研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- 土壌への有機物供給能力からみた農牧輪換システムへの導入優良イネ科草種(1999)
ブラジル・サバンナのオキシソル(暗赤色ラトソル土壌)地帯におけるイネ科牧草5種の中で、土壌への有機物の供給能力の視点で地下部バイオマスを評価すると、Brachiaria brizanthaが最も多く、農牧輪換システムへの導入に適した草種である。
- 作業道におけるフタバガキ科セラヤの更新技術(1999)
半島マレイシアにおいて丘陵フタバガキ林の主な伐採対象樹種であるセラヤが天然更新する条件を調査した。その結果、従来のブルドーザを用いた集材方法でも、 地形やセラヤの種特性を考慮することで、持続的な森林経営を行うことが可能となる。
- フィリピンにおけるマメ科およびネムノキ科有用樹の種子発芽促進処理技術(1999)
フィリピンの荒廃草地造林に広範に用いられるネムノキ科Leucaena属を含む有用樹は、火入れ加熱処理、温水加熱処理とその組み合わせにより、簡易・効率的な種子発芽を促進することができる。
- オニテナガエビの卵黄タンパク質ビテリンのアミノ酸配列決定および合成部位の解明(1999)
養殖対象種であるオニテナガエビを用いて成熟卵黄タンパク質の主要な成分であるビテリンの精製、構造解析および遺伝子のクローニングを行い、肝膵臓で発現されていることを明らかにした。
- マングローブ汽水域における魚介類生産機能の解明(1999)
マレイシアにて、マングローブ林面積/河川面積の比が大きい水域(マタン:4.7)では漁獲量が多いが、割合の少ない(比:2.1)メルボック水域では魚類多様度が増大した。またマングローブ湿地は栄養塩、ケイ藻の貯蔵庫となり、これらは隣接海水中に供給されている。
- サヤインゲンの花粉稔性による耐暑性検定(1999)
サヤインゲンの花粉稔性は、開花約10日前の高温ストレスにより低下する。花粉稔性と着莢率の間には高い正の有意な相関関係(r=0.98)が認められる。開花約10日前の高温感受性を花粉稔性により検定することでサヤインゲンの耐暑性を評価できる。
- 亜熱帯地域の降雨エネルギーおよび雨滴粒径分布の特性(1999)
マイクロフォン型雨滴粒径測定装置による降雨エネルギー値算定法を用いると、石垣島(亜熱帯)とつくばの実測値はWischmeier式(降雨エネルギー式)を上限に三原式を下限に幅広い分布を示す。石垣島では弱い降雨強度でWischmeier式を超える過大領域が存在する。
- メコンデルタにおける農牧水復合技術体系の評価と改善(1998)
ドイモイ政策の進展、定期的・大規模な洪水、発達した水路系統の条件下でメコンデルタの農畜水複合技術が発達している。2期作稲作、ブタ育成、水産養殖を組み合わせ物質と水の循環を技術の主要構造とし、平均1ha小規模家族経営であり、階層分化が進んでいる。
- 途上国を対象とした農業の総合研究における国際共同の推進方策(1998)
メコンデルタのように情報の蓄積が少ない地域を対象に国際共同による総合研究を行う場合、コーディネーターに情報を集中するとともに関係者の自由な参加の国内支援グループによる、具体的な目標設定、計画作成、評価及び広報が必要である。
- 南米における大豆の不耕起栽培技術の改善方向(1998)
南米において急速に普及しつつある大豆の不耕起栽培技術の問題点を解析し、今後の改善方向を提示した。土壌下層の物理生・化学性改良、土壌伝染性病害の制御及び除草剤の軽減などが今後の重要な改善方向である。
- ブラジルの大豆関連産業を中心とした産業連関分析(1998)
1995年ブラジル産業連関表を基に、産業連関分析手法を用いて、ブラジル大豆関連産業の経済的地位が大きいこと、大豆製品の輸出需要が国内経済に及ぼす付加価値(GDP)誘発額が大豆のそれより大きいこと等を計量的に示した。
- 小麦品種の早期開発のための半数体作出効率の改善と育種技術の評価(1998)
遠縁交雑を利用する小麦半数体作出の効率は、花粉親の選択、切り穂培養、凍結保存花粉等の技術開発により向上した。半数体育種法の利用により、従来の系統育種法によって得られる系統に匹敵する多収量系統を短期間に作出可能であることを明らかにした。
- 硝化を抑制する熱帯イネ科牧草(1998)
熱帯イネ科牧草の一種であるBrachiaria humidicolaは、土壌中のアンモニア酸化細菌の増殖を特異的に抑制することにより、硝化作用を抑制し、土壌から発生する亜酸化窒素の量を著しく減少させる。
- 畑地土壌からの一酸化窒素および亜酸化窒素の放出に及ぼす施肥深度の影響(1998)
施肥域の深層化により畑土壌から大気への一酸化窒素放出量を大幅に削減可能である。施肥の深層化も10cm程度で十分の効果があり、それにより一酸化窒素放出量をほぼ無施肥土壌の水準にまで削減できる。
- 乾燥地で作物生育を促進する溝底播種(1998)
土壌面の溝底では、土壌水分の減少と塩類集積が遅れ、地温の日変化が抑制される。そのため、乾燥地で深さ5cm程の溝底に播種すると、作物の発芽・生育が促進される。
- ベトナムに分布するイネいもち病菌およびイネ白葉枯病菌の病原性(1998)
ベトナムのメコンデルタを中心に、イネいもち病菌、及びイネ白葉枯病菌を収集し、病原性特性(レース)を明らかにすると共に,それらに対する低抗性遺伝子源の検索を行った。いもち病ではPish, Piz-t 及び Pik-p が、また、白葉枯病ではxa-5, Xa-7, Xa-17が、それぞれ低抗性遺伝子源として有効と考えられた。
- タイ産ショウガ科食用植物に含まれる抗変異原成分の単離・同定(1998)
熱帯産食用植物の生理機能性について調査を行い、2種類のタイ産ショウガ科食用植物フィンガールート(Bosenbergia pandurata Sch1.) 及びガランガ(Languas galanga)に強い抗変異原性があることを見出し、有効成分を単離し構造を推定した。
- 溶菌微生物 Flexibacter sp.FL824Aのキチン分解酵素遺伝子の解析(1998)
Flexibacter sp. FL824A の染色体DNAから、2つの活性ドメインを持つ特異な構造のキチナーゼの遺伝子と、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼの遺伝子の2つのキチン分解酵素遺伝子をクローニングし、全塩基配列を決定した。
- ベトナム・メコンデルタにおける豚回虫の感染状況と駆虫の経済効果(1998)
ベトナム・メコンデルタで飼養される豚について豚回虫(Ascaris suum)の感染状況を明らかにするとともに、駆虫の経済効果について検討した。駆回虫感染豚を駆虫群と無駆虫群に分け、増体重を比較したところ、駆虫群では体重80kgに達する期間が約2週間短縮された。その経済効果は1頭当たり約200円と見積もられた。
- インドネシア・スマトラ島における移住事業後のゴム林地の所有形態の変化(1998)
インドネシアの移住事業は移住地周辺の地元社会に大きな影響を与えた、移住事業の中心地であるスマトラ島では、地元旧往民の主な収入源はゴム林であるが、多くは森林を開拓して造成したものであった。移住地建設よって地元住民の利用可能な森林が制限されたことにより、地元村内におけるゴ払林地の売買が活発化し、ゴム栽培農家の階層分化が進行した。