研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
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- サトウキビの早期高糖性とショ糖蓄積関連酵素の活性(1997)
南西諸島のサトウキビ生産には「品質取引」制度が導入され、茎原料の高品質性(高糖性)が重視されている。早期高糖性の基幹品種「NiF4」では、ショ糖蓄積過程に貯蔵組織のショ糖リン酸合成酵素活性が強く関与していることを明らかにした。
- リョクトウの鉄欠乏耐性品種の特性評価(1997)
リョクトウには、鉄欠乏に対する耐性に大きな品種間差があること、および鉄欠乏耐性品種は感受性品種にくらべ高い倍地の酸性化能を持っていることを明らかにした。これらの耐性品種を用いることでアルカリ土壌における鉄欠乏問題を回避できる。
- 2価鉄による水稲種子籾殻からのエチレン発生の促進(1997)
2価鉄は水稲種子の籾殻におけるエチレンの生成を促進する。2価鉄によるエチレンの生成は低酸素濃度下でも行われ、鞘葉の伸長を促進する。
- チーク材に含まれるカウチュークの耐久性への関与(1997)
チークの心材部の主として放射柔細胞に含まれるカウチューク(ゴム物質)はチーク材の高い耐久性の発現に関与している。カウチュークは材表面の撥水性向上だけでなく、キノン類を中心とした心材成分との相乗効果によりチーク材の耐久性を高めていると考えられる。
- マレイシアにおけるハイブリッド稲の開発とその利用(1997)
マレイシアでハイブリッド稲を利用する上で問題とされてきた、採種に使う細胞質雄性不稔の稔性の転換の問題を解決した。また、高い収量性を示すハイブリッド稲組合わせを見つけ出した。
- 水系レベル水資源管理状況把握のための既存潅漑管理データの有効利用法(1997)
開発途上国の大規模潅漑プロジェクトにおいて、ルーチンに観測されながら活用されていない既存の潅漑管理データを有効利用し、水系レベルの水資源管理状況を把握するための基礎データに加工する簡便法を開発した。
- ベトナムの米需給の展望(1996)
ドイモイ政策の下で市場経済化を進めているベトナムでは、年率5%近くで米生産の拡大が続いているが、政府の輸出数量規制のため国内では供給過剰が起こっており、国内米価の下落をくい止めるためには輸出規制緩和が必要である。
- 中国雲南省における水稲新品種「合系34号」及び「合系35号」(1996)
中国雲南省の標高1800~2000m地帯に適する多収・良質の水稲新品種「合系34号」及び「合系35号」を育成した。
- 中国上海地域に適するキュウリ、イチゴの耐病性優良新品種(1996)
日本及び中国の遺伝資源を素材として、早生、多収、高品質で耐病性に優れ、上海地域に適するキュウリ新品種「滬(ふ)116号」と「滬119号」及びイチゴ新品種「申旭1号」と「申旭2号」を育成した。
- 東北タイのプラユン地域における塩水地下水の上昇機構の解明(1996)
東北タイの地下60m~150mに分布する岩塩層に由来する塩水地下水の上昇機構を検討した。その結果、断層が塩水地下水の上昇通路として機能していること、、地下水位がデッドラインより低下したときに圧力水頭分布は上向きの地下水流を発生させることを明らかにした。
- 岩石溶解過程における岩石の物理的性質の影響(1996)
多様な岩石の溶解実験を行い、溶解量と物理的性質との関係を明らかにし、初期化学的風化及び初期土壌生成過程における母岩からの溶解特性を得た。その結果により、岩石の溶解反応における間隙率依存性が定量的に求められた。
- マレイシア・ムダ地区における2,4-D抵抗性型ヒデリコの分布と除草剤に対する反応(1996)
マレイシアのムダ地区で発見された2,4-D抵抗性型のヒデリコは、感受性型に比べて29倍の抵抗性を示すが、使用する除草剤を変えることによって容易に防除でき、短期間で抵抗性型の発生率を低下させることが可能である。
- ブラジル南東部におけるハキリアリの分布と密度 ~被害拡大の可能性~(1996)
ブラジル南東部における農業害虫としてのハキリアリの分布と密度の調査から、この地域で分布していること及び、調査地域北西部で被害が深刻である点が判明した。しかしその分布拡大から、今後は地域全域で本害虫による被害が深刻化することが懸念される。
- タイの作物加害ネコブセンチュウ新種の酵素表現型による同定(1996)
これまで、不明確であったタイの有害ネコブセンチュウの種を明らかにするため、エステラーゼなどの酵素の表現型によって、新種1種を含む5種を同定した。これにより、有害線虫の耕種的防除技術が大きく進展するものと期待される。
- マレイシア・ムダ稲作地帯におけるグループ・ファーミングの運営の利点と問題点(1996)
ムダ稲作地帯のグループ・ファーミングは、初期における信用の供与や技術情報の提供等行政主導の組織化が収益の高い経営を作り出す上で有効な手段たりうることを示している。しかし一方で、上からの組織運営に関する不安や自助努力の欠如など持続的発展の上で解決すべき問題も明らかとなった。
- 乾季における乳牛用飼料としてのさとうきびの飼料価値(1996)
タイ国東北部の過酷な環境下で、他の作物・飼料作物と比較しても抜群のバイオマス生産量を誇るさとうきびの乾季における牛用飼料、特に乳牛用飼料としての利用法を、家畜栄養学の見地から示した。
- シリア北東部オオムギ・牧野地帯における過食飼料資源量の広域評価(1996)
シリア北東部乾燥地域のオオムギ・牧野地帯における飼料資源を現地調査および衛生データ解析により8つに区分けし、分布図を作成した。各区毎の分布面積および現存量より可食バイオマス量を算定し、試験地域全体の年間可食飼料資源量を評価した。
- アカシアマンギウムにおける多湿心材の発見と形成要因(1996)
代表的な熱帯早成樹種の1つであるアカシアマンギウムは東南アジアに広範囲に造林されている。しかし多くの個体に多湿心材(Wetwood)の存在が認められ、今後、木材利用上で問題が生ずることが予想される。熱帯早成樹種における多湿心材の存在は初めての報告例であるとともに、従来の温帯産樹種での多湿心材形成要因説のどれにも該当しないことから、別の形成要因があると考えられた。
- 東南アジア産オニテナガエビ(Macrobrachium rosenbergii)の成熟・産卵・脱皮過程の解明(1996)
東南アジアでは重要な養殖対象種である淡水産オニテナガエビの成熟・産卵・脱皮過程の内分泌学的要因との関係を検討し、脱皮ホルモンであるエクジステロイドおよび昆虫で変態を制御する幼若ホルモンはエビ類にも存在し、脱皮だけでなく成熟過程にも関与することを明らかにした。
- 東南アジア産有用魚介類の遺伝変異検索マニュアルの作成(1996)
東南アジア産有用魚介類の遺伝変異検索のため、アイソザイム分析マニュアルを作成した。本マニュアルを用い養殖対象種を分析した結果、ナマズでは地域集団が育種素材として重要なこと、また遺伝変異検索が効率的な育種法の選択に有効であることを示した。