塩基配列を決定した結果、乾燥耐性の獲得に関与すると考えられる種々のタンパク質との相同性が見いだされた。
- 乾燥地における複数列の混交防風林帯による微気象改良と作物(1995)
中国トルファン地域の夏季の高温・乾燥・強風条件下において、防風林を複数列にすることで、微気象を改良し、気候緩和する効果が加算されることを明らかにした。
- 国際農林水産業統計情報システム(JIRCAS-STAT)の開発(1995)
世界食料需給分析などの研究や国際研究・技術協力の企画・戦略立案などに利用するため、海外の農林水産業をめぐる社会経済統計を一括して蓄積・管理し、効率的な分析を可能とするソフトウェアを設計、開発した。
- トウジンビエ凍結保存花粉利用による小麦半数体の作出(1995)
凍結保存したトウジンビエ花粉を小麦に授粉し、新鮮花粉の場合と同等の小麦半数性胚の形成頻度を得た。新鮮花粉が得られない時期及び場所においても、凍結保存花粉を利用することにより小麦半数体が作出できる。
- 乾燥耐性カウピー系統の選抜(1995)
西アフリカの半乾燥地帯で、乾期に残留土壌水分のみで栽培でき、ヘクタール当たり1トン近くの子実収量をあげうる系統、茎葉収量が高く家畜飼料として有望な系統等、カウピーの乾燥耐性系統を選抜した。
- フィリピン低地土壌の分布様式と特性の解明(1995)
フィリピン・ルソン島の主な水田地帯の代表的低地土壌の分布様式とその特性は生成条件(母材、気候、地形)と関連づけて説明できることを明らかにした。この結果、フィリピン低地土壌は概して塩基性母材に由来した特性を有するが、降雨および地形条件が地域間や地域内の低地土壌特性の差異に密接に関与していた。
- 南米サバンナにおける陸稲の酸性土壌耐性メカニズムの解明(1995)
南米のサバンナの酸性土壌において、陸稲の酸性土壌耐性に関する品種間差の生理的機構について検討した。作付期間中に土壌pHが4.3程度に下がると土壌溶液中のアルミ濃度が上昇して根に対する直接害を引き起こすが、耐性品種は感受性品種よりわずかに高い根圏pHを維持してアルミ害を回避することがわかった。
- 熱帯における水田からのメタン発生制御技術の開発(1995)
熱帯地域での水田からのメタン発生制御技術を検討した結果、圃場残存有機物の酸化的分解の促進や、有機物肥料の堆肥化など、易分解性有機物量を減少させる有機物管理技術が効果的であることが示された。
- 過放牧が引き起こす砂漠化の微気象学的メカニズム(1995)
中国内モンゴル東部の半乾燥気候の草原で、ヒツジの放牧頭数を変えた放牧試験を行い、放牧強度の差異による草原の砂漠化過程を微気象の変化から調べた。過放牧により、草原植生量が減少するだけでなくヒツジの歩行数が増え、土壌が硬化した。硬い土壌は降雨の地下浸透を妨げ表面蒸発量を増大させ、植生の再生伸長を妨げた。
- マレイシアの直播水稲栽培における雑草イネ(padi angin)の生態と防除(1995)
1989年以降マレイシアの直播水稲栽培で問題になっている雑草イネの発生実態と雑草害を整理し、その形態変異と生態的特性から、耕種的な防除方法を明らかにした。
- ブランコヤドリバエの繁殖戦略 ~寄主密度と産卵調節~(1995)
多くのヨトウガ類の天敵であるブランコヤドリバエについて、寄主遭遇頻度とパッチあたり寄主密度が産卵行動に及ぼす影響を調べた。寄主との遭遇頻度が高くなる(寄主遭遇までの時間々隔が短くなる)ほど1回の産卵数は少なくなり、逆にパッチあたりの寄主密度が高くなるほど1回の産卵回数は増加した。このことから、雌成虫は寄主頻度を認識して産卵数を調節していることが示唆された。このような能力が捕食寄生性ハエ類に存在することはこれまで知られていない。
- マレイシアにおける反芻家畜用尿素糖蜜ブロックの組成および製造方法(1995)
マレイシアにおける農業副産物の飼料化の方法の1つとして、反芻家畜用の補助飼料として利用可能な尿素糖蜜ブロックの組成および製造方法を開発した。
- 熱帯におけるアブラヤシ茎葉サイレージの利用(1995)
パーム油産業副産物であるアブラヤシ茎葉の飼料としての価値を明らかにするとともに、それを熱帯の牛の飼料に配合、給与することによって牛肉と牛乳を生産できることを実証した。
- DNAマーカーを用いた種畜の遺伝能力推定法(1995)
家畜疾病や乳生産などの生産性に対する遺伝能力の推定にDNAマーカーを用いる手法を開発した。開発した手法の有効性を遺伝率、形質に関与する遺伝子数および推定に用いるDNAマーカー数をもとに吟味した。
- ブタおよびイノシシのミトコンドリアDNA型解析のためのLA-PCR法の確立(1995)
ブタおよびイノシシのミトコンドリアDNA(mtDNA)15.2kbをPCRを増幅するLA-PCR法を初めて確立し、mtDNAのRFLP解析をきわめて容易に行えるようにした。フィリピン在来豚およびイノシシのゲノムDNAを材料に、本方法の有効性を確認した。
- 地図情報処理による土地荒廃危険度の評価手法(1995)
資源マップデータベースおよびニューラルネットワークにより土地荒廃因子を学習するモデルを構築し、荒廃危険度を地図情報により評価した。