精米からのインディカ品種判別法

要約

精米ゲル結合水の離水を利用した精米一粒からの簡易なDNA抽出法を開発し、マイクロサテライトマーカーを利用した品種判別法と組み合わせることによって、精米での混米の判別が可能である。

背景・ねらい

   開発途上国で重要な食料資源となっている米の価格は、砕米の有無などに代表される収穫後処理の影響の他、その米の品種に左右される。そのため、品種を特定することが全ての品質評価の基礎として重要である。しかし、開発途上国では、米の流通は精米で行われることが多く、粒径から判別する従来の方法では、正確な品種の判別が困難である。近年、経済発展に伴い需要が増大している良食味品種に、価格の安い他品種を混米する不正な取引きが頻発しており、精米からその品種を判別する技術が求められている。
   精米から品種を判別し、それによって混米を判別するため、品種の差異をDNAでとらえる方法を精米に適用し、開発途上国における条件でも正確に品種を判別できる技術を開発し、実用例として、タイ東北部産の良食味品種であるカオドマリ105への混米の判別に応用する。

成果の内容・特徴

  1. 精米にはPCRによるDNA分析を阻害する多糖類が多く含まれるため、精米1粒からDNAを抽出することは困難である。そこで、核膜を塩化ベンジルで破壊する方法、機械的衝撃を利用する方法を適用したが、これらの方法は高価な試薬あるいは高価な装置を必要とするため、開発途上国への適用が難しい。そこで、精米ゲルの結合水を利用する方法(図1)を開発することにより開発途上国における混米判別が可能となる
  2. インディカ米は、国内産米に比べて品種間差が大きく、簡易なDNA分析を行うことで品種の判別が可能な場合が多い。このため、マイクロサテライトマーカーを使用した分析により、東北タイ産カオドマリ105の判別が可能である(図2)。
  3. バンコク、クアラルンプールの各市場の精米試料に本判別法を適用したところ、双方よりカオドマリ105以外の品種が検出された。このことにより、本判別法は現場においても混米判別が可能である(図3)。

成果の活用面・留意点

   開発途上国における実際の混米判別に結びつけるために、現在タイ国・パトゥンタニ稲研究センターと共同で実用化の検討を行っている。判別にかかる費用は、1試料あたり300円であるが、このコスト問題は、将来的な試薬(主に酵素)価格の低下に期待できるものと考えられる。

具体的データ

  1.  

    図1 新たに開発した簡易DNA抽出法
  2.  

    図2 カオドマリ105の混米用としてよく使われる品種とカオドマリ105の電気泳動パターン
  3. 図3 カオドマリ105市場品への適用
所属

国際農研 生産利用部

タイ農業局

分類

研究

国名

タイ

予算区分
経常
研究課題

分子生物学的米の品質評価および品質改善

研究期間

平成9~11年

研究担当者

吉橋 ( 生産利用部 )

発表論文等

Yoshihashi,T. (1999) Quality evaluation of Khao Dawk Mali 105. Highlight of Collaborative Research Activities between Thai Research Organizations and JIRCAS, 144-145.

Yoshihashi, T., (2000) Simple and Rapid DNA Extraction from Milled Rice and Its Application to Thai Aromatic Rice (Oryza sativa L.) variety, Khao Dawk Mali 105. JIRCAS J.

日本語PDF

1999_07_A3_ja.pdf711.14 KB