パッションフルーツ冬実中の酸含量を低下させる温度管理法

要約

夜温15°C前後の無加温栽培におけるパッションフルーツ(品種:「サマークイーン」)の冬季収穫果実は酸含量が高い。昼温30°C、夜温25°C程度に管理する加温栽培を行うことにより、酸含量が低く糖酸比の高い果実が収穫できる。

背景・ねらい

パッションフルーツ交雑種(Passiflora edulis×P. edulis F. Flavicarpa)は、主に亜熱帯地域で栽培されている。日本では夏季に収穫される果実(夏実)は、酸含量が低く生食に適している。一方、冬季は無加温ビニールハウスでは夜温15°C前後で栽培されているが、収穫される果実(冬実)は酸含量が高く生食には適さない。生食用果実としてパッションフルーツの消費を拡大するには、食味のより優れた果実、特に酸味の少ない果実生産が望まれている。そこで、酸含量の低い冬実生産のため、栽培期間中の気温が果汁中の酸含量に及ぼす影響を調査し、減酸に適切な管理温度を明らかにする。

成果の内容・特徴

  1. 品種「サマークイーン」果実の受粉後収穫(落果)までの期間(日数)は、17~30°Cの範囲では気温が高いほど短い(表1)。
  2. 昼温30°Cで栽培した場合、夜温の高低は糖度(Brix)にほとんど影響しない(表2)。
  3. 昼温30°Cで栽培した場合、夜温25°Cの時に収穫時の酸含量(滴定酸度)は最も低くなり、糖酸比は最高となる(表2)。
  4. 昼温30°C、夜温30°Cでの栽培では、果皮の着色が進まないうちに落果する(表1)。

成果の活用面・留意点

  1. 本実験で供試した「サマークイーン」は、20リットル容量のポットにパーライト25%、ピートモス25%、埴土50%の割合で混合した培土で栽培している。
  2. パッションフルーツは土壌病害(フザリウム菌など)により立枯れ症が発生しやすいので、過かん水による土壌の過湿は避けなければならない。また、土壌の乾燥も減酸を抑制するので避ける必要がある。
  3. この成果は沖縄に限らず、熱帯・亜熱帯地域での活用が期待できる。

具体的データ

  1. 表1.パッションフルーツ冬実の要成熟日数および果実品質に及ぼす気温の影響

    表1.パッションフルーツ冬実の要成熟日数および果実品質に及ぼす気温の影響
  2. 表2.パッションフルーツ冬実の果実品質に及ぼす気温の影響

    表2.パッションフルーツ冬実の果実品質に及ぼす気温の影響
所属

国際農研 熱帯・島嶼研究拠点

国名

日本

予算区分
熱帯果樹低樹高栽培
研究課題

東南アジアにおける熱帯果樹(ドリアン・マンゴスチン等)の低樹高整枝栽培技術と周年生産技術の開発

研究期間

2006年度(2006~2010年度)

研究担当者

米本 仁巳 ( 熱帯・島嶼研究拠点 )

香西 直子 ( 香川大学 )

片岡 郁雄 ( 香川大学 )

MACHA Mustad Malid ( ソコイネ農業大学 )

CHOWDHURY Abul Kashem ( パトゥアハリ科学技術大学 )

近藤 友大 ( 京都大学 )

雨宮 ( 京都大学 )

樋口 浩和 ( 京都大学 )

緒方 達志 ( 熱帯・島嶼研究拠点 )

見える化ID: 001788

野村 啓一 ( 神戸大学 )

井出 ( 神戸大学 )

発表論文等

M. M. Macha, A. K. Chowdhury, K. Nomura, M. Ide and Y. Yonemoto (2006): Effect of temperature regime and soil moisture level on fruit quality of ‘Summer Queen’ passionfruit (Passiflora edulis×P. edulis F. Flavicarpa). 熱帯農業(50: 70-75)

N. Kozai, I. Kataoka, T. Kondo, S. Amemiya, H. Higuchi, T. Ogata and Y. Yonemoto (2006): Effect of temperature regime on fruit quality in winter crop ‘Summer Queen’ passionfruit (Passiflora edulis×P. edulis F. Flavicarpa). 熱帯農業(投稿中)

日本語PDF

2006_seikajouhou_A4_ja_Part24.pdf542.64 KB