研究成果情報

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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら

  • タイの作物加害ネコブセンチュウ新種の酵素表現型による同定(1996)

    これまで、不明確であったタイの有害ネコブセンチュウの種を明らかにするため、エステラーゼなどの酵素の表現型によって、新種1種を含む5種を同定した。これにより、有害線虫の耕種的防除技術が大きく進展するものと期待される。

  • マレイシア・ムダ稲作地帯におけるグループ・ファーミングの運営の利点と問題点(1996)

    ムダ稲作地帯グループ・ファーミングは、初期における信用の供与や技術情報の提供等行政主導の組織化が収益の高い経営を作り出す上で有効な手段たりうることを示している。しかし一方で、上からの組織運営に関する不安や自助努力の欠如など持続的発展の上で解決すべき問題も明らかとなった。

  • 乾季における乳牛用飼料としてのさとうきびの飼料価値(1996)

    タイ国東北部の過酷な環境下で、他の作物・飼料作物と比較しても抜群のバイオマス生産量を誇るさとうきびの乾季における牛用飼料、特に乳牛用飼料としての利用法を、家畜栄養学の見地から示した。

  • シリア北東部オオムギ・牧野地帯における過食飼料資源量の広域評価(1996)

    シリア北東部乾燥地域オオムギ・牧野地帯における飼料資源を現地調査および衛生データ解析により8つに区分けし、分布図を作成した。各区毎の分布面積および現存量より可食バイオマス量を算定し、試験地域全体の年間可食飼料資源量を評価した。

  • アカシアマンギウムにおける多湿心材の発見と形成要因(1996)

    代表的な熱帯早成樹種の1つであるアカシアマンギウムは東南アジアに広範囲に造林されている。しかし多くの個体に多湿心材(Wetwood)の存在が認められ、今後、木材利用上で問題が生ずることが予想される。熱帯早成樹種における多湿心材の存在は初めての報告例であるとともに、従来の温帯産樹種での多湿心材形成要因説のどれにも該当しないことから、別の形成要因があると考えられた。

  • 東南アジア産オニテナガエビ(Macrobrachium rosenbergii)の成熟・産卵・脱皮過程の解明(1996)

    東南アジアでは重要な養殖対象種である淡水産オニテナガエビ成熟産卵脱皮過程内分泌学的要因との関係を検討し、脱皮ホルモンであるエクジステロイドおよび昆虫で変態を制御する幼若ホルモンはエビ類にも存在し、脱皮だけでなく成熟過程にも関与することを明らかにした。

  • 東南アジア産有用魚介類の遺伝変異検索マニュアルの作成(1996)

       東南アジア産有用魚介類の遺伝変異検索のため、アイソザイム分析マニュアルを作成した。本マニュアルを用い養殖対象種を分析した結果、ナマズでは地域集団が育種素材として重要なこと、また遺伝変異検索が効率的な育種法の選択に有効であることを示した。

  • 養液栽培装置を用いたさとうきび側枝ポット苗の大量増殖(1996)

    国際農林水産業研究センター沖縄支所で開発した省エネルギー型養液栽培装置を用いて、さとうきびの母木栽培による側枝ポット苗を短期間に大量増殖する技術を開発した。

  • 超低温ガラス化法によるタロ遺伝資源保存法の開発(1996)

    熱帯性作物であるタロの遺伝資源について、超低温ガラス化法を用いた茎頂長期保存技術を確立した。本技術は、種内の異なった系統への汎用性も高く、平均87%の生存率が安定して得られた。

  • ウエスタンブロッティング法の改良によるパパイアのウイルスタンパクの検出(1996)

    ウエスタンブロッティング法を改良し、これまで不可能であった、パパイア感染葉から直接病原ウィルスタンパクビジュアルに検出する方法を確立した。

  • アズキ亜属4倍体種Vigna glabrescensの遺伝的背景(1995)

    リョクトウの主要病害虫に抵抗性を示すアズキ亜属4倍体栽培種のVigna glabrescens は、4倍体野生種 V.reflexo-pilosa の栽培型であり、2倍体野生種の V.trinervia (雌親)と V.minima (花粉親)がこれら4倍体種の両親種であると推定された。

  • 高等植物から得られた乾燥誘導性遺伝子群の構造と機能(1995)

    モデル植物のシロイヌナズナ及び耐干性マメ科作物のササゲから、前者では乾燥後短時間に誘導される16種の遺伝子、後者では乾燥により誘導される10種の遺伝子を単離した。これらの遺伝子の全塩基配列を決定した結果、乾燥耐性の獲得に関与すると考えられる種々のタンパク質との相同性が見いだされた。

  • 乾燥地における複数列の混交防風林帯による微気象改良と作物(1995)

    中国トルファン地域の夏季の高温・乾燥・強風条件下において、防風林複数列にすることで、微気象を改良し、気候緩和する効果が加算されることを明らかにした。

  • 国際農林水産業統計情報システム(JIRCAS-STAT)の開発(1995)

    世界食料需給分析などの研究や国際研究・技術協力の企画・戦略立案などに利用するため、海外の農林水産業をめぐる社会経済統計を一括して蓄積・管理し、効率的な分析を可能とするソフトウェアを設計、開発した。

  • トウジンビエ凍結保存花粉利用による小麦半数体の作出(1995)

    凍結保存したトウジンビエ花粉を小麦に授粉し、新鮮花粉の場合と同等の小麦半数性胚の形成頻度を得た。新鮮花粉が得られない時期及び場所においても、凍結保存花粉を利用することにより小麦半数体が作出できる。

  • 乾燥耐性カウピー系統の選抜(1995)

    西アフリカの半乾燥地帯で、乾期に残留土壌水分のみで栽培でき、ヘクタール当たり1トン近くの子実収量をあげうる系統、茎葉収量が高く家畜飼料として有望な系統等、カウピー乾燥耐性系統を選抜した。

  • フィリピン低地土壌の分布様式と特性の解明(1995)

    フィリピン・ルソン島の主な水田地帯の代表的低地土壌分布様式とその特性生成条件母材気候地形)と関連づけて説明できることを明らかにした。この結果、フィリピン低地土壌は概して塩基性母材に由来した特性を有するが、降雨および地形条件が地域間や地域内の低地土壌特性の差異に密接に関与していた。

  • 南米サバンナにおける陸稲の酸性土壌耐性メカニズムの解明(1995)

    南米サバンナ酸性土壌において、陸稲酸性土壌耐性に関する品種間差生理的機構について検討した。作付期間中に土壌pHが4.3程度に下がると土壌溶液中のアルミ濃度が上昇してに対する直接害を引き起こすが、耐性品種は感受性品種よりわずかに高い根圏pHを維持してアルミ害を回避することがわかった。

  • 熱帯における水田からのメタン発生制御技術の開発(1995)

    熱帯地域での水田からのメタン発生制御技術を検討した結果、圃場残存有機物の酸化的分解の促進や、有機物肥料の堆肥化など、易分解性有機物量を減少させる有機物管理技術が効果的であることが示された。

  • 過放牧が引き起こす砂漠化の微気象学的メカニズム(1995)

    中国内モンゴル東部の半乾燥気候の草原で、ヒツジの放牧頭数を変えた放牧試験を行い、放牧強度の差異による草原の砂漠化過程を微気象の変化から調べた。過放牧により、草原植生量が減少するだけでなくヒツジの歩行数が増え、土壌が硬化した。硬い土壌は降雨の地下浸透を妨げ表面蒸発量を増大させ、植生の再生伸長を妨げた。