国際農林水産業統計情報システム(JIRCAS-STAT)の開発

要約

世界食料需給分析などの研究や国際研究・技術協力の企画・戦略立案などに利用するため、海外の農林水産業をめぐる社会経済統計を一括して蓄積・管理し、効率的な分析を可能とするソフトウェアを設計、開発した。

背景・ねらい

平成5年10月、国際農林水産業研究センターが開設され、開発途上地域を中心とする農林水産業部門の研究が充実された。一方、国際的な農林水産業関係の情報は、従来から行政部局などでかなりの蓄積がなされてきたが、必ずしも体系的な整理や分析に適したものではなかった。このため、同センター内で農林水産業をめぐる社会経済情報、農業事情、研究事情などの情報を一括して管理、利用するための国際研究情報管理・利用システムの開発が開始された。この一部として、国際機関等が発表する農林水産業に関する社会経済統計を統一したフォーマットで蓄積利用しさらに、時系列分析等の解析をも可能とする統計情報システムを開発し、世界食料需給分析などの国際研究に利用するほか、国際研究・技術協力の企画・戦略立案や政策立案の支援を図る。

成果の内容・特徴

一般のリレーショナルデータベースに長期の時系列の統計データを適用すると、データの蓄積効率やデータの処理速度に問題が生じる。このため、コンピュータ言語を用いたシステムが従来一般的であったが、開発に相当の時間と経費がかかり、使い勝手のよいシステムができなかった。本研究では時系列データを分割して処理するという独自の方法を採用し、これらの問題を解決した。また、国際情報であることから生じる様々な問題(英語名や国名処理)について一定の解決策を考案した。

当面、FAOなどの国際機関で作成された約130万件、データ数4千万の数値データベースを作成した。これにより、異なる機関で作成されたデータを一括して分析することが可能となった。また、今後独自に蓄積されるデータについても同様な処理が可能となる。本システムは、現在最も一般的なパーソナルコンピュータのWindows上のソフトウェアであり、また、グラフ表示や数値解析の面で市販の表計算ソフトなどとの連携がとられているため、多くの利用者が期待できる。データは国別の生産、貿易、食料消費、農業保護水準、マクロ経済指標、人口などが網羅されており、これらを用いた世界の農林水産業情勢の分析が従来に比べて極めて容易に行えるようになった。

成果の活用面・留意点

このシステムは、世界の食料需給のシミュレーション分析を行う計量経済モデルの基礎データを提供し、将来予測などにも利用されている。
システム自体の応用範囲は広いと考えられるが、利用には市販のソフトウェアが必要となる。また、データベースについては、データが購入または相互利用のデータであるため、外部への提供には制約がある。

具体的データ

  1. 表1 収容情報の種類と量

    表1
  2. 図1
    図1 メニュー画面(一般利用者)
  3. 図2
    図2 検索画面 ー 品目グループと品目(名称は英語でも表示)
Affiliation

国際農研 海外情報部

分類

行政

予算区分
経常
研究課題

国際研究情報管理・利用システムの開発

研究期間

1995年度(1994~1995年度)

研究担当者

小山 ( 海外情報部 )

鈴木 光雄 ( 海外情報部 )

木浦 卓治 ( 海外情報部 )

大賀 圭治 ( 海外情報部 )

ほか
発表論文等

第4回農林水産情報研究会講演集(デモ講演)(1995)

日本語PDF

1995_01_A3_ja.pdf1.19 MB

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