研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- 中国には強いアンジオテンシンⅠ変換酵素阻害活性を有する豆豉(トウチー、伝統的大豆発酵食品)がある(2004)
四川省の潼川豆豉(トンツァントウチー)は、糸引納豆の約10倍強いアンジオテンシンⅠ変換酵素(ACE)阻害活性(血圧上昇抑制作用の指標)を有する。
- アグロフォレストリーにおける上木間伐と土壌環境の変化(2004)
無降雨期間中の土壌水分の減少速度は無間伐林より間伐林で緩やかになった。間伐処理は林床 に植栽された作物等の苗木により良い光環境を提供することは良く知られているが、植栽苗を取りまく 土壌水分環境をも好転させる。上木の間伐はアグロフォレストリーシステムでの作物等の導入にプラス に働くことが判明した。
- 短い乾期に特有な作物被害と水の葉面噴霧による被害軽減(2004)
乾期に低下した気孔開度は、乾期が終わって土壌水分が増えても直ぐには回復しない。この可逆的反応で光合成、吸水が低下し、作物の生育、収量が抑制される。夕刻の水の葉面噴霧で気孔開度を高め、被害軽減できる作物(トマト、パパイヤ、サツマイモ)がある。
- 出穂特性の異なる小麦8品種が持つVrnおよびPpd遺伝子(2004)
Vrn遺伝子について、小麦品種「フクワセコムギ」、「ゼンコウジコムギ」、「Schomburgk 」はそれぞれVrn-D1、Vrn-D1、Vrn-A1を持つ。Ppd遺伝子について、「ハルヒカリ」は主働遺伝子を持たず、「農林59号」、「農林67号」、「農林61号」、「ゼンコウジコムギ」、「埼玉27号」、「Schomburgk 」の6品種は1個の同じ主働遺伝子を持ち、「フクワセコムギ」は2個の主働遺伝子を持つ。
- 蛍光顔料粉末を用いたミカンキジラミの標識法(2004)
カンキツグリーニング病のベクターであるミカンキジラミは、蛍光顔料粉末を粉衣するダストマーキング法により標識できる。
- イネ雑種集団内の穂いもち圃場抵抗性弱個体を淘汰する世代促進技術(2004)
多肥栽培、スプリンクラーによる毎朝夕の散水、風除けの設置により、沖縄支所内の圃場で従来の世代促進栽培より穂いもちを安定して発病させることができ、雑種集団内の穂いもち圃場抵抗性弱個体を淘汰できる。
- 目的型踏査線調査法を用いてインドネシア西ジャワ州800m-1800m 標高地帯の作付け体系の多様性を把握(2003)
目的型踏査線調査法を用いて、稲作から温帯野菜への作付け移行と混作・単作の分布を標高毎に表示し、作付けの理由と制約を総合的に把握することができる。インドネシア西ジャワ州において、温帯野菜への移行は1100-1200mに認められ、混作は1100-1600mに集中する。単作栽培技術、および混作における作物間資源競合の緩和と経済効率に基づく栽培技術は農家の選択理由と一致する。
- ガーナの精米業の効率性分析:農家への無利子の融資により籾米を確保する精米業者(2003)
ガーナの大型精米機を所有する多くの精米業者が、籾米集荷のために無利子で農家へ融資を行い、その結果、融資のない場合に比べて精米機の稼働率(Capacity Utilization)が24%上昇することを経済モデルにより明らかにした。これは農家に資金需要がある限り望ましいことであるが、同時に金融市場の不完全性を意味する。市場の効率性確保のために籾米の貯蔵施設等の整備が望まれる。
- イネの環境ストレス誘導性遺伝子の網羅的解析とストレス誘導性プロモーターの単離(2003)
イネのcDNA マイクロアレイ解析によって73個の乾燥・塩・低温ストレス誘導性遺伝子が同定される。そのうち5種の遺伝子から単離したプロモーターは有効な発現の組織特異性とストレス誘導性を示す。
- 赤かび病抵抗性コムギ品種・蘇麦3号の品種内変異(2003)
赤かび病抵抗性コムギ品種蘇麦3号には、形態的、生態的特性が異なる系統が存在する。全染色体領域にわたるSSR マーカーを用いて品種内の変異を見ると、CIMMYT 配布の3系統には変異は無く、オーストリア系統は13.2%、日本の2系統には19.4%と0.4%のマーカー変異が認められる。
- コムギのAFLP マーカーを効率的にSTS 化するためのExtension-AFLP法(2003)
AFLP マーカーの選抜プライマーに塩基を付加した4種の3次選抜プライマーを用いてnestedPCR を行うExtension-AFLP 法は、多型を示すターゲットDNA 断片を効率的に選抜する方法である。これにより、コムギのAFLP マーカーを効率的にSTS 化できる。
- 中国東北部大豆遺伝資源の特性とその遺伝的多様性(2003)
中国吉林省農業科学院大豆研究所で保存している中国東北部の大豆遺伝資源のうち、調査した計3,012点の主要形質に関するデータベースを構築した。中国東北部大豆遺伝資源は、日本の大豆とDNAレベルでも大きく異なり、また遺伝的多様性に富んでいる。
- マンゴーおよびその近縁種の遺伝的多様性と類縁関係(2003)
DNA マーカーにより、Mangifera 属のマンゴーおよびその近縁種の遺伝的多様性ならびにそれらの類縁関係を明らかにできる。また同じ手法によってMangifera 属における高精度の品種識別が可能である。
- イネいもち病抵抗性に関する新国際標準判別品種シリーズの開発(2003)
24種類のイネいもち病抵抗性遺伝子を対象とした判別品種シリーズとしてのモノジーニックライン(一遺伝子導入系統)群および遺伝的背景が均一な同質遺伝子系統群を育成した。これらは国際的な標準判別品種として活用できる。
- イネの低分げつ性遺伝子の同定(2003)
日本型イネ品種合川1 号および秀峰の低分げつは,単一の同じ優性遺伝子Ltn(t)により支配されており,第8 染色体長椀上のDNA マーカー,RM149 とXNpb56 の間に位置している。
- 中国太湖地域の農業集水域からの地表水による窒素の流出(2003)
江蘇省宜興市梅林集水域からの地表水移動にともなう窒素流出量は、域内施肥窒素量の8.5 %にあたる20.3 kg ha-1 y-1 であり、主要作物の施肥時期に増大するが、水稲生育の旺盛な7~9月に減少する。野菜畑・畑地では表面流去窒素量および土壌侵食量が大きい。
- 熱帯地域における非作付け期の土壌乾燥に起因する生育抑制(2003)
水稲の長期連作試験において、非作付け期に土壌を乾燥させると、リン欠乏により特に初期の成育抑制とそれによる収量の低下が見られる。これは土壌排水により二価鉄が酸化され、それに伴って可給態リン量が減少することが一因となっている。
- 水稲の耐倒伏性関連形質のQTL 解析(2003)
インディカ・ジャポニカ交配後代の半数体倍加(DH)系統の押し倒し抵抗値、地上部形態形質、根系形態形質など耐倒伏性に関係する形質の量的形質遺伝子座(QTL)はそれぞれ複数の染色体上に散在し、押し倒し抵抗値ではQTLは第7,8染色体上に存在する。
- イネ科作物のタンパク態窒素利用特性(2003)
イネ科作物は、その施用窒素形態に対する反応から、無機態窒素の供給が十分でない場合に有機態窒素とくにタンパク態窒素も積極的に利用するソルガム、イネ(陸稲)のタイプと、無機態窒素のみを利用するトウモロコシ、パールミレットのタイプとに分かれる。
- イネのアルミニウム耐性のメカニズムと耐性品種の迅速スクリーニング手法(2003)
イネのアルミニウム耐性には、コムギの場合とは異なり、根端におけるAlとCaの相対保持量が大きな役割を果たしている。このメカニズムに基づいて、より迅速に耐性品種を選抜することができる。