研究成果情報
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国際農林水産業研究センターにおける研究成果のうち、成果が特に顕著で、広く利用を図ることが望ましいと考えられる成果を要約してご紹介しています。
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2007 LTH一遺伝子系統群を用いたイネいもち病菌レースの分類と新命名法
23の抵抗性遺伝子を個々に有するLTH一遺伝子系統をもとにしたイネいもち病菌レースの新国際判別体系(命名法)は、これまでのものと異なりレースと抵抗性遺伝子の関係が分かり易く、国際的な比較ができ、詳細な分類が可能で拡張性も備えている。
2007 アフリカイネ、アジアイネおよび種間雑種の短期冠水耐性
ギニアで広範囲なイネ遺伝資源の短期冠水反応性を評価した。冠水の耐性向上には、冠水中の草丈伸長抑制、地上部乾物増加に加え、退水後の倒伏抑制が重要である。アフリカイネの大部分は、冠水感受性であったが、Saligbeliは他のアフリカイネや冠水耐性(Sub-1)品種とは異なる冠水反応性を示した。
2007 アグロバクテリウム法によるネリカの形質転換
アグロバクテリウムの未熟胚への接種、および接種後の選抜条件を至適化することによりネリカ品種の形質転換法を開発した。得られた形質転換体の外来遺伝子の植物染色体への組み込み、発現、後代への伝達および分離を確認した。この手法により、遺伝子組換えによるネリカの品種改良が可能となる。
2007 植物の乾燥や塩害等による浸透圧ストレスのセンサー遺伝子の発見
シロイヌナズナのゲノムに存在する11個のヒスチジンキナーゼの機能を解析し、このうちのAHK1遺伝子が、植物の乾燥や塩害等による浸透圧ストレスを受容して、耐性の獲得に働く遺伝子群を制御する受容体の遺伝子であることを示した。このAHK1遺伝子を植物中で高発現すると、多くの耐性遺伝子が高発現して植物の乾燥ストレス耐性が向上することを明らかにした。
2007 イネの環境ストレス応答性プロモーターと転写因子OsNAC6を用いた環境ストレス耐性イネ作出技術の開発
イネのOsNAC6タンパク質は環境ストレスに対する耐性の獲得機構で働く転写因子である。OsNAC6をイネ中で多量に作らせると、環境ストレス時に機能する複数の耐性遺伝子が強くはたらくようになり、乾燥および塩ストレスに高いレベルの耐性を示すが、植物には生育阻害が見られる。イネのストレス誘導性プロモーターを利用して、ストレスを受けたときにOsNAC6を多量に作るように改変したイネでは、生育阻害が改善される。
2007 土壌肥沃度に対する風食の影響を評価できる新装置を開発
世界で初めて風成粗大有機物(風により飛散する粗大な有機物)の移動量を精度よく測定出来る捕捉装置を開発した。本装置の使用により、風食が土壌肥沃度に与える影響を正しく評価できる。
2007 西アフリカ・サヘル帯ファカラ地区に関する研究情報資源のメタデータ作成と公開
西アフリカ・サヘル帯ファカラ地区で、過去および現行のプロジェクトにより得られた生態環境特性把握に関する情報、衛星画像及び雨量分布、土地利用に関する研究情報資源は、メタデータの作成及び公開によってその利便性が高まった。
2007 複合経営のためのため池の水利用計画ツール
ため池を利用して複合経営を実践するには、数か月先を見越した水利用計画を立てる必要がある。経験のない農家が各自のため池の水量、乾季中の水の蒸発量、経営規模に応じた野菜や家畜の水消費量を簡単に読み取って複合経営が計画できる、円盤状の農家向け水利用計画ツールを作成した。
2007 熱帯低肥沃砂質土壌の可給態窒素量は吸光度測定法で推定できる
リン酸緩衝液を用いた土壌抽出液の280 nmでの吸光度は、西アフリカサヘル域の砂質土壌の可給態窒素量と有意な関係が認められ、また、トウジンビエの初期生育乾物重とも有意な関係が認められることから、その土地の窒素肥沃度を推定することができる。本法は分光光度計を用いた簡易で迅速な方法であり、途上国で適用可能である。
2007 タイにおけるブラーマン種成去勢牛の維持エネルギー要求量
タイにおけるブラーマン種成去勢牛の維持に要する代謝エネルギー要求量は457 kJ/kgBW0.75であり,代謝エネルギーの生産時における蓄積利用効率は57.4%である。これは,日本飼養標準における黒毛和種去勢牛の維持に要する代謝エネルギー要求量の470 kJ/kgBW0.75とほぼ同様の値である。
2007 生しぼり豆乳を2段階で加熱すると豆腐の粘弾特性、保水性、歩留まりが向上する
豆腐ゲルの形成に関与する大豆タンパク質の変性温度に着目し、生しぼり豆乳を70°C10分→100°C5分の二段階で加熱すると、凝固剤を添加して調製される豆腐の粘弾特性、保水性、歩留まりが向上する。
2007 オイルパーム幹からの効率的燃料用エタノール及び乳酸生産法の開発
伐採されたオイルパーム幹中に多量の樹液が存在し、樹液には高濃度のグルコースが含まれていることを見出した。この知見をもとに、オイルパーム幹の樹液から酵母及び乳酸菌を用いてエタノール及び乳酸を容易に効率良く生産できることを示した。
2007 食品中のγ―アミノ酪酸(GABA)の簡易迅速定量法の開発
γ―アミノ酪酸(GABA)アミノ基転移酵素の作用を活用し、96穴マイクロプレートを利用して測定できるGABAの簡易迅速定量法を開発した。本法を用いることにより多検体の食品中のGABA含量を短時間かつ低コストで測定できる。
2007 タイ北部の伝統大豆発酵食品トゥア・ナオから分離される納豆菌の遺伝資源としての有用性
タイ北部の大豆発酵食品トゥア・ナオ(Thua Nao)から分離される納豆菌(Bacillus subtilis (natto))は、日本の納豆製造用菌株と比べて遺伝的多様性に富み、アミラーゼ活性、ズブチリシンNAT活性、粘物質生産能などが顕著に高い菌株が見出される。
2007 マレー半島マングローブ汽水域における餌料性甲殻類の生態特性
半島マレーシア北西部の2ヶ所のマングローブ汽水域において、魚類の餌料として重要な小型甲殻類のアミ類(Mysida)及びアキアミ類(Acetes)の生態調査を実施し、種群構成、生物量、時空間分布など汽水生態系の生産構造や環境収容量の算出に欠かせない生態特性に係わる基礎知見を得た。
2007 低投資・環境共生型ウシエビ・海藻混合養殖技術の開発
東南アジア諸国に多い小規模・零細エビ養殖業者も適用可能な低投資で環境負荷の少ない、安定したウシエビ養殖技術の開発を目指し、数種の海藻類との混合養殖実験を行った。シオグサ科植物およびクビレズタとの混合養殖は、エビの投餌量や養殖池環境維持費の削減を可能にし、従来の養殖法よりも生産効率を向上させた。
2006 開発途上国における高付加価値農業実現に向けての海外直接投資と食品製造業の役割
アジア地域においては野菜・果樹や畜産等の付加価値の高い部門の生産が拡大するとともに、外国企業を中心とする食品製造業と農家との間で生産や販売に関する契約関係(垂直統合)が進展している。各国の農業付加価値の違いを統計的に分析した結果、農業生産における野菜・果樹の比率と食品製造業の付加価値が農業の付加価値向上に寄与することが解明された。また、外資比率の高い企業との契約農家は集荷業者に販売する非契約農家よりも高い労働生産性と土地生産性を持っていることが確認された。
2006 モンゴルの首都近郊における酪農の経営向上に関する要因
首都ウランバートル近郊の集約的酪農世帯は、現状では純利益をあげている。搾乳牛一頭当りの乳量増加要因としては、濃厚飼料給与の増加と経営規模が大きいことが、また純利益率増加要因としては年間平均牛乳出荷価格の高いことと経営規模が大きいことが寄与している。
2006 アジア開発途上地域の農業技術開発目標の重要度
アジア開発途上地域の農業研究者、普及職員及び農家の間には、農業技術の開発目標の重要度や、技術開発目標の達成により期待される効果の認識に差がある。特に農業経営・技術普及に関する研究については、貧困解消への寄与が農家から期待されており、この分野の研究成果を農業技術政策へ反映させる努力が、研究開発への信頼醸成のために重要である。
2006 活性型に変換した転写因子の遺伝子DREB2Aを用いた乾燥・高温ストレス耐性植物の作出技術の開発
植物の乾燥と高温の両方のストレス耐性の獲得に働く遺伝子群を制御する転写因子遺伝子の活性化に成功した。この活性化した遺伝子を導入した植物では、乾燥や高温ストレス時に機能する複数の耐性遺伝子が強く働くようになり、乾燥ストレスにも高温ストレスにも高いレベルの耐性を示した。地球温暖化等の環境劣化に対応した作物の分子育種への応用が期待される。