研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
年度ごとの国際農林水産業研究成果情報はこちら。
- 熱帯牧草Brachiaria humidicola の硝酸化成抑制作用のアンモニウムイオンや低pHによる誘導(2006)
熱帯牧草Brachiaria humidicolaの根からの分泌物は、土壌で進行する硝酸化成を抑制する作用を有するが、その作用は酸性条件下のアンモニウムイオンにより強く誘導される。
- 衛星データの解析によるモンゴル国全域での植生変動傾向(2006)
衛星データから得られる植生情報を用いて,モンゴル国全域における1981-2003年の長期植生変動傾向(植生トレンド)と市場経済の導入前後における植生トレンドを求めて,時空間分布を明らかにした。国全域におよぶ植生劣化や際立った砂漠化傾向は見られなかった。しかし,1990年代初頭の市場経済化以降には都市周辺などに劣化傾向の集中が見られており,今後の対策が必要である。
- タイ東北部における在来種去勢牛の維持エネルギー要求量(2006)
タイ東北部における在来種去勢牛の維持に要する代謝エネルギー要求量は, 477 kJ/kgBW0.75である。これらは日本飼養標準における黒毛和種去勢牛の維持に要する代謝エネルギー要求量の470 kJ/kgBW0.75とほぼ同様の値である。
- ギニアグラス-スタイロ混播草地におけるスタイロの維持管理法(2006)
ギニアグラスとスタイロ(Stylothantes capitata+S. macrocephala混合品種)の種子をそれぞれ3kg/ha及び4kg/haの割合で播種造成した混播草地は,生産量がギニアグラス単播草地の1.5倍で,スタイロの種子成熟後に放牧を開始すると地下部にスタイロの埋土種子バンクが形成され,自然更新が可能となる。
- キャッサバパルプを用いた効率的な燃料エタノール生産技術の開発(2006)
アルコール発酵用実用酵母の細胞表層にアミラーゼを提示させたアーミング酵母を開発し、この酵母を用いてキャッサバデンプン産業副生物のキャッサバパルプを原料としてエタノール生産を行ったところ、キャッサバパルプの主成分であるデンプンの分解と発酵が同時に進行し効率的にエタノールが生産された。
- α-グルコシダーゼ抑制活性(血糖値低下の指標)測定法の開発及びその適用による高活性「豆豉(中国伝統食品)」の発見(2006)
有色試料に適用できる高感度簡便なα-グルコシダーゼ活性測定法を開発し、測定したところ、中国伝統食品である豆豉には、α-グルコシダーゼの抑制活性の高いものがある。
- タイの市販オオバンガジュツにおける機能性ポリフェノール含量の季節変化(2006)
タイ国内の市場を流通するオオバンガジュツでは、主要な4つの機能性ポリフェノール成分の含量に一定の季節変化が観察される。その主な原因は、土中保留中におけるポリフェノール成分ごとの一定方向への含量の増減である。
- アグロフォレストリーにおける換金作物としての薬用植物ノニの有効性(2006)
フタバガキ科等の実生苗定着促進に有効なアカシアマンギウム保護樹の林冠環境下で栽培できる換金作物を探索した結果、植栽後1年足らずで着果し、しかも年間を通じて果実を収穫できた薬用植物ノニ(Morinda citrifolia)を見出した。保護樹を間伐し光環境改善を図るほか、水はけの良い立地を植栽地に選ぶことで、より多くのノニの果実が収穫でき、アグロフォレストリー換金作物として利用可能であることが分かった。
- バナメイエビの成熟抑制ホルモンの発見(2006)
眼柄切除によらない新しい人為催熟技術開発のため、卵巣培養系を用いた生物活性測定法により、バナメイエビ眼柄内の卵黄形成抑制ホルモン(vitellogenesis-inhibiting hormone : VIH)を探索した結果、VIHの単離に成功した。この成果は、エビ類成熟機構の解明に大きく貢献し、人為催熟技術開発に道を拓くものとして期待される。
- マメ科カバークロップ作付け後の不耕起栽培による土壌・水管理技術(2006)
マメ科のムクナやヘアリーベッチをカバークロップとして作付けし、マルチとして利用するソルガムやトウモロコシの不耕起栽培は、降雨の表面流出と土壌侵食の低減、雑草発生の抑制など、土壌・水管理に有効であり、増収効果の利点も有する。
- 耐暑性が高い丸莢のインゲンマメ新品種「ナリブシ」(2006)
インゲンマメの結莢率は高温によって低下するが、耐暑性が高い丸莢のインゲンマメ「ナリブシ」は平均気温28°Cの高温条件でも結莢率の低下が小さく、若莢を生産することができる。
- わい性で、耐暑性に優れた食味良好なパパイヤ新品種「石垣珊瑚」(2006)
パパイヤの新品種「石垣珊瑚」は、「ワンダーブライト」の自然交雑実生から選抜した単為結果性のある雌性系統である。耐暑性を備え、わい性で豊産性の栽培特性を持ち、果実は強い芳香があり、高糖度で食味がよい。
- パッションフルーツ冬実中の酸含量を低下させる温度管理法(2006)
夜温15°C前後の無加温栽培におけるパッションフルーツ(品種:「サマークイーン」)の冬季収穫果実は酸含量が高い。昼温30°C、夜温25°C程度に管理する加温栽培を行うことにより、酸含量が低く糖酸比の高い果実が収穫できる。
- シロサポテの果実成熟特性(2006)
シロサポテ品種「クシオ」の果実は、肥大停止後も果肉糖度および乾物重割合が上昇する。渋み成分であるポリフェノールの含量は、果実成熟後期も緩やかに減少する。収穫適期は受粉後200日以降である。
- 地球温暖化が世界の食料需給に及ぼす影響の計量モデル分析(2005)
気温と降水量の変化に対応するように改良した世界食料モデルによるシミュレーション計算では、気温上昇が、アメリカのトウモロコシ、コメ、大豆、EUと旧ソ連地域の小麦の単収を大きく引き下げ、世界全体のコメ生産を減少させる。このような温暖化の国際市場への影響は、国際貿易によって緩和される。
- 衛星データの時系列解析による耕作-休閑サイクルの同定と植生回復力の推定(2005)
衛星データを用いた植生被覆の時系列解析による耕作-休閑サイクルの同定と植生指数の組み合わせによって、ラオス北部などの焼き畑地帯の植生の回復力が推定できる。
- 植物ホルモンのアブシジン酸による遺伝子発現を制御する転写因子AREBを用いた環境ストレス耐性植物の作出(2005)
アブシジン酸による遺伝子発現を制御するシロイヌナズナの転写因子AREB1を改変することにより活性型に変換することに成功した。活性型AREB1を植物中で高発現すると、LEA タンパク質など数種の耐性遺伝子が高発現して植物の乾燥ストレス耐性が向上することを明らかにした。
- 転写因子DREB1遺伝子の過剰発現によるイネの乾燥・高塩・低温ストレス耐性の向上(2005)
転写因子DREB1遺伝子を過剰発現させた形質転換イネにおいては、乾燥・高塩・低温ストレス耐性が向上した。この形質転換イネでは少なくとも12個の耐性の獲得に関与すると考えられる標的遺伝子の発現レベルの上昇が確認され、耐性獲得に機能することが知られる適合溶質のプロリンや糖類の蓄積が明らかにされた。
- パラグアイにおけるダイズシストセンチュウの分布実態とダイズ被害の初確認(2005)
パラグアイの主要ダイズ作地帯では、カニンデジュ県8圃場、アルトパラナ県3圃場、カグアス県2圃場でダイズシストセンチュウが確認され、カニンデジュ県での検出頻度が高い。アルトパラナ県のダイズ圃場では、本線虫がすでに高密度となり、草丈低下40%以上という著しい被害がスポット状に発生している。
- メコンデルタ水田における稲わら堆肥連用効果(2005)
メコンデルタ沖積土壌地帯での稲わら堆肥の連用試験において、化学肥料を慣行の40および60%減肥して稲わら堆肥を施用した水田は、化成肥料のみを慣行量施用した水田に比較していもち病発生時には罹患率が低くなり、統計的有意差はないものの6作目以降の収量が高くなる。