シロサポテの果実成熟特性

要約

シロサポテ品種「クシオ」の果実は、肥大停止後も果肉糖度および乾物重割合が上昇する。渋み成分であるポリフェノールの含量は、果実成熟後期も緩やかに減少する。収穫適期は受粉後200日以降である。

背景・ねらい

メキシコ原産でミカン科に属するシロサポテ(Casimiroa edulis Llave et Lex.)は、果実は酸味が少なくて甘く、生食に適する。また、果肉ピューレは長期間冷凍貯蔵しても風味が変化しない。加えて豊産性で栽培が容易なことから、新規の亜熱帯果樹として有望である。しかし、追熟性果実であり、外観での収穫期の判定が困難であること、追熟後の日持ちが短いこと等の問題があり、経済栽培されている例は少ない。また、品種により果実にわずかな渋みがある場合があり、渋みに敏感な消費者の嗜好に影響することが思慮される。このため、食味に関与する糖や渋み物質の果実生育期間中における推移等の果実成熟特性を調査し、適切な収穫期を明らかにすることは、シロサポテの今後の消費拡大に不可欠である。

成果の内容・特徴

  1. シロサポテ品種「クシオ」の果実はS字曲線を描いて肥大し、受粉後185日(受粉後日数days after pollination (DAP))にはほぼ肥大を停止する(図1)。
  2. 果肉糖度(Brix)は、果実肥大より遅れて120DAP頃から急速に上昇し、果実肥大停止後も上昇を続ける。220DAPには18~20%と生食に十分な糖度となる(図1、図2)。
  3. 果肉乾物重割合は、果実の成熟に伴い糖度とほぼ平行して増加する(図2)。果実成熟後期の果肉デンプン含量の変化は小さいことから、この間の急激な糖度上昇は果肉内のデンプン分解によるものではなく転流物質によるものである(図3)。
  4. 果実成熟後期のデンプン含量は1.5%以下と少なく、追熟によるデンプンの糖化量は少ない(図3)。このため、高糖度果実を生産するには、果肉の糖度が十分に上昇してから収穫する必要がある。
  5. 果肉中の渋み物質であるポリフェノール(カテキン相当量)は、88DAPから116DAPにかけて急減し、その後は果実の成熟に伴い緩やかに減少し、200DAPにはほとんど渋みを感じない程度になる(図3)。このため、渋みの少ない果実を生産するにはポリフェノールが十分に減少する200DAP以降に収穫する必要がある。
  6. 果皮色は、樹上での変化は少ないが、追熟して軟化すると黄色みを帯びるようになる(図4下)。

成果の活用面・留意点

  1. シロサポテの収穫適期を知るための実用的な指標作りに役立つ。
  2. 供試した果実は、沖縄県で露地栽培された品種「クシオ」である。シロサポテの栽培品種には早生種から晩生種まであるので、品種ごとの収穫適期を検討する必要がある。
  3. 品種によりポリフェノール含量が異なるので、その含量を考慮して品種、適地を選定する必要がある。「クシオ」はポリフェノール含量が比較的少ない品種である。

具体的データ

  1.  

    図図1.シロサポテ「クシオ」の果実肥大 と果肉糖度の推移(2003)
    図1.シロサポテ「クシオ」の果実肥大と果肉糖度の推移(2003)
  2.  

    図2.シロサポテ「クシオ」の果肉乾物重量割合と 果肉糖度の推移(2004)

    図2.シロサポテ「クシオ」の果肉乾物重量割合と果肉糖度の推移(2004)

  3.  

    図3.シロサポテ「クシオ」果実発育期間中の ポリフェノールとデンプンの推移
    図3.シロサポテ「クシオ」果実発育期間中のポリフェノールとデンプンの推移
  4.  

    図4.シロサポテの結実状態(上)と追熟後の果実(下)
    図4.シロサポテの結実状態(上)と追熟後の果実(下)
所属

国際農研 熱帯・島嶼研究拠点

分類

研究

予算区分
熱帯果樹低樹高栽培
研究課題

東南アジアにおける熱帯果樹(ドリアン・マンゴスチン等)の低樹高整枝栽培技術と周年生産技術の開発

研究期間

2006年度(2006~2010年度)

研究担当者

米本 仁巳 ( 熱帯・島嶼研究拠点 )

野村 啓一 ( 神戸大学 )

井出 ( 神戸大学 )

井上 裕嗣 ( 沖縄県農業研究センター )

真境名 真弓 ( 沖縄県農業研究センター )

奥田 ( 三重大学 )

ほか
発表論文等

Y. Yonemoto, K. Nomura, M. Ide, H. Inoue, M. Majikina and H. Okuda (2006): Index for harvesting time of white sapote (Casimiroa edulis Llave & Lex.) cv. ‘Cuccio’. Journal of Horticultural Science & Biotechnology 81: 18-22.

日本語PDF

2006_seikajouhou_A4_ja_Part25.pdf689.32 KB